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鑑賞レビュー:アーティゾン美術館 第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap

ダムタイプについては、その名は知っていたのですが、海外公演が多く日本国内では見る機会の無い謎のユニットでした。

ヴェネツィアビエンナーレについても特に興味ないけど、アーティゾンの展覧会を全部見てるので今回もやってきました。ヴェネツィアビエンナーレの好きそうなエッジのきいた表現でした。

また、プロジェクト”remap"に参加された、坂本龍一さんがご存命中に見に行ったのですが、私がアーティゾンに行った直後に坂本さんの訃報を聞き、とても寂しくおもいました。

坂本龍一さんはコロナ禍にあって、音楽の力が人を力づけると信じてオンラインの番組をつくられていました。
たまに声を振り絞りながらお話されてることがあり、その姿にいつも勇気をいただいていました。


展示室に入ると、それは、展覧会というよりは「空間」でした。

無機質な暗い空間の中、壁に隔てられた内部にはいりました。

レーザーのような赤い光

内部では点滅する光や走査線、外からかすかに聞こえる声のような音。

壁の外側に出ると白く光るレコードプレイヤーが並び、小さなボリュームで街を彷彿とする音が漏れ出るように聞こえてきます。

坂本龍一さんのプロデュースで世界各地から集められた「音」だといいます。

どこかのざわめきがきこえてきました。

白く光るプレイヤーに近づくと、町の名前が書いてありました。

ノイズのようなささやかな音を耳にしながら点在する光るプレイヤーからプレイヤーを訪ねて歩きます。

音のしないプレイヤーもありました。

大きな部屋につながる小さな部屋に入ると上から降りてくるような四角い空間の内部に光る文字が次から次へと表れて、動き回り、そして消えて行ったりしていました。下には光る矩形。

光る文字列にはなんの意味が?

どれも浮かんだり消えたりする私たちの意識の内部と外部のように思えました。

走査していく光に導かれるように、暗いけれど不安のない空間を歩きました。

怖くなかったのは音のせいでしょうか。

外に出ると内部にいた時の意識を思い出せませんでした。

夢を見たことは覚えているけれど、起きた時にはどんな夢だったか忘れてしまっているような感覚でした。

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