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「考える」社会科への挑戦 中学生の高校授業体験
(2025.2.22)私が勤務していた高校では、中学生が学校見学を兼ねて授業体験をするというイベントがありました。
社会科を勉強する時のイメージ
私が学生の頃に抱いていた社会科の勉強のイメージは、ひたすら効率よく暗記していくことが重要で、なるべく多くの知識を暗記できていることが良いことだと思っていました。
そして高校に入るまでは、私自身も短期的な暗記によって高得点を取ることができました。それが、高校の定期テストまでは同じような方法で何とかなるとしても、大学受験の勉強となった時にほとんど通用しなかったのです。社会科の勉強の本質がその時はわかっていませんでした。
今の私が思うことは、授業の時に先生がいくら「考えろ」と言ったところで、授業が一方向的なもので、さらにテストの問題が「考えなくても」解ける問題ばかりだと、生徒達が考える習慣を身につけることは難しいということです。
アウトプット中心の勉強は面白かった
私が小学生の頃「地元の地図作り」や「都道府県調べ」、「歴史新聞作り」などの活動がとても楽しかったのを今でも覚えています。また、中学生の時には「職業体験」で近所の商店街のお店の方にインタビューやお店のお手伝いをさせてもらったりしたことも印象に残っています。自分たちで計画し、じっくり調べそれを発表という形で他の人に伝えることがとても楽しかったのだと思います。
社会科を勉強するのが楽しいと初めて思えた大学のゼミ
社会科の勉強の面白さを実感できたのは、大学生の時でした。社会政策を専門とする教授と5人のゼミ生で、カール・マルクスの『資本論』を読み、内容の確認やゼミ生が立てたトピックについて議論しました。その時に、歴史が人々の生活や社会の変化に大きく影響していることを改めて実感したのです。
また、発表者が自ら議題を自分で立て、それについて議論する楽しさも同時に感じることができました。私は元々環境について考えることが好きで、「持続可能な社会」について興味を持っていました。西ヨーロッパを中心に近代文明が発展し、これらが環境問題や人権問題など今の社会の諸問題ともつながることが分かった時に、より興味が湧きました。これは知識を覚えたのではなく、概念として学んだと言えます。
その経験から、社会科の教員を目指すようになり、歴史の勉強を知識が定着しているかどうかを評価することに終わらせるのではなく、学んだ知識を正確に説明し、それらを活用して独自の視点で考察できているかまでを評価できるような授業づくりがしたいと思いました。
中学生向け体験授業
担任しているクラスの生徒たちに、中学生の時の授業の様子や勉強の方法についてよく聞いていました。
「中学校の時の社会は、覚えろ覚えろばかり言われましたよ。」という生徒も多くいた(実際に高校でも覚えろ覚えろばかりになってしまっているのですが、、、)ので、実際に中学生が日頃どのように学んでいるのかを知りたいと思い、夏休みに学校で行っている体験授業に私も授業をする側として参加することにしました。
体験授業で与えられた時間は60分です。テーマは自由に設定することができたので、「『覚える』から『考える』社会科」にしました。
次にどの単元を扱うのかについて決めなければなりません。これにはかなり時間がかかりました。
ちょうど3年生の「政治・経済」の夏期講習で「パレスチナ問題」についての授業をしたところだったので、中学生にも「宗教」について考えてもらうことにしました。中学生が使う歴史と公民の教科書を用いて、十字軍やイギリスの外交などを簡単に触れながら、複雑なパレスチナの情勢について学び、白とも黒とも判断できないような問題にどのように向き合って行くべきなのか、むしろ正解なんてないことが世の中にはたくさんあるということを実感してもらおうと思いました。
思考を奪われた?子どもたち
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