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鑑賞力や創作力を鍛えるヒント

写真を撮るようになって、他の人が撮った写真を意識的に観ることを習慣化してきました。いい写真はなぜいいのかを考えて、それを自分の写真などの表現に取り入れるためです。

ただ、これまで、芸術など作品というものを鑑賞をする習慣が無く、正直、どうやって観たらいいのかわかりませんでした。

そんな時、一冊の本と出合います。

機動戦士ガンダムなどの作品で活躍されてきた富野由悠季さんが書かれた『映像の原則』という本です。

この本の中で、鑑賞能力や創作能力を高めるためのヒントが書かれています。僕にとって、この引用は金言です。

ぼくも長いあいだこの仕事をさせてもらったおかげで、時代性、対象観客、公演スタイルといったものを考慮して、エンタティンメントを提供すべきだと考えるようになりました。

その結果、演技が分かるためにはどうするか?鑑賞能力を高めるためにはどうするか?創作能力を上げるためにはどうするか?と考えるようになりました。

解答は単純です。

すべからく良い芝居をみて、良い本を読み、良い映画をみて、面白いゲームをして、良いファッションを意識して、自己訓練するしかない、ということです。

アニメだけ、デジタル物だけ、絵画だけ、小説だけでは、ひろい見識もセンスも身につきませんから、複合的な作業である映像作家にはなれません。

(中略)

昔、呉服屋の小僧さんにはいった初心者には、まずもっとも高価な反物を触らせると聞いたことがあります。それを三年つづけて、良いものを知れば、悪いものは自動的に分かるようになるというのです。悪いものを見たり触っても、良いものの良さは絶対にわからないというのです。これは真実ですから、この修行を自分に課すべきなのです。

それは、食べ物でも人付き合いでもそうですから、すべからく上等といわれているものを見て、聴いて、触り、付き合うことなのです。

本物にふれる、付き合うということが鑑賞能力や創作能力を鍛える絶対条件なのだと分かっただけで、この本と出合った価値があります。

この教えがあって、最近は特に評価されている人の作品を意識的に観るようにしています。

つい先日も、ゴールデンウイークで実家に帰省する前に、銀座のシャネルであったサラ・ムーン写真展に行ってきました。

展示会場一面が真っ白で、まるで異次元空間にいるかのような感覚でした。サラ・ムーンの幻想的で夢の中にいるような写真の作風と、この真っ白な空間がマッチしていて、世界観に引き込まれました。

これからもできる限り本物に触れる機会をつくって、鑑賞力、そして、創作能力を磨いていきたいです。

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今回のカバー写真は、ゴールデンウイークで京都に帰省して、京都御所に行ってみた時に撮った写真で、昼休みの時間帯にサラリーマンのおじさんが休憩しているシーンです。

京都御所は、新緑に包まれていて、静かな時間が流れていました。


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