夜風
夜風は音もなく吹いている
あの日路駐した道は街灯だけが頼り
お気に入りのスニーカーで散歩する
手の中が光る
あの人のことを守ると言ったきみ
夜風に抱かれてあのベンチにおさまりたい
丘を登ったら街を見渡せる
夜風になってどこかに消えてしまいたい
手の中がまた光る
きみからの返事はとても淡白
夢見心地にしてくれる夜風
それでも少しだけ朝日が恋しいな
昼に空高くのぼっている月をみたいな
こんな気分にぴったりな曲を選ぶ
スカートの裾をもって軽く踊る
スニーカーの溝に小石が詰まる音
自分の息の音が聞こえる
スカートが夜風を切る音に耳をすます
暗闇の中小さく響く
レールを走る電車の音を聞きたい
夜風の命はみじかいね
裾を戻してまた歩き始める
「夜風」は、詩集「生きたまま捨てられる花々」からの抜粋です。
この作品から得た着想をもとにオーダーメイドドレスブランドVivat Veritas(ビバ ベリタス)さんがラップドレスを創り出してくださいました。