【詩】淡いものたち
こころの中に描かれる
いくつもの不思議な模様
それは揺らぎ
かたちを変え
泡立ちと消失を繰り返しながら
ただよう
ただそこにある
想いのようなもの
言葉というかたちを結ばずに
ほろほろと崩れてゆくもの
ああそうか
ここにあるものはみな
淡いのだ
柔らかなトーンで
静かに触れなければ
かき消されてしまう
そっと
慎重に
そんなものたちを
認識の縁に引き上げるには
外の物音はあまりに騒がしく
情報も時間も
あまりに速く流れようとする
待って
行かないで
ああ消えてしまった
だから月夜にひとり
私はかたつむりのように閉じる