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「やりたいことの見つけ方」 八木仁平 著 KADOKAWA

僕が若かった頃(そう言う時代もあったのです)、先輩方が、さまざまな人生訓を説いてくださいました。

例えば
「余計なことをしなければ、出世する」・・・「そりゃないよなぁ」って思いました。そして、これが通用したのは、年功序列・終身雇用の時代だけでした。

「ゴルフの上手いやつは仕事ができる。だから、お前もゴルフをやれ」・・・完全なカテゴリーエラー。相関も因果関係もない。

「これからのリーダーは劉邦の如くであるべきだ」・・・リーダーにはさまざまな型がある。項羽型で成功したリーダーもたくさんいる。

「結婚相手なんて誰でもいい。一緒にいれば好きになるものだ」・・・全く同意できない。

上記の(・・・)以下は、当時の僕の考えを示しています。そして、その考えは今も変わりません。つまり、ここに示した先輩方の人生訓は、僕にとっては、あまり意味のあるものではありませんでした。

この本は、このような意味のない人生訓的常識と全く別次元で書かれた本です。著者が自分の頭で徹底的に考えたものの集大成なのだろうと思います。

面白かったです。

間違いと真実のリストがあります。一部引用します。

間違い:一生続けられることでなければいけない
〈真実〉:今一番やりたいことをやればいい p.19

間違い:やりたいことを見つけた時には運命的な感覚がある
〈真実〉:やりたいことを見つけても最初は興味レベル p.21

間違い:人のためになることじゃないといけない
〈真実〉:自分のために生きることが人のためにもなる p.23

間違い:見つけるには行動するしかない
〈真実〉:見つけるには自己理解するしかない p.24

間違い:やりたいことが仕事にならない
〈真実〉:やりたいことは自分の中にある。実現手段は社会の中にある p.26

名作TVドラマ「傷だらけの天使」の中で、ヤンチャな萩原健一に対して、岸田今日子が言っていたセリフ「若い子は、噛みつくぐらいがいいのよ」を思い出しました。このくらい噛みついていただくと、心地よい。痛快です。

常識を疑いましょう。それがCritical Thinkingの源です。常識は過去の成功の経験則です。そして過去の成功の模倣は、退行の始まりだと僕は思っています。

ちなみに、山のようにいただいた所先輩方の人生訓の中で、今でも僕の座右の銘にしているものがあります。

それは・・・

「周りの連中の言葉に耳を貸すな。お前は自分だけを信じろ」

でした。
「自分の心からの言葉に耳を澄ませ」と言うことだと思います。


この本によれば、以下の3項目が明確になれば、それらを組み合わせた「本当にやりたいこと」と、その「実現手段」は自然と見えてきます(p.171)とのことです。

  1. 大事なこと(価値観)を見つける

  2. 得意なこと(才能)を見つける

  3. 好きなこと(情熱)を見つける


では、実際にこのやり方を踏まえて、自分の心からの言葉を見つけていきましょう。

僕の場合、

  1. 大事なこと(価値観);対等な立場での対話から創造性が生まれること。Critical Thinking。無為自然。自己一致。

  2. 得意なこと(才能):意外にも、文章を書くことだった。 そして、戦略をたてること・・・かなりずるい戦略もたてることができる。

  3. 好きなこと(情熱):自分の心理を探求すること。人の心理を想像すること。妄想すること。 科学的、論理的に考えること。常識に囚われずに自分の頭で考えること。気づいたことを人に伝えること。

でした。

今やっているカウンセラーと言う仕事は、かなり「やりたいこと」なのかもしれません。そして、これから力を入れていきたいことは、「気づいたことを人に伝えること」かなと思います。若い頃、謙虚な性格が災いし結構遠慮してきたので(←みなさん信じないかもしれないけど)、その反動かもしれません。このNoteも、その一環です。


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