つれづれ:アーティスト進藤詩子氏によるワークショップ/身体をつかって風景を描く~ 土と墨のドローイング
2024年 3/20(水) 横浜市民ギャラリーあざみ野の企画 Showcase Gallery ”シリーズ陶の表現 進藤詩子展(3/16~ 5/26)” で、ドローイングと陶による作品を出品されている進藤詩子さんのワークショップに参加しました。
(カバー画像は進藤詩子氏による)
進藤さんのワークショップは”紙と陶に描く「いつかどこかの風景」と題され、紙には水墨でドローイングを、小さな陶器に化粧土で”こころに浮かぶ風景”を描いていくというプログラムでした。
午前中は、さまざまな形に切った水彩紙に「墨で線を描いていく」という、単純ですが、緊張感のある作業をすることからはじまりました。
水墨による描画は、紙や墨、筆に含まれる水の性質を生かした抒情的な表現技法です。
私は墨のドローイングをするのははじめてだったので、紙と墨、硯、筆などの材料や道具を渡されたときには「何を描こう?」ととまどってしまいましたが、進藤さんの「まず、線をまっすぐ引いてみて」というアプローチに沿って線のみを描くことにしました。
まず、書く前の準備として「墨を摺る」という作業をしました。
墨を立てて腕を動かしていくうちに身体が作業に向けて整っていくことに気づきました。とろみがつくまで摺っていくとつややかな黒色ができあがりました。
墨を摺り終わると水を入れた絵の具皿に何段階かの濃度の溶き墨をつくり、水分を調節して含ませた筆で線を引くことに集中しました。太さ、濃淡、いろいろなことを考えながら描きましたが、だんだん筆を紙に置くのが気持ちよくなってきて、「点」も描きたくなってきました。
筆を置いたり、引いたり、滑らせたり、その動作を繰り返していくうちに楽しくなって、時間いっぱいいろいろな点や線を描いて終わりました。
午後からは先生が成形された器に白の化粧土で風景を描くことになっていました。
「風景を描く」と言っても、具体的な何かを描くということではなく、いわゆる「風景として見立てられる」抽象的な表現のことでした。
”抽象的な表現”については考えていても何も思い浮かばなかったので、先生に化粧土のたまりの中に器を漬け込む方法や筆を使った度リッピングの方法、歯ブラシで土を弾き飛ばす方法、などを教えていただきなんどか練習してぼんやりとしたイメージを作ったのちに自分の器に化粧土を施しました。
墨や土を使って身体を動かしていくと、自分が何かを作るために具体的な計画をして描くよりも、身体を使うことに集中して描く偶然できてきた自然の線や点のほうがずっと美しい気がしました。
身体を使って描く心地よさと、現象としてできてくる図像としてのドローイングの美しさに気づくワークショップでした。
次回のワークショップまでに焼成がなされ、参加者はお互いの作品を鑑賞します。