マインドデトックスの旅 3日目
親戚のおばさんと会うのは5年ぶり。
久しぶりに行くから建物を忘れていた。
けど、戸に手をかけたとき思い出した。
この手触り。この重さ。
懐かしい。
おばさんも80を超えて足腰も悪くなっているらしく、なかなか外には出られないのとか。
5月に開催した親戚が集まっての長寿祝いの写真を見せ、みんなの最近の様子、元気であることを、なるべく、丁寧に伝えた。
この子どもは誰の子どもで。
名前は〇〇で。
もう何歳になったよ。
そんな他愛もないことを1時間ほど話した。
挨拶もほどほどに済ませ、今日の目的地を目指し、おばさんの家をあとにする。
駅に向かう道中、魅力的な餞別屋に出会う。
ショーケースが可愛いくて、ついカメラを向けると、たまたま店主が通り
「好きに撮って」
と笑顔で語りかけてくれた。
店主の優しさと店の可愛さに負けて3つ購入。
可愛いは正義なのは分野問わずということを煎餅に学びつつ、購入した煎餅をポケットに忍ばせ中央線に乗る。
電車に揺られること1時間。バスで10分。
今日の目的地に到着。
富士見台第一団地にある「富士見台トンネル」
自分がマネージャーを務める空き家改修のプロジェクトで参考事例としてみてたもので、1度来てみたかった建築。
早速お邪魔しようかと思ったらまさかの開店時間前。
14時からの開店に対して13時前に着いてしまった。
ということで少し周辺を散策。
富士見台団地には小さいが商店街もあり、その近辺にも多くの店で賑わっていた。
特に好きだったのが、昼ごはんを食べた中華料理屋さん。
おじちゃんが外で餃子の仕込みをしており、目を引かれて近づくといい匂いが漂い、そのままつられて店内のカウンターに。ラーメンと餃子を頼んだ。
腹ごしらえも済ませたらいい時間になったので再び富士見台トンネルへ。
オープンしてすぐ、同じ年齢くらいの方々が撮影をされてた。少し外で待っててもらうようにお願いされ、話を聞くととある雑誌の12月号に乗るらしい。好きな雑誌だったので少しテンションが上がった。
店内は、そんなに明るくはなく、カフェの雰囲気に合わせているのか最低限の明るさで照らされていた。
写真を撮りたい欲を抑え、まずは、空間を味わう。
お客さんとして振る舞い、使い心地や居心地を体感する。
狭い空間ながらも特徴を持った小さな空間がところどころに散りばめられていることを感じ、一方で、全体を貫く大きなテーブルが散りばめられているそれぞれの空間を繋ぐかのように存在していることを感じた。
狭い空間の中で小さな居場所をつくると同時に一体感を損なわない方法として、一つ、空間のアイデンティティにもなる大きなもの、連なるもの (今回の場合は、テーブル)を設ける方法を体感として学べた。
他にも、入り口の木サッシと暖簾に始まり、コンセントの位置や棚、椅子、カウンター下など。様々なこだわりを見ることができた。また、帰り際には、この空間を設計した建築家さんの姿も見ることができた。(話しかけたかったが電話ですぐに外に出られたため、断念)
1時間半、じっくり味わい。
いよいよ、今日のメイン。新婚の友人夫婦の撮影に向かおうとした。その時、まさかの連絡。旦那さんが風邪でダウン。
撮影中止に。悲しいどころの騒ぎじゃない。
でも、仕方ない。
予定を変更し、撮影予定だった友人と中野で待ち合わせて食事をすることに。
中野駅付近をぶらついて、おすすめのピザ屋さんに入った。
撮影中止からの予定変更に、まだ気持ちは滅入ってはいたが美味しい料理たちに罪はない。
ビールと共に味わい、久々に会ったことを喜びながら語らう。
語らう内容ないつも同じだ。
いつも僕自身の生き方を問い詰められる。
不安定な生き方をしているから仕方ないのだが、いつも友人は、痛いところをついてくる。
今日はつつかれた部分は
「本音がわからんよね、感情で生きてる?」
「一級建築士を取る必要性は何?」
「プライドを高すぎるよね。捨てた方がいい。そのコミュニティにいると自分が優秀だと錯覚してしまうから出た方がいいよ。」
の3点。ほんと、痛い。
でも、こうやって自分の痛い部分をちゃんと指摘してくれて、それでもお互いに頑張ろうねって言ってくれる友人にはとても感謝している。
今日は、指摘されたことに対して自分の考えや意見も言えたから良かった。言えない時もあってそんな時はほんとコテンパンにされる。
けど、このコテンパンには意味があることを僕は知ってるから、コテンパンを受け入れるのだ。というか、コテンパンにされに自ら行ってさえもいる。
2時間、たっぷり飲んで語ったあと、「せっかく買ったフィルムだ。使おうぜ」ってことで夜の中野の街を散策し、思い思いにシャッターを切った。
全部を使い切ることができず、友人と別れた後、思い切って新宿まで足を伸ばし、被写体を探すことにした。
新宿駅に降り立ち、撮りたいなって思う人や風景を探した。
でも、これが本当に難しい。
度胸試しだとも思い、話しかける気は満々なのだが、写真を撮りたいと思える見た目をしている人がいない。また、街の中で撮りたいと思える風景・営みがない。
1時間半くらい歩いてみて回ったが結局、シャッターを切る機会は1回しかなかった。
新宿の街や人が自分の感性と合わないことをすごく感じた。
諦めて帰ろうかと思った時、駅前で歌っている人たちがいることに気がついた。その中の一人の歌声が綺麗で足を止めた。
写真の女性の前には何人かの人が立ち止まって聞いており、ファンらしき人もいた。
人前で自分を披露することの挑戦心に感動しながら20分間、歌を聴いた。
夜も深くなってきたので、ぼちぼち帰ることに。
帰る道中、後輩から電話があり、出ると飲み会とのこと。
研究室の顔見知りのメンバーで飲んでおり、電話をかけてくれたらしい。
正直、疲れてもいたし、撮影中止のショックを引きずったままだったから元気に対応する余力はなかった。
しかも、飲みテンションでこられると温度差半端なかった。
電話の向こうは8人くらいでワイワイ飲んでるが、こっちは23時の夜道を一人。テンション合わせる方が難しい。
とまぁ、色々思うことはあったが、電話の向こうで僕の落ち込み具合を察してくれたのか、「鹿児島に帰ったら飲みに行きましょうね」だったり「僕の太もも貸しますよ」だったりと彼らなりの気遣いのある言葉をかけてくれた。
友達の家に帰り着いたのが24時前。
noteを書きながら寝てしまい、翌日の朝に綴ってる。
マインドデトックスの旅4日目。
友人とフィルムカメラを持ってお散歩する予定。
待ち合わせまでもう時間がない。急いで準備をしなきゃ。
では、また夜に。