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【文春野球フレッシュオールスター2024】細野晴希は”スーパーピッチャー”になる存在だ!彼を見守る心持ち【under−22MVP】

たけまる(@Scalesyoshikawa)です。

先日開催された、年に一度の野球コラムの祭典「文春野球フレッシュオールスター2024」の特別表彰として、「under−22MVP」に選出いただきました。

本戦出場とはならずとも、野球コラム界の"トッププロスペクト"(?)に認定していただき、大変光栄です。

下記に応募原稿を掲載しましたので、ファイターズファン・アマチュア野球ファンをはじめ、多くのみなさまにご一読いただければ幸いです。

細野晴希こそ”スーパーピッチャー”になる存在だ!彼を見守る心持ち

文春野球コラム フレッシュオールスター2024


2024年6月18日、甲子園球場を訪れた。

後半戦が始まるまでの、少しの休息期間であるこの日。ファイターズの交流戦は終わっていなかった。2023年ドラフト1位・東洋大からファイターズに入団した細野晴希が、いよいよ一軍の舞台でお披露目されるというのだ。
新庄監督は一週間ほど前にプロ初登板を明言し、タイガースとの雨天振替試合で聖地・甲子園という舞台を整えた。

これは何としてでもこの目に収めなければならない!

東京から意を決して、甲子園のとてもとても狭い範囲のビジター応援席チケットを確保。翌朝、始発の新幹線で帰京し、大学に向かうという、弾丸大阪遠征が決行された。

すべては「あの細野晴希の初登板を生で見ていたんだぞ!」と自慢できるような、大投手になる、なるべき存在であると信じてやまないからだ。


はじめて見たのは細野晴希(総3=東亜学園)のころ

筆者が初めて細野のピッチングを見たのは2022年9月6日。東洋大が所属する、東都大学野球の二部リーグ戦。

同じく東都リーグに所属する専修大学で、「専大スポーツ」(通称:専スポ)の学生記者をしている筆者は、初めての大学野球取材という形で、神宮球場を訪れていた。

専大はその日の第2試合。「専スポ」の先輩から「東洋には細野っていうすごい投手がいる。必ずプロに行く。見ておいた方がいい」と教えてもらった。少し早起きをして、先輩に言われるがまま第1試合の東洋大vs.東農大の試合から観戦した。

▲先輩がそこまで言う細野とはどんな投手なのか?しっかりと起きて向かった

見立て通り、東洋大の先発は細野晴希(当時3年)。初めて感じる大学野球の雰囲気の中、彼のピッチングに圧倒された。左腕から放たれるものすごいスピードの真っ直ぐと、消えるようなスライダー。自らも制御しきれないほどの荒れ球で、打者を仕留めていく。回を追うごとにその威力は増し、底知れぬ馬力を感じさせた。9回131球を投げて5安打2失点、5四死球7奪三振。これぞ細野という投球だった。

↑その試合のスコアボード。関係ないけれど、東農大一部昇格おめでとうございます!

それから、専大の試合を取材する傍ら、大学野球の世界に引き込まれ、細野の投球も追いかけてきた。二部の決してお客さんが多いとは言えない球場で、細野の投球を何度も見た。

↑東洋大時代の細野。こちらの写真も「専スポ」の先輩撮影です!

衝撃だったのは、2023年春の入替戦。駒沢大学との初戦に先発した細野はなんと185球を投じ、8四死球を与えながらも一人で投げ抜いた。これが「いい日」なのか「悪い日」なのかは正直わからない。でも、この姿こそ細野晴希なのである。左腕で平均150キロ近くを計測して、どれだけ球が暴れていても、それを上回る馬力で圧倒する。この姿に、ロマンを抱いているのだ。特別なものを持っている投手だ。

↑衝撃の試合

ドラフト会議が近づき、「制球力が課題」という話題が先行した。それはもちろん成績を見れば当然その通りだ。

でも、全てを覚悟した上で、ロマンを追い求めることができる球団は、その年のスケール・ナンバーワンを追い求めるファイターズしかない。個人の勝手な思い入れも含めて、縁があって欲しいと願っていた。

ドラフト会議当日は「専スポ」として、西舘昂汰(専大→東京ヤクルト2023年ドラフト1位)の記者会見に参加していた。西館への質問がひと段落したところで、モニターの中では3回目の入札が行われている。稲葉さんがくじを引き当て、筆者は机の下で大きくガッツポーズをした。

