漫画キングダムから学ぶ会社経営 #49:本能型の経営者
本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は49回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)
前回は、「#48:出る杭の育て方」と題して、キングダムの亜花錦を例に、優秀な出る杭の扱い方、及び育て方を現代ビジネスと照らし合わせて考察しました。まだお読みでない方は、上記リンクよりお読みください。
さて、今回は、キングダム内でも初期から話題になっている知略型と本能型の武将について、特に本能型の武将(経営者)に焦点を当てて考察します。
ご存じの通り、知略型の将軍とは軍師のように緻密に戦略を練り、論理的に戦う武将を言います。キングダム内では、李牧や王翦などの大将軍を筆頭に、蒙恬や王賁などもこちらの部類に入るでしょう。一方、本能型で有名な武将は、麃公将軍、主人公の信、趙国の慶舎などが挙げられます。
本能型と言うと、ただの思い付き行動の気分屋のように捉える方がいるかもしれませんが、実は全く違います。本能型の行動というのは、ただの思い付きではなく、他の人間が感じ取れないような微妙な軍の動きや空気の流れを察知し、いち早く行動できる、ある意味特殊能力があるという事です。それをほとんどの人は理解できないので、思い付きの行動に見えてしまうのです。現に、麃公将軍は、ちょっとした砂塵の動きから、そちらに兵力を厚くしたり、慶舎は、蜘蛛のように罠を張り巡らせて、相手軍の微妙な変化を読み取りすかさず狩りにいきます。王翦将軍も朱海平原の戦いで、身体の動きを例に、本能型の戦い方を説明しています(単行本56巻参照)。バタフライエフェクトに近い現象だと思っていただいて構いません。
このシリーズ記事では、将軍を社長や組織長に置き換え、現代ビジネスではどうなのかという考察をしておりますが、本能型の社長というのは、実際どうなのでしょうか。
やはり、社長という職務は、常に戦略を考え、最大効率でのビジネスを進める事を重要視する為、比率で見ると、圧倒的に知略型の社長が多いと思います。しかし、雇われ社長や2代目社長ではなく、自身で会社を立ち上げた起業型社長には、本能型の社長もかなりいると思われます。そして、そのような方は、程々の成功ではなく、圧倒的成功者になっている可能性が高いです。なぜなら、本能型の特徴である、敏感な変化を読み取れ、直ぐに行動を取れる人というのは、変化の多い現代ビジネスにおいて非常に優れた長所になるからです。彼らは常人には理解できないスピードでビジネスチャンスを物にしていきます。
唯一、注意点としては、本能型の社長は、自分が特殊能力を持っており、全ての人間がそうではないと理解する事です。つまり、部下や周りに自分の行動となっている根拠をしっかりと説明をする事が求められます。そうする事により、周りも100%理解できなくても、ついていく事ができます。部門長であれば、上司にも自分の行動を論理立てて説明する事が必要になります。これも同じく、上司と言えど、彼らはその変化を感じ取る事ができない人がほとんどだからです。そういったコミュニケーションさえしっかりと取れれば、本能型の経営者は間違いなく素晴らしい経営者やビジネスマンになれます。
今回はキングダムにおける本能型武将の定義にならい、本能型社長の可能性について触れました。本能型というと、どうしても直観で根拠なしに思われるかもしれませんが、彼ら自身には確固たる根拠があり、その根拠をどのように使い、時には説明できるかが、大きな鍵となります。
それでは、また次回。
注)写真はすべて漫画キングダムより引用