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Today's Sketch.20250203.『八犬伝』

※映画『八犬伝』のネタバレが(既に)含まれています。ご注意下さい。

コレまでと違う視点の里見八犬伝が来た、と思い観ることに。

予備知識を入れずに新作を観る流儀が仇になるところだった。冒頭の二番煎じ感が強くて「なにやらおかしい」と思ったからだ。

劇場で観ていたらザワつくところだったかもしれない。
とは言え、今回の主役は八犬士や伏姫ではない。思い直して画面に注目する。

今作で追うのは『八犬伝』を作った滝沢馬琴(役所広司)葛飾北斎(内野聖陽)だ。
南総里見八犬伝が作られた28年を、その物語を伴奏に観ていくのだ。

創作作品を作り続ける全ての人に見て欲しい映画

創作パートでは、鶴屋南北(立川談春)も交えて『虚』と『実』についての問答があり、このシーンは非常に興味深かった。

立川談春さんの演技が素晴らしいシーン

流石に、チケットの取れない噺家と言われる意味を改めて感じる。

似てるかどうかは別として『八犬伝』感想絵

SNSでも書いた感想は、こうだ。

正直、新しいバディものが来たと思った。

滝沢馬琴、葛飾北斎との長年の付き合いと関係に胸を打たれるし、家族との繋がりだけに留まらない、想いや情熱の描き方がサラッとするも深くてイイ。
自分が注目したいのは、中盤の鶴屋南北との会話。『虚構』と『現実』。
自分が思うのは「誰かが強く望む『虚』ならば、それはやがて何かしら『実』に成る」と思う。その二つは正誤でも善悪でもなく、どちらがどちらをとは言えず問われず、常に同時に存在しているものと言う気がする。むしろ、同時に存在して欲しいもの。

感想絵に八犬士が入ってないけども(笑)。

https://bsky.app/profile/yoshitaka77.bsky.social/post/3lhbiuqf6mc2q

自分も、金銭に換えることは少ないが断続ながら長年創作をしている手前、非常に考えさせられる『虚構』と『現実』の話に今も考えさせられる。

この作品が既に『虚』と『実』の関係性を見せてくれていると着目すると、何度見返しても面白い。
作中表現される登場人物たちの28年の経過をビジュアル面でも見られるのは、VFXよりも大きな感動を得られた。

これはまた日を置いて観たくなる作品。
公式ポスターでは、パッと見で作者たちの28年を追う物語だとは伝わりにくい、そこが非常に残念に思う。
良作なだけに。

滝沢馬琴と葛飾北斎のやり取りが何度見ても素晴らしい。


ネタバレレビューはFilmarksに書いた。

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