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マインドデトックスの旅 7日目

朝を過ぎ、昼に近づいた頃。
僕らは目を覚ました。
エアコンで唇が乾いてる。
喉に水を潜らせ、声を取り戻す。

「おはよう」

今日は友人と二人で展示会を見に行く。
今日行くところは、前日の銭湯に行くまでの電車の中で決めていた。

①国立新美術館で開催されている「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ

②TOTOギャラリー間で開催されている「西澤徹夫 偶然は用意のあるところに

お互いに準備をする。
みかんを食べて、コーヒー飲んで、服を着替えて、見せ合い、チェックが入り、着替え、また、見せ合う。

準備が整い、戸を開いた。

玄関を出る友人の後ろ姿

アパートを出たすぐのところで忘れ物に気づく。
「あ、みかん忘れた」
「みかんかぁ、悩むね」
「あ、目薬忘れた」
「戻ろうか」
「うん、みかんも食べたいし」
「うん、みかん食べたいね」
電車の時間を気にしなくていいのが、東京の数少ないメリットであることを感じる。

最初は、国立新美術館の方に足を運んだ。
国立新美術館は、建築を学ぶ人ならみんな知っている(と思う)黒川紀章大先生の晩年の建築作品だ。
今日は天気が良くて、また、日曜日ということもあって多くの人で賑わっていて、内部の空間がとても良い表情をしていた。

入り口すぐの右手にある空間の光と影の仲の良いこと
レジに並ぶ人だからに差し込む光の美しいこと
あんたエロいな おい。って言いたくなる曲線
陰に護られて過ごす人たち
光に導かれるように歩いて見える人影
ここのカフェレストランで一度でいいので食事したい
あんたもう、、エロいんだからもう、、ばか

写真を撮っていたら止まらないので、早々で切り上げて展示を見に行く。

いやぁ、入ってすぐに言葉を失いましたよね
そしたら、失った言葉たちが床に落ちてるんですよね 感動
企画段階のスケッチ
今回の会場構成の模型
よくわかんないけど、目に止まったスケッチ
1番の目玉のインスタレーション

インスタレーションの展示は、体験した人にしかわからないものがあるので、言葉で伝えることが難しい。動画を撮れたら良かったんだけど、動画は撮影禁止だったので断念。でも、なんとかこのインスタレーションの表現を記録で残したいと思ってしまって、つい、連写してしまった。けれど、後々めちゃ後悔。

シャッター音がどうしても無音にならなくて、最小の音でしていたが、結構響いていたらしく、、、。
本当に、周りの方々に申し訳ないことをしてしまった。
あなただけの感動を壊してしまってごめんなさい。

数日前に記事で展示の見方をあーだこーだ言ってた自分が周りの人の感動を壊す立場になってしまっていたことがとても情けなくて、悲しい。加害者側にいつ自分が回っているのか、その時その時で改めて、気をつけようと猛省した次第です。

話を戻して、
展示自体はとても良かった。ほんと、これが無料でいいのかと思うくらい。近くに住んでいたら、また行きたいと思えるものだった。
近くに住んでいないので、展示会の図録を買った。この購入時点では、気分はルンルン。
後日、上記のように猛省したが、、、。

展示を終えて、一階のショップで家族へのお土産品を購入。国立新美術館の近くにある地下街でランチを買い、公園で遅めの昼食をとっていると、鳩が一羽よってきた。

タイカレーを購入
近寄ってきた鳩

鳩と会話をしながら昼食を済ませた後、そこから10分もないくらいの距離にあるTOTOギャラリー間に向けて、食後のみかんを食べながら向かう。これまた、カレーの後の歩きながら食べるみかんの美味いこと。友人と二人で取りに帰った自分たちを褒めあった。

TOTOギャラリー間

そんなことしてたらあっという間に着いたTOTOギャラリー間に到着。建築の展示会を定期的に入れ替えながらしており、さらに、無料で観れるというのがとにかくありがたい。しかもなんと、たまたまギャラリーのディレクターが説明をしてくれている時間に入場し、自分の理解だけでなく、説明を聞き深く学びながら見ることができた。

他にも説明を聞いている人たちがたくさん
水戸市美術館の展示模型と説明してくれてるディレクターさんの足
水戸市美術館模型の内観
西澤さんが3日かけて描いた京都市京セラ美術館のスケッチであることを説明するディレクターさん
今回の展示図録の特装版を説明するディレクターさん
壁にかけられていた京都市京セラ美術館の既存と改修の図面が重なった展示

大満足の展示会を終えて、一番楽しみのギャラリー間のショップに向かう。ここのショップが一番好き。なんてったって建築の本がたっくさん。選ぶことに集中し過ぎて写真撮っておくのを忘れてた。
次の予定も迫る中、40分熟考して本を購入。総額17000円を超え、レジで驚く。え、そんなするの。万札を財布に戻し、伝家の宝刀「クレジットカード」で支払いを済ませる。
5,000円以上の購入で送料無料になるということだったので、自宅に送ることに。
展示も買い物も大満足。ニコニコで会場を後にする。

外に出ると、夕日にまちが照らされていた。

夕日に照らされる街と人

友人とは一旦別れ、新橋に向かう。
先日、お世話になった設計事務所に挨拶に行った時に飲む予定だった友人と飲めていなかったので、急遽、飲むことに。

一緒に飲んだ友人
適当に入った居酒屋は赤くて明るかった

二人の会話は、仕事のことや恋人のこと、今後のキャリアなどいろいろ話をした。16時半から飲み始め、18時くらいには、あと一杯くらいにするかと言いながら、それを3回くらい続け、結局20時過ぎまでずっと飲んで語った。
ほんとに楽しかった。それと、嬉しかった。
状況や環境は全然違えど、同じ憧れる人がいて、歩む道は違えど、その憧れを超えたいよなって語れる相手であれて。嬉しかった。

