【詩】理科教室
あなたは世界の切片を
プレパラートにのせて
顕微鏡を覗いている
そこには何が見えているのか
どんなふうに切りとるかで
見え方はずいぶん変わるから
あなたは幾分慎重な面持ちで
薄くスライスした世界の断片を
観察している
わたしはシャーレの中に
希望と空想を培養し
それらが増殖していくところを
観察している
見たいと思う景色を創造し
心に描いた色の花を咲かせるために
ささやかな希望を膨らまし
空想のタネを発芽させる
あなたとわたしの理科教室
薄く切り分けられた世界や
ガラスの容器に閉じ込められた理想では
世界の本質には辿り着けないかもしれない
それでも夢見ている
冷たい実験器具を扱いながら
果てしない探求に明け暮れた先に
世界のほんとうの姿が垣間見えることを