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「自分が今幸せなのかどうか」を客観的に見るための"PERMA"[449]

 2011年にセリグマンというポジティブ心理学の父と呼ばれる博士が"PERMA"を提唱しました。これは、ウェルビーイングに関する5つの領域の頭文字をとったもので示されています。彼は、この5つを満たしている人は幸せだと言っています。私たちの「幸せ」という、重要だけれども曖昧な概念をより分かりやすくするため、子どもたちの幸せを考える前に大人自身がどのような状態にあるのかを考えてみることも大切だと思います。

"PERMA"とは?

"Positive Emotion"(ポジティブ感情)
"Engagement"(何かに没頭する)
"Relationship"(人との関係)
"Meaning"(生きる意味)
"Accomplishment"(達成)

①ポジティブな感情をもつ人は幸せ

 嬉しい、面白い、楽しい、感動、感激、感謝、希望
 などポジティブな感情を持っている

②時間を忘れて何かに没頭できる人は幸せ

 フロー体験や、スポーツでのゾーンなど時間を忘れて没頭できる

③人との関係を持っている人は幸せ

孤独状態は幸福度が低くなりやすい
孤立・孤高状態は幸福度が低くなる訳ではない
 他者と「援助を与えたり受けたりする関係」にある

④生きる意味を見出す人は幸せ

 自分より大きい存在(社会や地球、宇宙など)とつながりを感じている

⑤達成

 これは達成に限らず、その過程での努力も含まれる
 何かを成し遂げるために一生懸命に頑張る人

 私がかつて経験した受験勉強をしていた時の自分で考えてみると、5つ目の達成という項目は大きな幸福感があったかもしれませんが、ポジティブな感情や人とのつながりは強くなかったように思います。一緒に勉強する友達はいましたが、一緒に何かをするのではなくお互いにしんどい気持ちを共有したりすることが多く、また「大学合格」という非常に空虚な目標であるため、生きる意味を感じることも薄かったように思います。しんどいぐらいに努力して何かを達成するというのは、それはそれで意味があるかもしれませんが、改めて他の項目とのバランスも考える必要がありそうです。

自分の「偏り」を可視化するために

 個人の「幸せ」は非常に捉える範囲が広く、その捉え方がさまざまであるからこそ面白いという側面があります。しかし、客観的に見たら本人は苦しんでいる状況(例えば長時間労働で身体に異変が出そうな状態で、本人が「自分は仕事をすることが好きだからいいんだ」というような場合)で、「私が幸せだと感じているんだからいいじゃないか」と思っている場合、それを少し俯瞰的に見られる指標が必要になります。

 私自身もオランダで暮らすようになり、総合的には幸せだと感じられる生活を送ることができています。しかし、たまに感じる「満たされない部分」を可視化するために、非常に便利な指標だと感じました。私の場合、性格と言語の面で「人との関係をもっと広くしたいのになかなかうまくできていない」という認識をつかまえることができました。自分の幸せについて、深く考える良い機会になると思いますので、この指標を使っていろんな人と対話することも新しい気づきにつながっていくのではないでしょうか。


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