「またね!また遊びに来たら飲もうね!」

っと新橋駅のホームでお互いに別れを告げ、
それぞれの道に戻った。

その後、帰宅して友人と合流し飲み直す予定だった。友人は、別の友達と近所の居酒屋で飲んでいるらしく、その人たちを連れて21時過ぎに家で合流する予定だった。9時過ぎに「後一杯だけ飲んで帰るね」と連絡があり、少しキッチンを片付け、荷物をまとめて待っていた。
22時を回り、遅くなっているのだろうと思い、友人に数日前に勧めらていた写真集を眺める。

夜もふけり、街が静かになり出した頃。
玄関のドアが開かれた。
そして、3人の酔っ払いの「ただいま〜!」という声が飛んできた。
一瞬で悟った。これはできあがっているぞ。
ギアを上げていかなきゃきついやつだ。

以下)
友人A:この数日泊めさせてもらっている友人
友人B:友人Aと昔、一緒に住んでいた
友人C:音楽にめちゃ詳しい

友人たちが帰り際に買ってきた日本酒か何かを、ギアを上げるためにも割らずに飲もうかと思ったら、友人Cがその手を押さえ、「これは、炭酸で割って飲むのが美味いんだよぉ」と言いながらお酒を注いでくれた。優しい人だ。でも、今、僕はあなたたちに追いつかなきゃいけないんだよ。っと心の中では叫びながら「ありがと〜」と返す。

簡単な挨拶を済ませると友人Cから「何が好きなの?」という質問が来た。
僕は、この質問に
「アニメとミルフィーユケーキ。あと、女の子好き。可愛い女の子を見るのが好き」って答えた。お酒がみんな入っているし、これくらいの粒度(精度)の言葉で返した方が話が続くかなとも思った。が、この回答がよくなかった。

正直、できあがった初対面の人のテンションというか、それまでに彼らの中でつくられてきた会話の雰囲気みたいなものを察知して話すことが僕は上手ではない。
でも、なんとなく、このくらいのテンションと言葉の荒さで答えておいたらいいかなぁって思って答えてしまった。これは、僕にも非がある。ごめんなさい。
(先に僕にも非があったことを前提に置いた上で、今から、とても偏ったこちら側の目線での印象で言葉を綴ります。)

そこから

その回答はどういうこと?
それってこういうこと?
え、自分の好きなものとか、わからないの?

という感じ(口調や言葉の選び方は、ここまで高圧的でなかったが、その時の僕には、このくらいの圧を感じていた)で質問が立て続けに飛んできた。
かと、思えば、今度は、自分の好きを細分化することの大事さであったり、個性についてだったり、自分を愛することであったり、と先人たちの考えをつらつらと語られた。約1時間半ほど。
そして、酔っ払いたちの集まりだから仕方ないのだが、なんでこの話してるんだっけ?結局何言いたいんだっけ?となって終わった。

この時点で僕は「もう寝たい。」って思ってた。

だって、そうなるでしょ。
いやさ、ありがたい話だったよ。
ところどころ言葉の強さを感じた場面はあったけれど、それでも、なんか僕の不安定さを心配してくれてなのか、なんなのかはわからないけれど、そういう生き方やマインドが僕という個人を僕が認識し、愛するためには必要なんだよ。ってあなたたちが伝えたいことがすごく伝わっていたから。
でも、語りながら友人Bが「楽しいね〜」ってニヤニヤしながら言うたびにイラってしたし、BGMで流れている音楽が止まるたびに友人Cが次の音楽をかけては、その度に友人たちで音楽に反応して、時には軽く踊り出したりもして。その様子を見て「その曲知らねぇよ」って心の中で舌打ちしたよ。
だって、そうなるでしょ。
2時間前に初めましてで会った人に、なんか、説教じゃないけど、いきなり、今の僕の考え方や価値観を完全にではなくても否定をされるんだから。
しかも、途中気づいたが、多分友人Bと友人Cは僕の名前を忘れてもいた。多分ね。だって、僕の名前を呼ばなくなったもん。僕も忘れっぽいけど、でも、それでも目の前のあなたたちの名前くらいは覚えたよ。だって友人Aが紹介してくれた友達だから。
多分、友人Aが僕のことを少しは事前に紹介してくれていたんだと思うよ。だから、僕のことを少しは知ってくれていたとは思うんだけどさ、それが僕の全てじゃないし、なんなら、僕はあなたたちの事前情報なんて一切ない状況で、なんか、いきなり考え方を否定されるんだからね。今は、僕は僕で一生懸命生きてるの。自分で自分を愛せる生き方もあると思うよ。それは、楽しいだろうし、素晴らしいと思うよ。あなたたちの正義だよ。でも、正義だからといって、パンチを振り回していいわけじゃないし、酔っ払って振り回すパンチほど迷惑なものはないからね。

ってこの時は、ここまで言葉にはできていなかったが、すごく言葉にならない気持ちでモヤモヤしていた。

話が終わり、テーブルゲームをした。気持ちは憂鬱だったが、ゲームをしてたら他のことを考えられたのでちょうどよかった。

ボードゲームも終わると、3人がアニメを見だしたので、僕は隣の部屋で寝かせてもらった。

あぁ、せっかく楽しい日だったのに。良い展示も見れて、建築の勉強もできて、友人とも楽しくお酒を飲めて、楽しく終われる今日だと思っていなのに。明日鹿児島に帰るのに。

そんな言葉にはしない言葉たちが脳内をよぎりながら、空間から自分を切り離すかのように毛布で頭を覆い隠し、

世界に瞼で蓋をした。

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