見出し画像

誘惑と上手くつきあう方法

 前回の記事「格闘漫画『バキ』から学ぶ。我慢は人を強くするのか」では、短期的欲求に身を委ねることは悪いことなのかについてお話しました。

 今回は、誘惑によって支配されない方法について、実体験と依存症などに関する書籍を読んで得た知識を踏まえて紹介していきたいと思います。
 誘惑に駆られて後悔する行動を取ってしまったことがある方には参考になるかと思いますので、是非見ていってください。

短期的欲求を促す脳と落ち着いて考える脳

 行動経済学の研究結果で、脳には早く機能する思考と遅く機能する思考があるとされています。
 早い思考は瞬間的に判断する思考で、ほとんど無意識に出てくる直感的判断になります。天敵に襲われたときに逃走するべきか闘争するべきかを生存するために瞬間的に判断することに役立っていたそうです。
 ゆっくり時間をかけてから逃げたほうがよいなと判断していては敵の格好の餌時ですからね。

 遅い思考はじっくり考えて物事を判断する思考で、論理を組み立てて考えてみたり、セルフコントロールをするときに使用します。動物はこの脳が発達していないため本能のまま行動していますが、ヒトは早い思考を司る大脳辺縁系の外側に生まれた遅い思考を司る大脳新皮質が発達しているため、短期的欲求に左右されない判断ができるのです。
 お米を育てて長期的な食べ物を得ることができたり、動物を育てて移動手段にしたり長期的な目標に向けて努力ができるのもそのお陰ではないでしょうか。(動物が冬眠に向けて餌を確保するのはどうしてなのか気になるところですが。)

 短期的欲求に負けるということは、遅い思考が早い思考を制御できずにいるということですね。早い思考は生きるか死ぬかの瀬戸際に機能するためパワフルで衝動的で、遅い思考でコントロールできない場合があります。

環境を変えれば麻薬さえもやめることができる

 短期的欲求に負けないためには、短期的欲求を稼働させるトリガーと出会わないようにすることが一番の解決策です。

 ベトナム戦争に参加したアメリカ兵の85%は、依存度の高い麻薬であるヘロインに手を出していました。ベトナムにいてもすぐに戦場に足を踏み入れるわけではなく、数週間から数ヶ月、ときには数年も待たされるため、退屈しのぎに手を伸ばしてしまうそうです。

 ヘロインは再発率90%と一度手を出したらやめられる可能性が非常に低い麻薬ですが、なんと依存症から回復して母国に帰還した兵士の90%が再発しませんでした。

 この理由が環境を変えたことにあるとされています。麻薬を手にしていた環境とは異なる日常に戻ったため、麻薬のことを思い出す機会がなくなり、短期的欲求と闘う必要がなくなったのです。

 先の事例を踏まえ、スマホやゲーム依存から回復させるための寮では、晴れて卒業したとしても依存していた場所で生活しないことをおすすめしています。

私が行った誘惑と上手くつきあう方法

 私は、遅い思考は早い思考に勝てないことがあるということと、環境を変えることで依存症もやめられるということなどの知識を活用し、誘惑に負けないような仕組みを整えました。私の場合は、依存性が高くなる仕組みがふんだんに盛り込まれたゲームに依存しかけていたので、それをどうにかすることが大事でした。

 特にゲームがしたかったわけではなく、ストレスが掛かったことによる逃避先としてゲームに手をつけていました。(ただ、この思想がとても危険で、人は何らかの行動や物質を心理的苦痛を和らげるために利用したら依存症になりやすいそうです。)

 対策として実施しているのは、4つです。
①スマホのパスワードを18桁にする
→無意識にスマホを開かなくなりました。スマホを開くのが億劫になる。

②特定のアプリを使用制限するアプリ(APP BLOCK)を使用
→特定のアプリを使用できる時間帯や利用時間を制限でき、設定すら変更できないようにする厳格モードもあるので、どうあがいてもゲームができません。

③アプリのアイコンを非表示にし、テキストが並ぶようにする。
→アイコンによる非言語的な表示方法は情報伝達が早いため、ミニマリスト向けのアプリ(Indistractable Launcher - The minimalist launcher)でテキスト表示にし、スマホの魅力を落としました。

こんな感じです。

スクリーンショット 2020-09-18 1.04.22



④別の楽しみを見つける
→スマホを全く持たない生活は仕事上できないため、スマホがある限り依存を促すトリガーから完全に解放されることはありません。そのため、①②③をしただけでは単に我慢をし続けることになるので、ストレスが掛かり続けます。
 そこで、別の楽しみとして本を読むことや新しい行動をすることを選んでいます。


まとめ

いかがだったでしょうか。
 なぜ人は短期的欲求に駆られるのかを早い思考と遅い思考を紹介することでお伝えし、短期的欲求に負けない方法について事例や実体験をもとに紹介していきました。
 この他に、運動や睡眠、食事などの健康に良い生活をすることがセルフコントロールを維持し、鍛えることにつながるといった話もありますので、今回の話を聞いて興味を持ちましたら、私が参考にした関連本を読んでみてはいかがでしょうか。

本日紹介した知識に関連する本は以下にまとめておきます!

■早い思考と遅い思考に関する本
ファスト&スロー 著:ダニエル・カーネマン
人は感情によって進化した 人類を生き残らせた心の仕組み 著:石川幹人
ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45 著:鈴木 祐

■依存症に関する本
僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた 著:アダム・オルター
デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する 著:カル ニューポート

■(おまけ)健康に関する本
脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方 著:ジョンJ.レイティ, エリック・ヘイガーマン



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?