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【#毎週ショートショートnote】夜からの手紙

その晩、遠距離恋愛中の彼女とメールのやりとりをしていた。

「今夜はどちらが長く起きていられるか勝負しない?」

「あーいいよーしようしよう」


正直言って遠距離恋愛は辛い。
月に1度会えるかどうか。電話もするけど、上京して都内の大学に通っている俺はそんな沢山電話すると通話料がバカにならず生活費を圧迫することになる。

だから彼女とのやりとりはほぼメール。

でも文字だけだと話が長くなるし、やりとりが多くなると面倒になってくるし。直接会って話がしたい。


「今日はどんな話をしようかな?」


彼女のことは大好きだ。
でも遠距離恋愛できっと彼女も辛いに違いない。
彼女のためにも別れた方がいい。

そう決心をして、どのタイミングで言おうか悩んでいたが、何かを察したのか、彼女がまくし立てるように何度も近況を送ってくる。

とうとう朝になった。

別れ話は今度かと思ったとき、彼女からメールが来た。


「朝だね!言わずにごめんね、我慢できず東京まで会いに来ちゃった!」


(409文字)



この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は【夜からの手紙】でした。

今ならオンラインで簡単に顔を見ながら話せるようになりましたが、一昔前だと電話かメール(手紙)になり、遠距離恋愛経験者は大変だったろうと思います😭
今回のショートショートは、そんな一昔前の設定にしています。

女性の何かを察するチカラは凄いです💦
文字だけで察する・・・それはnote記事でもそうです。自分が書いた意図がよく分かったねと言いたいくらいの鋭さに感服いたします😌

あと、筆者としてはハッピーエンドにしたのですが、見方を変えるとバッドエンドになっているようにも見えます。

ハッピーエンド:彼氏は彼女のことが大好きで本音は別れたくないけど、彼女を苦しめたくないから苦渋の決断をしようと思っていたところ、彼女がそれを察して自分から会いに来てくれた。彼氏はそのメールを読んで涙した。

バッドエンド:彼氏は彼女のことが大好きではあるがメールばかりのやりとりに疲れて、前から関係解消しようと思っていたところ、彼女が感づき自分から東京まで来た。彼氏はそのメールを読んで戦慄した。一旦家から逃げようとしたところ「ピンポン」というチャイムとともに玄関の鍵がガチャリと開き、そして・・・。

・・・バッドエンドはちょっと深掘り過ぎかもしれません(笑)

一つの文章でも捉え方がそれぞれあるので面白いですね。


次回のお題にもチャレンジします。
引き続きどうぞよろしくお願いします!





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