漫画キングダムから学ぶ会社経営 #9:コミュニケーションの天才、藺相如
本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。
今回も「#6:リーダーの器」からの派生で、特に優れた将軍のリーダーシップについて深堀していきます。「#6:リーダーの器」をまだ読まれていない方はまずは、こちらを一読ください。
これまで優れたリーダーとして、#7:王騎将軍、#8:蒙驁将軍を挙げました。王騎将軍は誰もが認める理想のリーダー、蒙驁将軍は人に任せる天才でした。今回は秦国ではなく、さらにすでに病で亡くなっている趙国の元三大天藺相如について深堀します。
藺相如はキングダム内では描写は少ないものの、その逸話、武勇伝から容易に優れたリーダーだったという事が考えられます。まずは、藺相如という人間ですが、武力寄りの時代において数少ない知略により天下の大将軍と渡り歩いた大将軍だった事が伺えます。これは単に軍師という立場を超えた政治的な能力も含まれます。李牧や昌平君、当時の六将胡傷などと匹敵する能力の持ち主だったという事です。その中でも藺相如のリーダーとして優れていた資質として、コミュニケーション力を挙げたいと思います。
「#6:リーダーの器」において、リーダーに求められる3つの資質を挙げました。もちろんキングダムに出てくる将軍達はこれらを多かれ少なかれ持ち合わせています。さらにこれらのベースとなるものは、言わずもがなコミュニケーション能力です。リーダーはコミュ障には務まりません。
それでは、藺相如はどのように他の将軍達以上にコミュニケーション能力が優れていたのでしょうか。
一言でいうと、自分を取り巻く関係者全方向へのTPOに応じたコミュニケーションだと言えます。つまり、部下(藺家十傑)、上司(趙王)、同僚(廉頗)、ライバル(王騎など)、すべてにおいて、彼らを納得もしくは引き込む話術があったという事です。
部下である藺家十傑は軍略家であった藺相如の意図を明確にくみ取り、手となり足となり藺相如を支えました。藺相如が死んだ後は、死に際にいて後を追う事を禁じられた趙峩龍と尭雲の二将を除き他の8人の藺家十傑は後を追うように殉死します。いかに主に全てを捧げていたかが伺えます。
漫画キングダムには明確な記載はありませんが、史実によると、廉頗が馬鹿と罵っていた前趙王恵文王ともうまくコミュニケーションが取れていた事も想像できます。馬鹿な上司程めんどくさいものはありませんが、藺相如はそれも簡単にこなします。
また、癖が強い廉頗とも上手く連携しており、あの廉頗をして、「刎頸の交わり(お互いに首を斬られても後悔しないような仲)」という信頼関係にあります。
さらには、ライバル国である秦の王騎と中華の話をしたり、秦の昭王と何回か謁見しており(史実では謁見どころか、難しい交渉)、その人間力、コミュニケーション能力には敵国にも一目置かれる存在でした。
この優れたコミュニケーション能力は現代社会に通ずるものがあります。職場において、上司や取引先にはニコニコとイエスマン、部下や同僚からは評判が悪い、という上司はいませんか?もしくは自分がそうなっていませんか?すべての関係者に同じようにふるまうコミュニケーションを取る必要はありません。むしろメッセージや言い方は変える必要があります。大事なのは、他人を引き込む力です。チームを率いる事、それは他人を率いる事なのです。
MBAやそれに近い講習を受けた事がある人は市場を取り巻く環境分析として5フォース分析というのをご存じかと思いますが、私はコミュニケーションの手法として同じようなフレームワークを提案します。つまり、自分を取り巻く各プレーヤーの外部環境分析をする事により、それぞれのプレーヤーの意図をくみ取り、最善のコミュニケーション策を講じるという物です。自分の言いたい事をべらべら喋る、周りの愚痴を言う、同情してもらう事がコミュニケーションではありません。相手の意図をくみ取りつつ、自分の向かせたい方向に持っていく事が優れたコミュニケーションなのです。
今回はコミュニケーション能力の優れた藺相如のリーダーシップについて考察しました。次回はまた別タイプのリーダーについて触れたいと思います。
それでは、また次回。
注)写真はすべて漫画キングダムより引用
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