教職大学院ってどんなところ?—自身の振り返りも兼ねて—
もう少しで大学院に入学し2年が経ちます。現在,上越教育大学 教職大学院 教科教育・学級経営実践コースに在籍しています。この2年間で何をしていたのか書かせていただこうと思います。また,これから教職大学院に進学される方や目指している方に何をやっておいた方がいいのか伝わればいいなと思っています。
【大学院に進学した理由】
私が,大学院に入学しようと決めた時期は大学4年生6月頃だったと思います。それまではずっと就職活動をしていました。内定もいただいておりました。就職活動をしながら,大学院に行こうかずっと迷っていました。就職活動では教育に関わる企業ばかりを受けていました。その中でも「河合塾」の面接で「あなたのやりたいことはここにはないよ」と言われました。学校改革に関わりたいと思っていましたが,どの企業も学校からすると外部です。完全に教育に変化をもたらすことはできないと考えました。「教育を変えるためにはやはり内部からだ」と考えるようになり,大学院進学を決めました。ちなみにですが,いただいた内定はお断りして入試を受けました。それだけの覚悟を持って進学したいと決めました。
【上越教育大学を選んだわけ】
①教員免許がなくても免許を取得することができる。
本学では,免許プログラム制度があります。その中に通称「ゼロ免」と言われるものがあります。これは大学時代に免許を持っていなくても免許を取得することができるプログラムとなっています。私は大学時代に心理学を専攻していました。(私は)特に教育心理学や学習心理学がメインでした。私は比較的教育に近い分野でしたが,法律を学んでいた方や建築を学んでいた方,地学を学んでいた方など様々な分野を専攻している方がいます。また,ゼロ免ではない方の多くは小学校の免許を取得しにきている方が多くいます。
このように本学では様々な分野で学んできた方がいます。教育の話だけでなく,大学で学んできたことを聞いたり話したりする中で新たな学びを得る機会が多いです。
②先輩がいたから。
大学時代に中の良かった先輩が本学に進学しました。先輩がいれば少し安心だなという気持ちもあり,決め手の1つになりました。
③学校実習が充実している。
本学の学校実習は他校と比較して魅力に溢れています。といっても他校の学校実習を知らないのでなんとも言えませんが。ただ,本学は上越市をはじめ糸魚川市と柏崎市と提携しており,多くの学校の要望に応えるべく9月〜12月に入ります。私たちのコースでは「理論と実践の往還」をテーマに行っています。大学で学んだ実践を学校に持ち込み,実践をし,それを大学に持ち帰り理論で解決していく。これが理論と実践を往還させる仕組みとなっています。
他にも魅力はたくさんあります。入ってみてわかることも多いです。本当に来て良かったと思っています。
【阿部研究室を選んだ理由】
私が多くある研究室の中から選んだのは阿部研究室でした。理由は1つです。やりたいことをトコトン追求できるということです。私のゼミでは一人ひとりが専門家になることを目指しています。つまり,ゼミの中に多様性が認められているということです。もともと私は研究もしたいと思っていました。阿部研究室では,研究は全く強制されません。しかし,研究を強制される研究室もいくつかあります。そのようなゼミの方が研究できるからいいのではないかと思われる方もいるかと思います。しかし,私は縛られるとできないのです。のびのび自身のペースで進める方が性格にあっていると自己分析しています。そういうこともあり,阿部研究室に決めました。
以下,阿部研究室の情報です。
【M1の振り返り】
M1の前期いきなり,コロナの影響で授業が休校,自宅待機となりました。新しく来た土地で不安も多い中,新しい仲間にも会うことができない。相当精神的に辛かったことを思い出します。
それでもGW明けくらいからオンライン授業に切り替わり授業が始まりました。授業は大学院の授業と免許取得のための授業の2つがあります。大学院の授業はびっくりするほど面白かったです。それもそのはず。全員が元教員です。授業力がものすごいのです。本コースの魅力の1つですね。このコースでよかったと心の底から思いました。
そして,ゼミでは「授業づくりを中心とした学級経営」を学ぶようになりました。それに関する書籍や論文を多く読みました。その中でこういう研究をやろうかなと考えていました。
