【読書のきろく】伊豆の踊子
まだ読んでなかった文学作品を読もうシリーズ。
今回は、川端康成の『伊豆の踊子』。
川端康成と言えば、日本人のノーベル文学賞受賞者第一号。
「日本人の心情の本質を描いた、非常に繊細な表現による叙述の卓越さ」が受賞理由となっています。
まだどの作品も読んだことはなく、『雪国』も気になりますが、文庫本が手ごろだったこちらを先に。短編5編が収録されて約200ページでした。
孤独な生い立ちの青年が、旅先で旅芸人一座の踊子に恋をして、数日間の旅をしながら心がほぐれていく物語。恥ずかしがりながらも、少しずつ距離が近づいていく様子に、読んでいるこちらも笑顔になっていきます。
結局は、結ばれることなく別れてしまい、ちょっと切ない気持ちも味わえます。
最後は、青年が涙をこぼし、「その後には何も残らないような甘い快さだった」と結ぶ。さわやかな読後感でした。
『伊豆の踊子』と一緒に収録されているのは、こちらの4作品。
・招魂祭一景
・十六歳の日記
・死体紹介人
・温泉宿
インパクトが強かったのは、『十六歳の日記』と、『死体紹介人』。
『十六歳の日記』は、学校に通いながら祖父の介護をした日々が綴られています。食事や排せつの世話をし、それが嫌になることもあるけど、元気になってほしいと願いながら日々を過ごす。愛情と葛藤が伝わってきます。
『死体紹介人』は、昼と夜に同じ部屋を使いながらお互いに会わない奇妙な生活スタイルの男女と、2組の姉妹が、「死」を通して交わる不思議な物語。ウソを重ねた先がどうなるのかドキドキしたり、感覚的な人の死と新だ肉体をどう扱うかを考えさせれらます。
5作品を通して、男女の性別観や上下意識が今と異なるという時代背景が感じられるけど、それを今と違うと切り捨てるのではなく、今がどうあるのを改めて見つめる材料にもなりそうです。
本によって、収録されている作品が多少異なるようです。他の作品も気になります。
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読書のきろく 2020年38冊目
「伊豆の踊子」
#川端康成
#集英社文庫
※僕が読んだ本と同じものは、Amazonで探すことができませんでした。
投稿した写真は純朴すぎで、リンク先の荒木飛呂彦さんの表紙は艶っぽすぎるかなぁ・・なんて思いました。
僕の踊子の印象は、この中間くらいですね。