ブンタンを食べただけなのに
美しく鮮やかに光る黄色、
両手で抱えてフィットするサイズ、
ほんのりとあたりを清める香り。
ブンタンをいただきました。
貰ったときから心地いい存在感を放つこのブンタン。私はこの黄色いコに少し愛着を感じていました。
とはいえ、飾りものではないし。
数日置いて楽しんだので、いよいよ食べることにしました。
いつもは適当に皮をむく私。でも、なんだか今回は特別扱いをしたい気がする。
そこで、わざわざ包丁を使って、その黄色い皮に綺麗に切れ目を入れました。皮をむくと、想像以上にみずみずしい香りが飛んで来ました。その香りが心にも優しくやって来て、爽やかに吹き抜けました。
その身を口に入れると、酸っぱさと苦さの中に絶妙に隠された甘さが広がりました。私はこの味を求めていたようで、無心で食べました。丸々一個のブンタンは私のお腹の中へ。
食べ終わって大満足の私は、皮をいつものようにゴミ箱へ捨てようとしました。
ん?ちょっと待てよ?
少し愛着のわいたブンタン。楽しませてくれたブンタン。その皮を簡単に捨ててしまうのは、何か違う気がする。
心に合わない気がする。
捨てずにすむ方法はないだろうか?
もう若くはない人生を遡って、記憶の箱をさっと検分します。
その時間、数分。
以前食べた夏みかんのピールがヒットしました。
あれはたしか夏みかんの皮を使っていたはず。夏みかんでできるのだからブンタンの皮ででもできるだろう。
作る前はただの皮、キミはほんまに食べれるのかい?っていうくらい皮。
でも、ゆでたり、ボイルしたり、茹でたり、水につけたりする内に、それっぽいものになっていきます。
完成品はこちら
お茶やお酒のおつまみにぴったりなキミ。
ヨーグルトやアイスクリーム、ケーキなどに一口添えるのも、少し格が上がって気分も上がる美味しい食べ方です。
ブンタンピールのレシピはググればすぐでてくるので、作った過程は簡単にご紹介。
①塩水で洗う。
②ひたひたの水で10分ゆでる、ザルでお湯をきる。これを後2回繰り返す。
③冷水に20分浸ける。
④ザルで水を切り、キッチンペーパーで水分をとる。
⑤④に砂糖をいれて煮詰める。
⑥キッチンペーパーを敷き、⑤を広げて表面を乾かす。
⑦半乾きになったらグラニュー糖をふりかける。
ただブンタンを食べただけ、
ただその皮をピールにしただけ、
ただそれだけのこと。
でも、とても満たされました。
豊かだと感じました。
それは、愛着を感じていたこのブンタンを皮までいかすことができたから。
いつもは捨てている不要だと思っていたモノに、価値をみつけることができたから。
何気ない日常の中に、あらたに好きを見いだせたから。
それが、とても嬉しい。そんなささいなことが喜びだと思う。
そういったことを、そういった時間をこれからも大切にしていきたい、そんな風に思う今日この頃でした。
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