9月〜12月の学校実習では,私はM1次は単位ではないので行かなくてもいい(行ってもいい)。しかし,研究がしたかったため,先輩に授業をしてもらい研究を行いました。授業づくりにものすごい時間をかけてやっていました。本当にこの目標・評価・学習でいいのか,流れはこれでいいのか。そんなことをゼミ内でたくさん相談していました。
M1で最大の出来事は『学び合い』との出会いです。また,西川純先生との出会いです。すべての価値観がひっくり返されました。これだったら教育を変えられる,もっと勉強したいと思うようになりました。この出会いがなく,教壇に立っていることを想像すると本当に怖いです。本当に出会えてよかったと思いっています。
【M2の振り返り】
M2になり,私はゼミ長となりまし。阿部研究室を全国に知ってもらい,私たちの学んでいる「授業づくりを中心とした学級経営」を知ってもらいたいと思っていました。それが教育を変えるための1つでもあるし,心の底からこの理論が子どもを救うと感じていました。今も思っています。ゼミ長としてゼミに多く貢献してきたつもりです。貢献できたか分かりませんが。
今年度は,小学校に教育実習にも行きました。複式学級の3・4年生の学級に勉強しに行かせていただきました。複式学級では個別に対応できるから学力は高いのではないかと思っていました。しかし,この考えは間違っていました。人数が少ないから多様性がないのです。同調圧力がものすごいです。1人の意見に全員が同調してしまいます。これが多様性がない原因の1つだと思います。複式学級では実際に入ってみないとわからない課題点が多くありました。教育実習で複式学級に入ることができてよかったです。この先の教員人生に大きな影響を与えてくれました。
そして,今年度は昨年度行った研究の論文でアクセプトをいただきました。私にとって大きな一歩であり,これからスタートするのだと思います。研究を楽しんでやっている私に周りの方は研究者になるのか,教員にならないのかなどと聞きますが,正直わかりません。教員にはなります。なりたいと思っていますが,その後のプランは不透明です。ただ,教育を変える行動をしていくのは決まっています。
【大学院で学ぶとは】
入学式で,「大学院は学びを受ける場所ではない。学びを得に行く場所だ」という言葉が心に響きました。学びを自ら得に行く方法はたくさんあります。皆さんでもできることは書籍ですね。私も書籍で学んでいます。本当に本を読むのが苦手で文章を書くことが苦手だった私が大学院に来て成長しました。学びを得ることが本当に楽しいし子どもの前に立つ上で重要だと感じています。 しかし,書籍を読むことはインプットですよね。インプットは1人でもできます。そのインプットしたことを元に他の学生と対話をします。対話をすることで書籍の内容だけでなく他の事柄と組み合わさり深まります。要はアウトプットです。インプットしたことをアウトプットすることで自身の言葉・考えに落とし込む作業が非常に重要だと思います。また,インプットするにしても私の場合は様々な事柄と結びつけてインプットしています。こうすることでインプット時にも自身の言葉のようになります。おすすめです。 もちろん,授業でも学びはあります。しかし,あくまでも学びのきっかけにしかならないと思います。結局は授業は受動的です。能動的に学びことが求められています。学び続けることが必要な職業であるため能動的に学びことができる方法を身につけることが望ましいのではないかなと思います。
【最後に〜大学院進学を考えている方へ〜】
大学院に進学する前にやっておくべきことは何かと言われると,「書籍を読む」ことだと思います。教育書はもちろんですが,経済学など教育以外の学問を学んでおくことをお勧めします。教育学は嫌でも進学すれば学べます。時間のあるときに様々な分野のことを学んでおくことが教員としての質を向上させると思います。仮に,本コースに進学したならば,私のおすすめしている理由がすぐにわかると思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。私はこの大学院に来てよかったと思います。残り1年間を無駄な過ごし方をしないようにしたいと思います。
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