答えより問いを探して【読書のきろく】
地域でお世話になっている人に教えてもらって、読みました。
「読むこと」と「書くこと」についての、特別授業が本になっています。著者の高橋さんが実際に行なった授業があって、その時の会話で構成されているので、自分もその中の一人として授業を受けながら考えることができます。
唯一の正解を追い求めるのではなく、自分と向き合ってその時に感じたことを言葉にする。「答えがない」のが答えであるという、頭の中でグルグルまわるような問いかけが僕は好きなので、グルグル考えながら読みました。
読み終えた今、心に書き留めておきたいと思っているのは3つ。
・本の中に先生がいる
・人に読まれる(見られる)ことで、文章が磨かれる
・モヤモヤが自分らしさを教えてくれる
ひとつめの
『本の中に先生がいる』
は、本を読むたびに何かに気づくということ。
登場人物の心情、ひとの言動の背景にあるもの、物事のつながりなど、同じ本を読んでもタイミングによって気づくことや感じることが変わります。そしてそれは、本を通じて、その時自分に必要なメッセージや悩みの種を教えてくれたりもします。
ノウハウ本やテキストよりも、小説や物語の方がそのおもしろさを感じられそうです。
ふたつめの
『人に読まれる(見られる)ことで、文章が磨かれる』
は、そのままですね。
読んでもらいたいのであれば、やっぱり他人の目を意識する必要があります。
みっつめの
『モヤモヤが自分らしさを教えてくれる』
は、高橋さんもすごく大切にされている部分です。
何となく感じる、ことばにするのが難しい感覚。違和感と表現してもいいかもしれません。そこをすくいあげることで、自分が大切にしていることが見えてきます。
人生の先輩に言われると、なんだかホッとします。
あなたたちの年のころには、何か本を読んで世界の秘密が解決するような気がしたこともあります。そして、何もかもがすっきりするんじゃないかって。でも、そうはなりませんでした。ぼくは今年67歳になりましたが、モヤモヤはそのままです。そして、それがいちばん大切なことだと思えるようになりました。そのモヤモヤは、ぼくたちの中にあって、ことばになりにくい何か、そして、いちばんぼくたちらしい何かなんだとぼくは思います。
>答えより問いを探して|高橋源一郎 著(講談社) p.99より
今の僕が、ノウハウ本よりも小説が好きなのは、モヤモヤを味わいたいからなのかもしれない。そんな、分かったような気持ちにもなりました。
読みながらいろいろ考えて、その人なりの何かに気づく。
そんなものを書きたいと思いました。
◇
読書のきろく 2020年51冊目
「答えより問いを探して 17歳の特別教室」
#高橋源一郎
#講談社
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