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大学院生と現役教員の架け橋(研究と現場をつなぐ)

(2025.2.25更新)2020年にオランダへの移住を決定し、残りの1年で公教育の中でやっておきたいと思っていたことの3つ目は、「現場の教員」と「教職大学院の学生」をつなぐ活動です。インターンシップに来てくれた教職大学院生との話し合いの中で、研究と現場が手を取ればもっと良い教育の実現に向かえるのではないかというささやかな疑問から企画することにしました。


大学院生のインターンシップ

 私が勤めていた高等学校では、大学からの実習生だけでなく、教職大学院の学生の実習も請け負っていました。1回生の9月に3週間、2回生の4月に7週間の2度にわたる10週間の実習です。大学院の学生の実習を何度か担当させてもらい、それぞれ教科指導とクラス指導に関わってもらいました。実習生を請け負うメリットは、クラスの生徒達が年齢の近い学生と関わることができるところです。学校外の人との関わりが限られている生徒達にとって、外部の人に関わってもらうことは良い機会になります。

 学部生の実習との違いは、教育実習を既に一度経験しているところです。また、教職に関する専門的な研究を行いながら実習に入るため、担当する私たちにも大きな学びがあります。こちらが指導側になりますが、授業に関してこれまで現場で実践した私の経験と、学生が大学院で学んでいる研究を照らし合わせて考えられるところが充実していました。

教員養成において重要な「実習」

 私が高校現場で見てきたのは、実習生を受け入れる場合、どちらかというと嫌がる教員が多かったように思います。それは、業務上実習生を受け入れる余裕がないからで、実習生を受け入れたとしてもあまり綿密なサポートができていなかったようにも思います。私が学部生の時に教育実習でお世話になった先生は、部活動が終わって生徒が帰った後の19時ぐらいから模擬授業を見てくださっていたので、今考えてみればその環境自体が異常だったと思います。
 教員養成課程の中では、教育現場での「実習」はとても貴重な時間です。教育実習だけの観点であれこれ議論をするのは難しいですが、教員になるための「貴重な経験」には変わらないので、受け入れる側にも余裕を持てるような労働環境であってほしいと思います。私が実習生の1人目を担当した時は、子どもの保育園の送り迎えを妻と分担しており、勤務時間中は学校内で終わらせなければならない業務を優先しなければならず、その後遅い時間まで職員室に残って打ち合わせをすることができなかったので、家に帰ってから実習生と電話で授業に関する打ち合わせをしていました。
 私が大学の教職課程で教育について学んでいる時は、現場経験のある先生があまりいないこともあってか、授業の中では理論的な話が多く「実践」と「研究」には乖離があるように感じていました。実際に現場に出てみると実践と研究の両方を常に繰り返しながら考えることが大切だと分かりましたが、多くの学校では「授業研究どころではない」というのが学校教育の現状だと思います。

授業見学や議論は相互にメリットがある

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公立高等学校での実践と経験を有料マガジンにまとめました。授業が成立しなくて悩んだり、働き方に疑問を持ちつつ自分ができることを考え取り組んできました。 ・工業高校で出会った専科の学びの重要性 ・アクティブラーニングで学ぶ受験対策の授業 ・高1世界史での探究授業 ・大学院生と現場教員の交流会 ・受験が終わった高3生との読書会 など学校現場で取り組んできたことを全て載せています。

公立高校の教諭として勤めた8年間(2012.4〜2020.3)の記録です。授業実践やクラス運営における生徒たちとの関わりについて、自分が実…

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