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山岡よしきの短編集

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文才は無いが反射神経だけで書いてます。 いつかどれか舞台化したいです。
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2021年7月の記事一覧

短編「豚汁」

短編「豚汁」

-自分は天井を見上げていて、ソファーに寝転んでいる-

昼食を食べてからごろんと横になって、そのままうっかり眠ってしまったらしい。窓の外はオレンジに染まっていた。少し頭がぼんやりする。「ああ、今日も宿題やらなかったな」と思うから今はおそらく夏休みだ。近くのラジオから女性の声で演歌みたいな。シャンソンっていうの?何かわからない歌が流れている。

-トントントン -

と頭の方から音がして、ソファーに

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短編「霧で見えない」

短編「霧で見えない」

私『残業を終え、ビルを出ると突然の霧。3メートル先が見えないくらいの霧に立ち尽くしています。霧、なんて地元の、しかも幼少期にしか見たことが無かったわたしは少し驚き、そして浮かれてしまいました。そうして家へ帰る道を見失いました。イエス、アイムロスト。迷子です』

(軽快な音楽)

私『わたしが帰るはずの家は、大学の友人たちと一緒に暮らすシェアハウス。都心から離れた一軒家。男2人と女1人。何かが始まり

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