天を灼く【読書のきろく】
まっすぐさを信じて応援している自分に気づく物語
あさのあつこさんと言えば、『バッテリー』が有名でしょうか。名前は知っていたけど、作品を読むのはこれがはじめてです。公民館で、新たに仲間入りした本として紹介されていたのを見かけて、借りてきました。
物語の舞台は、江戸時代のようです。武士の嫡男として、不自由のない生活をしていた主人公は、ある事件を境に暮らしぶりが一変します。罪人の家族として、苦しい生活をしいられる。そこではじめて人々が生きる姿を知る。
子どもには見えてなかった、社会の、人の心の、表と裏。親子とは、友とは、政治とは、何なのか。少年から大人になろうとする主人公がぶつかる現実と、ゆれ動く心。
疑いを知らず、まっすぐに生きる姿に、お前だけはどうかそれを貫いてくれと応援している自分に気づきます。物語の主人公としてその世界に入り込むのではなく、応援している誰かになって見つめていたのは、描き方に理由があるのかもしれません。
完全に個人的な感じ方だけど、いわゆる「時代劇」のような表現で書かれています。セリフも、情景描写も。なので、自分もその中にいる感覚ではなく、画面のこちら側から時代劇を観ているような感覚でした。僕は、落ち着いて読めました。
今回は、三部作の第一弾。まったく全貌がつかめなかった政治の闇の、最初の扉が開かれました。ただ、友と笑い合っていればよかった日々から、一歩踏み出したところです。わずかな期間に、主人公はぐっと成長しました。これからどんな危険なことが待ち受けているのか、そして、事の真相はどこにあるのか、展開が気になります。引き続き、応援していきたい物語です。
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