【本紹介#3】AI時代に言語学の存在の意味はあるのか【隔週月曜更新】
要約
AIの発達によって言語学者を始め、英語学習に関わる人々は大きな影響を受けることになる。この影響はプラスのものかマイナスなものかは不透明だが確実である。
本書は理論言語学と英語教育の価値を言語学者である著者の視点から再確認するためのものであり、AIと言語学またはAIと英語教育の今後の共進化を期待している。
感想
最近ChatGPTを使い始めたのと、大学院で言語学をかじっていたので面白そうだなと手に取ってみました。
英語の先生の目線でAIの存在についてと今後の英語学習の意義について本書の内容に触れながら私見を書いていきます。
まず1番驚いたのはAIを肯定的に捉えているところです。これを読んで僕もAIに対する信頼感と不安感の入り混じった微妙な印象はだいぶクリアになりました。AIは便利ですが、まだまだ肯定的に捉える人は少ない印象です。少しでも不安感を覚える人には読んでほしいです。
僕はChatGPTを例文作成に使っています。そこで感じるのは、例文の語彙とバリエーションの少なさです。それとたまに語順が不自然なことがあったり、我々もしがちな些細なエラーがあったりします。
僕はエラーは最後自分で直せればよいと思っているので、他の正しい例文をたくさん出してくれるところに感謝しながら使っています。
学校ではまだまだ否定的な考えを持った人が多い印象です。例えば「課題をAIやってもらって出してきたらどうする?」という議論がされることがあり、先生たちは「そんなものだめに決まってる!」と結論づけているんじゃないでしょうか。僕の周りはおそらくほぼこの答えになります。
この本を読んで僕は課題にAIを使ってもいい場面もあるんじゃないかと思うようになりました。
僕の基準はテストで点数が取れるかどうかです。例えば、英文の内容を理解してほしくて、日本語訳の課題を出したとします。自力でやろうがAIでやろうが中身が正しければ同じように評価するつもりです。課題の目的は英文理解なので方法は問いません。テストで訳を問うたときに書ければいいのではないでしょうか。
本書では英語学習の意義をについて英語をコミュニケーションの道具として見るのなら「もう英語学習は必要ない」、英語を教養として見るなら「英語を使う人のものの見方や考え方を理解し、自分とは異なる価値観や文化を学び、メタ認知能力を高めるため」でした。
学校の先生目線で考えるのであれば、「テストでいい点数を取りたい」「志望校に合格したい」のであればAIを使った勉強法でもいいと思います。
それに対して、「翻訳に頼らず自分で英語を話したい」「海外に興味がある」ならAIに頼り切らず勉強するといいと思います。
AIで言語の壁がなくなろうとしている今、言語学習のあり方が問われていて、英語の先生たちの仕事は大きく変わるのだろうと改めて危機感を持ちました。
How to tellの問題はAIがになってくれるので、英語の先生たちはWhat to tellの部分を担っていくのかなと考えるようになりました。
AIの勉強もしていきたいですね。