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鑑賞レビュー:慶應義塾ミュージアムコモンズ ”やるな国芳!!さすが北斎!” 八角塔カフェのかき氷がたべたくて。
6月18日の東京は気温30度を超える夏日でした。
汗をかきながら到着したオペラシティで今井俊介展を見た後、三田にある慶應義塾ミュージアムコモンズで開催中の浮世絵展” やるな!!国芳 さすが北斎”を見に行くことにしました。
最近、国芳は人気が出てきて展覧会を見るのに観覧料が2000円くらいするところもありますが、ミュージアムコモンズは研究機関なので無料でした。
うれしー!
北斎も国芳も大好きな絵師なので展覧会も見るつもりでしたが、その日は慶應義塾大学のキャンパス内にある八角塔カフェの展覧会コラボメニュー、富嶽三十六景から”山下白雨”をイメージしたかき氷がどうしても食べたくて、オペラシティではお昼ご飯どころか水すら飲まずに電車に乗って直行しました。
八角塔カフェは慶應義塾の旧図書室館のなかにあり、14時から15時まではお休み中なので、展覧会を先に見ました。
慶應義塾ミュージアムコモンズ(KOMECO)のコレクションも点数はそれほど多くありませんが質の良い作品ばかりで見ごたえあり。(浮世絵は版画なので刷り状態のあまりよくないものや後刷りといって版木がくたびれてきてからのものもあるのでクオリティにばらつきがある事もあり)
今回の展覧会では北斎の富嶽三十六景がすべて展示してあるわけではなく”山下白雨”と凱風快晴の2点は前期と後期に分かれて展示されていて、その日は凱風快晴の展示日だったのでみられませんでした、残念!
”凱風快晴(赤富士)”「これがあの赤富士かー!」と思ってボーっと見てしまいました。
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北斎の絵は人物や動物の表情や日常生活の切り取り方から”面白い!”とか”カッコいい!”とかそんな印象ですが、画題が風俗的な題材であってもその洗練された構図や色彩が画風の品格を落とさない理由の一つだと思いました。
国芳の江戸のポップスターを標榜する洒脱で勢いのある表現も堪能できました。色彩が北斎よりも強く派手好み、また、画題は唐風のものを選んでいることも多いのですが西洋画のコレクションなども収拾されていたようで、西洋文化の影響も受けていたために和風、唐風、西洋風がまざったおもしろ表現もあり、見る人を楽しませるための工夫を惜しむことのない絵師だったのだと思います。
最後の展示室ではとても珍しい墨の直筆絵、浮世絵の下絵画稿を見ることができました。国内では見たことはありませんでしたが、海外で収拾されたものが経緯不明で手に入ったという事で展示されていました。薄い和紙に描かれた筆の勢いの残る浮世絵の下絵は初めて見ましたが、下絵は一般的には刷りの段階で消費されてしまうことが多いと聞いていたので見られたことは幸運でした。
一部には北斎や国芳の直筆がある可能性もあるとのこと。
珍しい図版なので1000円で2冊の図録集を買ってしまいました。
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そして八角塔カフェ。
築100年の歴史のある建物≪慶應義塾旧図書館(現福澤諭吉記念館)≫の一角にあり、アールデコ様式のシャンデリアの下がる素敵なインテリアのカフェです。
コーヒーが800円とお値段がアレなので普段はあまり混んでいないのですが、その日は待ち時間があるほどの混雑でした(というか席数が少ないのですが)
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待ち時間に図書館の2階でやっていた「慶應義塾の歴史」みたいな展覧会もチラ見してみましたが、意外に人が入っているので驚きました。
創始者の福澤諭吉先生が非常にアナーキーな変人だと知ったのもおどろき。
しかし、書面の文字が几帳面で美しく、清廉さが伝わりました。
入り口にハンチングをかぶって股引にしりっぱしょり姿の福澤先生の写真が展示してあり、ちょっと現在の「慶應」のイメージとは異なっていてほっこり。
20分ほど待ち、かき氷はやってきました。
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"山下白雨"ほうじ茶シロップのかかったこげ茶のかき氷の上に竹炭の黒いパウダーがかかり、山の上の雲にみたてた甘酒のホイップクリーム、ホワイトチョコの稲妻。上から食べていくと墨の塗られた器の中には黒いかき氷と小倉あんがはいっていてサプライズ。
最後にはお口の中にしっとりした甘さがひろがっていきました。
目も舌もたのしみました。