北海道日本ハムファイターズ・細野晴希が(紆余曲折あったものの)本当に誕生した。

という、これまでの”自分と細野の略歴“を思い出しながら、初登板という記念すべき一日のはじめに、まずは東洋大学白山キャンパスに立ち寄って「TOYO」手ぬぐいをゲット。甲子園の中でも、ささやかなアピールがしたかった。

↑こんな時、Fビレッジに住むくまの子“えふたん”キーチェーンは使い勝手がいい

5万人の甲子園のど真ん中にいる細野晴希

東京駅に移動し、試合開始に間に合うように大阪へ向かうも、その日は東海〜関東が局地的な大雨。新幹線も止まり、結局試合開始には間に合わず。東洋大への寄り道が響いてしまった。

甲子園に到着したのは3回表。駅から入場ゲートへ急ぐ道の途中で、8番・上川畑大悟の応援歌がかすかに聞こえてきた。球場内に入り、グラウンドが見えると、9番・細野がプロ初打席に。奪三振よりも先に打席での三振を見るという、不思議なエピソードができた。

↑相手は東洋大の3つ上の先輩、村上頌樹

大アウェイの中、レフトスタンドの一角に陣取ったファイターズファンの中に紛れ込む。
甲子園球場のど真ん中で躍動する細野の姿は遠かった。東都二部、上尾市民球場なら、等々力球場なら、目と鼻の先で投げていたのに。

↑レフトスタンドからの風景

一軍初マウンドの立ち上がりは3回を投げてパーフェクト、三振4つ。ざわつく甲子園。レフトスタンドの一角だけ、皆ニンマリである。4万人のタイガースファン(振替試合なのに!)の前で、そのスケールの大きさを如何なく見せつけた。オレたちのドラ1は誇らしい!

5回、先頭打者への四球から、この試合初めてのピンチを招いた。1アウト1・2塁で、バッターは8番・小幡。ボールが先行する。タイガースファンの迫り来るようなチャンステーマを浴びながら、レフトスタンドの一角は皆、細野晴希を見守っている。「大丈夫だぞー!」「細野がんばれよー!」ポジティブな言葉が飛び交う。ここは甲子園球場。上尾市民球場であれば聞こえたかもしれない客席からの声援も、細野にはきっと聞こえていない。

でも、彼の投球を見るときの心持ちって、これが正しいのかもしれない。

「大丈夫だって!四球の一つくらい問題ない!細野がんばれよ!なんとかしてみろ!」

ファイターズファン、細野を信じてみよう。
球団はきっと、それを見守る覚悟を持って、細野を指名した。
それに応えてくれるスケールの選手。
四球が大嫌いでお馴染みの新庄監督も一緒に、大きな心で細野を見守ろうよ。

結局、小幡に四球を与え、1アウト満塁のところ、4回1/3でマウンドを降りた。まだまだ課題は山積みだ。細野の魅力はここからなのに…!と思う気持ちもありつつ、プロの世界は甘くない。

でも、しっかりとその片鱗を見せつけ、タイガースファンをざわつかせた3回裏が、細野晴希のロマンを感じさせる所以だ。

↑試合は延長11回サヨナラ負け。えふたんもこの表情

本拠地・エスコンフィールドではなく、甲子園での初登板となったことには賛否が出ていた。チームを背負うドラ1なら本拠地で華々しくデビューすべき!正直筆者もエスコンでの初登板派であった。

でも、完全アウェーの甲子園で細野が立ち向かう姿は、これからのプロ野球人生を表すものになるような気がするのだ。そして、その細野を見守る我々ファンの姿勢も教えてくれた。その日のNPBは1試合だけの開催。野球ファンに、細野晴希という存在を見せつけることができた。球場云々は置いておいて、この日にこの環境でデビューできたことは悪くなかったように思う。

細野が指名挨拶で語った目標は、「WBC決勝の先発投手」。間違いなく、その素質を持っている。松坂大輔、岩隈久志、今永昇太、細野晴希。悪くない。その夢を成し遂げて、あの日どよめいたタイガースファンも「初登板を見たんだぞ!」と自慢したくなるくらいの、”スーパーピッチャー“になろう、細野晴希!

↑翌朝、えふたんとともに帰京。
えのきど監督、反応いただきありがとうございました!

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