『峠』司馬遼太郎 著 を表参道の美容師はこう読んだ。
こんにちは、FUKASEです。
私、実は歴史が大好きなんです。
隠してた訳ではないのだけど、あまり共感されることもないので自然とお話する機会も少ない訳です。
峠
今回勝手に紹介させていただく『峠』ですが、あまりメジャーでない人物が主人公となっています。
司馬遼太郎先生と言えば、私の中では"坂本龍馬"や"土方歳三"の様な知名度のある人物の作品でも有名です。
メジャーでないかどうか、は私の主観でしかありませんが、少なくとも私は知りませんでした。
この『峠』を読んだだけの知識であり、私の思い違いやフィクションである可能性もあるので御容赦ください。
"河井継之助"
ツグノスケと読みます。
時代は幕末
江戸時代末期の事です。
彼は越後の長岡藩という国の武士階級の人物です。
越後と言うのは今の新潟県にあたります。
江戸時代には三百諸侯と言われるように殿様が全国に300人程いて、各々の行政区を持っていました。
現在の47都道府県と比べるとかなり細分化されていたのが分かります。
彼は武士なので、この時代における武士は社会的地位はそれなりに高いと言えます。
武士や一部の富裕層しか名字を持つ事が出来なかったり、服装や髪型、家の造りまで細かい規制がありました。
この階級社会のトップに君臨するのが武士であり、武士のトップが征夷大将軍である徳川家の将軍です。
その河井という人物が越後の小さな国の普通の武士から、家老という今で言う一国の首相に当たる役職にまで上り詰め激動期に圧倒的なリーダーシップを発揮していく物語です。
彼の人生の面白さは、人生の大半を平凡な学生で過ごし歴史に残る勇猛な記録は人生の後半における十年に満たない程度の時期であると言うことです。
継之助は三十代になっても書生といって学生のような身分で日本各所を周り旅をしていました。
天下に名前が響く"坂本龍馬"も同じく遅咲きで、暗殺される直近の数年で殆どの仕事を成しています。
彼らのように人生を懸けて大きな事を成した人物でも、人生の大半を学業や遊びに費やしてきたと事を思うと少しだけ焦る気持ちが和らぎます。
話を継之助に戻す。
継之助という人物に魅了されるポイントとしては、なんと言っても豪快さと知略との両方を持ち合わせているところです。
例えば彼は革命期というものを肌感覚でよく理解していて、これからは時代が変わるということを理解し行動に移していました。
具体的な内容はここでは割愛しますが、江戸時代に世界の情報を仕入れ、いち早く経済感覚を持ち政治を行った部分というのはかなりこの時期における政治家には稀な才能だったと言えます。
現代ではインターネットで情報にアクセスしたり資産運用をするというようなことは当たり前になっていますが、その時代に経済や政治という分野を自ら独学し実践したのでした。
彼の自藩を救済するための壮大なストーリーの中に、長岡藩を独立中立国家に仕上げるという構想があります。
これは司馬先生の解釈や脚色もあるかもしれませんが、戊辰戦争で東西の革命戦争が勃発する中、ギリギリまで武力と政治力と経済力とを持って中立的な立ち位置を守り、いよいよ危険な状態になった時には自藩の殿様を海外に亡命させる算段まで行っていたという話には感銘しました。
令和革命(パラダイムシフト)
ここまで私がこの小説に共感し感動する思いには、自分が生きているこの現代もある種の革命期ではないかと思っているからです。
革命というと大袈裟かもしれませんが、価値観、家族観、国家観という物が明らかに変化しつつある今、どんな生き方をすべきだろうか?と思うのです。
価値観の変化をあげるとしたらどんな事が言えるだろうか。
昔 お金を沢山稼ぐ=幸せ
だったと思うのですが、今はそんなにお金要らなくない?という人達も多いです。
家族のあり方も、必ずしも結婚や子育てが全てではありません。
実際、美容室で20代前半のお客様と対話するなかで半分くらいの確率で子供は要らないという意見があるように感じます。
国もあってないような状態で昔ほど愛国心や自尊心の様なものは無いように思います。
こんな風に時代の流れが変わってきた以上、人を相手に商売している訳なので変わらないことには取り残されるのは明確です。
幸せな働き方
人生の大半を、働く事と寝る事に費やして死んでいく生き物である私達が幸せになる方法の一つは働き方を考える事だと私は考えます。
私が思う幸福な働き方の条件があります。
仕事を通して自己の成長がある
仕事を通して他人に感謝される
仕事を通して良いコミュニティーを持つ
この三つの条件を満たすためには会社や国に頼らない、経済的に独立した個人である必要があると考えます。
※会社に所属していては駄目という意味ではありません
独立した個人がコミュニティーを作りより良い社会を作っていくという考え方です。
美容業界の課題
働くことの意味をもう少し深く考えると最終的には社会への還元ではないだろうか。
良いサービスを提供し相応の対価を支払う。
この繰り返しで経済が回っていると私は思うのですが、今は低品質で低単価のサービスが横行しています。
必ずしも低品質とは限りません、高品質を低価格で提供しているパターンもあるかと思います。
美容室では基本的に人的労働力で運営が賄われていますから、基本的に単価が下がれば低所得か重労働でしか成立し得ない経営状態になります。
本業以外の二次的な収入があれば話は変わってくるでしょうが…
この原因は美容室及び美容師人口の増加&美容業界の陳腐化では無いかと思っています。
つまり江戸時代の髪結から始まり、戦後の美容室からほぼ形態やサービス内容に革新的な変化が無いことに原因があると思うのです。
これからの美容師や職業人が生きていく為に
成熟、飽和、コモディティーと労働力に対する価値が下がっていき、日本人の賃金が低下している中これからどのような働き方をするべきだろうか?
美容師は新たな職種を作り、日本クオリティを世界に輸出すべし
新たな職種と言っても、やってきたことはこれまでと変わらず、髪を切り、会話をし喜んでもらうに尽きます。
要はこれを徹底的に突き詰めた内容に昇華させていく必要があると思うのです。
人は髪をビジュアルの為だけに切っているか?
ここで率直に言いたいのは人のメンタルケアも的確に出来る美容師が生き残っていけるのだと思うのです。
昔からある近所の床屋のおっちゃんがみんなの世間話を聞きながら心までスッキリして帰してくれる感じを、もう少し心理学的なことを勉強した美容師さんがケアしてくれる状態。
つまり美容技術と医療的な分野を融合し、もう少し人の心にフォーカスしたサービスを提供することができないだろうか?
これらの事はどれも一つ一つは現時点で存在していますが、ちゃんとした仕組みを作ってフォーマットを世界に輸出していくことはできないか?と考えています。
大それた話になっていますが、まずは自分自身のお客様の髪と心を綺麗にし、自分自身と関わる人たちが幸せになれる方法を追求する所から始めている段階です。
そして今現在は第一子が生まれ、一ヶ月の育休を取得中です。
子育てを楽しみながらこれからの働き方、ワクワクする生き方について模索してみます。
【峠】からはだいぶ脱線しましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
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