【読書のきろく】ボトルネック
『夜のピクニック』をオススメしてくれた人から教わった作品。
誰かに教えてもらうことで、知らなかった作家さんや作品に出会えるっていいですね。そこには、知らなかった世界があります。
知らなかった世界を体験するという意味では、この物語の中身もそうです。
ふとしたきっかけで、不思議な世界に迷い込んだ主人公。その世界は、自分が生まれなかった世界。もとの生活では存在していない姉がいて、「もしも」の世界を体験しながら自分自身を見つめていきます。
置かれた環境や人間関係をあきらめて、受け入れたことにして生きてきた。生きる意味を感じることもなかった。
でも、通過点だと思っていたことが、実は分岐点だったら?あの時の、あの言葉や行動が、もし違っていたら?
不思議な世界での体験によって、あきらめていた世界は自分が作ったものだった、と知ってしまった感覚。自分次第でどうにでもなると思えたら希望になるけど、自分のせいだと思えば苦しくなる。
強く生きられるのか?という前向きな疑問、逃げ出したくなる不安、知ってしまったからこそ抱く葛藤を、主人公と一緒に味わえます。
誰にでも、後悔とまではいかなくても、過去の気がかりとなる出来事はあるのではないでしょうか。
想像力を働かせて違う選択をした世界を体験して、今に戻ってくる。それでもやっぱり今がよかったと言えるのか?
もっと時間が経ってからも、これでよかったと言える生き方をしていけるのか?
そんなことを考えさせてくれる作品でした。
◇
読書のきろく 2020年41冊目
「ボトルネック」
#米澤穂信
#新潮文庫
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