52ヘルツのクジラ

52ヘルツのクジラは正体不明の種のクジラで52ヘルツの声で鳴く。通常のクジラは10〜39ヘルツで鳴く。それに比べ52ヘルツははるかに高周波なので、他のクジラには聞こえない。そのため「世界で最も孤独なクジラ」とされている。

ふとこのクジラのことを思い出しました。最近、僕は学校で孤独を感じていました。英語を必要としない(と思っている)子どもたちに授業をしても届かない。僕は何のために学校で先生をしているのだろう。

休みの日に作ったプリントは破られ、無くされる。良かれと思い用意したものは全て無視され届かない。僕たちの苦労を知らない子供たち。そのことが当たり前になり、無下にされることに慣れた先生たち。僕はあの輪の中に入りたくない。

ひとりの先生がこの話を聞いてくれました。その先生は「私も同じように思っている。けれど先生の言葉や思いが届いている人は必ずいる。諦めちゃいけない。」と励ましてくれました。

僕は52ヘルツのクジラと違い、声が聞こえる人がいる。52ヘルツのクジラの声は20年以上も声を観測されていました。彼は諦めなかったのだろうか。彼が持っていたであろう、誰かに届くかもしれないという期待を僕もしようと思いました。

また、一方で、学校の授業は大人になればみんな忘れていく。僕だってあれだけ慕っていた先生の授業を覚えていません。そもそも多くの人は亡くなってしばらくすればその存在を完全に忘れ去られる。

80年、100年生きたって忘れ去られるのなら、たった1年の授業が忘れ去られるのは当然ではないか。届かなかったとしてもそんなに悲観することじゃないのかもしれません。


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