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カリスマ経営者



ずいぶん前ですが、

日経ヴェリタスに「カリスマ経営者」の特集記事が掲載されていました。

 「カリスマ経営者」と言えば、ソフトバンクの孫さん、ファーストリティリングの柳内さん、楽天の三木谷さん、サイバーエージェントの藤田さんなど、特に近年成長が著しい会社とその経営者を思い浮かべます。
これらの人達の持ち味は「長期的な視点に立った経営戦略と決断力」であることは言うまでもありません。そして「創業者」でもあります。
「社長がゴールのサラリーマン経営者と社長からスタートした創業者では経営への熱意に差がある」「決断力や成長への熱意が株価にも表れる」などと言うファンドマネージャーもいます。

2018年に国内株式投資信託で基準価格が唯一プラスだったのは「東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン」だけです。
創業家が率いる企業や、長期に実績を上げて代表者を長く務めている経営者がいる企業に投資するファンドです。
 国内上場企業で、15年以上代表権を持ち続けている経営者がいる企業は745社あり、そのうち時価総額上位100社の15年間の売上高の伸び率は約78%、日経平均採用銘柄の63%を大きく上回ります。
 また、株価を単純に比較すると、同様に3倍になっており、日経平均株価の78%上昇を大きく上回っています。

 一方で、創業家の2代目以降の代表者で大きな実績を上げている筆頭が、ユニチャームの高原社長です。典型的な内需型企業を、アジアグローバル市場向けの生活消費財メーカーに脱皮させた力量は高く評価されています。現在は海外売上高が60%超になっており、利益も時価総額を大きく伸ばしました。
 高原社長はあるインタビューで「創業系だからできたのかも知れない」と言っており、「常にライフ・イズ・ワークの思いで取り組んでいる」とも言っています。
 また、いわゆる「中興の祖」と言われるような経営者でも「長期的」な視点で経営し実績を上げ、長らくトップに君臨している経営者もいます。信越化化学工業の金子さんや大和ハウス工業の樋口さんなどがこれに該当します。

「カリスマ経営者」と呼ばれる経営者は例外なく「長期的な視点で経営のかじ取りをし、ビジョンを明確にして長く企業を率いています」そして、「実績」も上げています。
サラリーマンからトップになった、信越化学工業の金子さんや大和ハウスの樋口さんも同じです。
  

他方で

「カリスマ経営者」には常に「賞味期限切れ」「権力は腐敗する」などという負の面もつきまといます。

 「賞味期限切れ」や「権力の腐敗」の兆候として、「ガバナンス不在」が見えてきたら要注意だとよく言われています。
 他の経営陣から反旗を翻された、セブンの鈴木さん、積水ハウスの和田さんなど、一線を引いた後も経営に口出しした、出光や雪国まいたけの例、大塚家具や大戸屋のような創業家の内紛、権力が集中しすぎたダイエーの中内さん、セゾンの堤さんなど、すべての根源は「ガバナンス不在」だということです。

 野村総合研究所の調査で「経営トップとそれ以外の経営陣の在任期間の差が大きくなるほど、トップ退任後に業績が悪化する傾向が高い」という結果が出ています。
経験値の大きな差と経営トップへの忖度が顕著になってくる傾向があるからではないかと分析されています。


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