殺人の門【読書のきろく】
「日常と悪意は同居してると感じさせられる本だよ」
そう紹介してもらった作品、読みました。
怖い話は苦手なので、タイトルと僕だけの判断基準しかなかったら、これまで手に取ることはありませんでした。
それが、妻が東野圭吾さんファンだから家に本があり、友人の紹介で頁を開く。
出会いとは、おもしろいものです。
この作品の主人公も、いろいろな出会いを繰り返しながら生きています。
重く苦しい人生を。
怒り、嫉妬、不満、疑い、裏切り、・・・。誰の心にも、負の感情は存在しているはず。それと同時に、好ましい感情や環境も存在していて、折り合いをつけながら生きています。浮き沈みがあるけど、なんとなく穏やかになっていくのを、心のどこかで願いながら。
それがもし、負の感情がどんどん積み重なってしまったら?あるいは、幸せから不幸への落差が、あまりにも大きかったら?そしてそれが、誰かの悪意によって、意図的に仕組まれていたとしたら?
憎悪が殺意になり、一線を越えてしまう瞬間は、何によってもたらされるのか。主人公の苦悩と一緒に、その暗いテーマに向き合っていく物語。殺意もひとつの感情で、その時その時の状況に影響を受けて大きく膨らみもするし、ひゅるひゅるとしぼんでしまうこともある。その心の動きが、たっぷりと描かれています。読み応えのある作品でした。
毎日の中で生まれるイライラは、最後の一線を越えるようなものとは地続きではないはずだ、と願う自分もいました。
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