本田圭佑も出資する医療系ディープテックスタートアップ
1月10日(金)19:00~開催された、「本田圭佑と語る投資の舞台裏!Craifの創り出す未来と世界での勝ち筋」のイベントレポート。
トロント時間、朝5時からイベントに参加したのだが、結果は大満足。
深夜テンションならぬ、早朝テンションのまま書いていこうと思う。
本田圭佑が率いるベンチャーキャピタルX&KSK
年始早々、約153億円の資金調達を実施し話題となった、「日本発のデカコーン創出」を目的に立ち上がった本田圭佑が運営する投資ファンドX&KSK。
「日本にはデカコーンがない。100社ほどアメリカで投資する中でベンチャーキャピタルのすごさ(創業者の思想の大きさ・事業成長速度・市場規模)を感じた。日本のベンチャー界隈では、ユニコーンは数社いるが、デカコーンは1社もいない。今後、アメリカの市場をさらに攻めることを考えていたが、岸田前首相が"スタートアップ育成5か年計画"により、8000億円から10兆円の投資をし、国内市場を活性化していくということを発表したためキャピタリストとして日本の市場に戻ってきた。」
と本田氏は語る。
各ベンチャーキャピタルが業界を絞り、それぞれが専門性を発揮できる領域に投資する中、X&KSKは、大きくなる可能性がある会社なら業界業種を問わず投資していくという方針だ。
Craif株式会社
三菱商事出身の代表小野瀬さんが、2018年に三菱商事を退社し、同年Craif株式会社を東京工業大の安井教授と共同創業。祖父母をがんで亡くしたという原体験から、がんとの戦争に終止符を打つことをミッションに、事業展開をしている。
すい臓がん、乳がん、肺がんをはじめとした、7がん種を簡単な尿検査から発見できる「マイシグナル®」がメインプロダクト。
がん細胞のマイクロRNA(がん細胞が発するe-mailのようなもの?)を捉えてAIを使って解析できるサービスを提供するディープテック企業だ。
マイクロRNAは、2024年ノーベル生理学・医学賞が研究者に送られた最新技術であり、マイシグナル®は、尿×AI×マイクロRNAとしては、世界初のサービスである。
本田氏×小野瀬氏の投資前の関係
他の投資家がセンシティブに話をする、バリュエーションなどに対して、オープンでストレートに話す、画面の中で観てきた本田圭佑と変わらない本田さんの姿勢。小野瀬さんの物事を早く進めスケールさせたいという姿勢。が合致。
また、X&KSKは、本田氏の一存で投資判断をするのではなく、ボーディングシステムを引いており、本田氏の熱意がファンドメンバーにも伝わり、10億円の投資に至ったと語る。
なぜ投資した?
創業者の可能性とビジネスのスケーラビリティ
既存のDNA(血液検査)からRNA(尿検査)というイノベーションがアメリカに負けない可能性を感じた。
(DNA検査は、アメリカの完成したエコシステムの前に資本力で太刀打ちができない。)
また、国内で既に売り上げが立っている点・R&Dが上手くいっている点から今後の実現可能性として、
ダウンサイド(国内市場での成功)でユニコーン、
アップサイド(海外市場での成功)でデカコーン。
という可能性を感じたそうだ。
すい臓がんの怖さ
一般的にあまり知られていない(私も知らなかった)が、すい臓がんは、人間ドックでは、発見をしにくいうえに、最悪の場合、末期まで3,4カ月で進行してしまう。後期発見では治療は難しく、ステージ1での発見が非常に重要。
本田氏も自分自身で利用したり、周りの知人に勧めたいサービスだと言う。
名古屋大学のラボを訪れて
・実際の解析にAIを利用することによる、スケーラビリティ
・創業者以外のチームメンバーの質
・ハードウェアにまだ課題はあるが、資金調達をすることで今後解決できるのではないか
と感じたとのこと。
小野瀬さん自身も研究室には強い自信があり、直近、研究スペースも拡張したそうだ。
本田氏の投資判断基準
前述した話とやや内容は被るが、ビジネスの可能性(市場規模・競争優位性)はもちろんだが、創業者の視座の高さを特に重要視するという。
プロサッカー選手でもそうだが、初めから世界を意識していないと世界の市場を取ることはできない。
また、海外の真似事をして国内展開するのも悪くはないが、それでは海外市場は取れない。
デカコーンをつくる覚悟があるかどうかを見ているように感じた。
Craifの現状
サービス
月商が1億円が突破。
toB(病院)への提供だけでなく、名古屋の店舗を中心(400件以上の薬局を始めとした店舗)に販売を行っている。
マイシグナル®(https://misignal.jp/)がメインプロダクトであり、4つのラインナップを提供している。
マイシグナル・スキャン:マイクロRNA×AIを活用し、がんリスクを高精度に評価
マイシグナル・ライト:手軽にがんリスクを確認できる簡易検査
マイシグナル・ナビ:がんに特化した遺伝子検査
マイシグナル・チェック:DNAダメージをモニタリングし、予防につなげる検査
価格は、2万円~6万円で提供している。
価格ごとの違いを簡単に説明すると、ハイエンドなものは、高精度のスキャンで早期に"がん種の発見"まで行うことができる。
ライトなものは、がん自体の早期発見はできるが、がん種が分からないそうだ。
今後、スケールすると、半額以下の値段で提供できる可能性があるという。
私も過去、遺伝子検査に2万円ほど払ったことがあるが、こういった分野のサービスは、保険の適応含め、ぜひ安くなって欲しい。
組織
正社員50名程度(外部のアドバイザー等を含めると約70名)で技術サイド、ビジネスサイド半分半分の割合でメンバーが在籍する。
企業文化としては、社会課題を解決することが目的であり、技術は手段と考えているという。
そのため、人の役に立つことが最も重要であり、目的に一直線に向かうため、いかに早くストレッチできるかを重視し、失敗を許容する、挑戦を賞賛する文化だそうだ。
また、ディープテック企業というと、理系出身の技術職の採用イメージが強いが、商社、コンサル等様々なバックグラウンドを持つ、文系人材も多く採用し、活躍しているという。
これは、プロダクトを開発して終わりではなく一般消費者に届くまでやりきる。という企業文化を重視するためだそうだ。
採用から活躍へのこだわり
採用では、5次面接まで実施。
また、カルチャーテストを実施し、ギャップを特定後、メンターを決めレポートを行い、それに対して役員からのレビューを1ヶ月以上実施するという。
ベンチャー企業でここまでリソースを割く企業はそこまで多くないのではないだろうか。
本田氏が組織をつくるうえでメンバーに求めること
上層部になる人ほど、本当にすごいアイデアをクリエイトするパートナーレベルを求める。創業者が活躍の場を"提供してあげる"のではなく、"提供させる"力を持ったメンバーを探してる。という。
今後のCraif
名古屋大学発ベンチャーとして名古屋から日本全国へ、高齢化社会で世界をリードする日本から世界展開をデカコーンとなることを目指す。
具体的には、5年以内に国内展開3000万人のユーザー獲得。
既にアメリカに研究拠点があり、またアジア諸国への他国展開も予定しているそうだ。
直近の採用イベントと募集ポジション
興味がある人はぜひ応募して欲しい。
もしかしたら、6次面接に本田圭佑氏が現れるかもしれない。
私自身も、世界の市場を取るために、フルスイングをする姿勢に感化された。世界の市場を相手にしたゲームチェンジを今後も応援したい。
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