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新社会人に贈る10のアドバイス 1 ~話し合いはムダです~

 前回から引き続いて「新社会人に贈る10のアドバイス」なるシリーズを勝手に立ち上げてみました。

 前回が「概論」みたいな感じだとすると、いよいよここからが本題になります。

 
 その前にお前自身が社会人としてどうやねん!と突っ込まれるかもしれませんが、そうですね。確かに僕なんかまだまだの若輩者だと思います。日々勉強の最中だと思っています。

 まあ、そんな中でも、とりあえず公務員と民間と、それから起業というほどもないプチビジネスと、もちろん、アルバイトも(笑)織り交ぜながらいろんな仕事を経験した中で、社会人として知りえたことを小出しにしてみたいと思っています。

 新卒のみなさんは、ぜひご一読ください。


 本編第一回は、「話し合いで物事は解決しないので、ある意味ムダである」ということを知っておいて欲しいと思います。

 これは、たとえば国と国の問題などでもそうなのですが、大きいネタから小さいネタに至るまで「話し合いで物事は絶対に解決しない」のです。

 それを肝に銘じて仕事に当たるかどうかは、人生をも大きく左右する重大なツボだと思ってください。



 ここまで読んで、「ん?僕らは子供時代から、戦争やケンカではなく話し合いで解決するように指導を受けている」とか「世界平和は話し合いで実現するべきものなんじゃないの?」と思われる方が大半だと思います。

 そうですね。その言説は、一見当たっていますし、確かに僕らはそういう風に大人たちから聞いて育ってきています。

 しかし、そこには大きな解釈の齟齬があります。だから勘違いが生まれ易いのです。



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 まず、きちんと定義しておきましょう。

「話し合いで物事は解決しない」の裏には、こんな事実があります。

「物事を解決するのは『力(ちから)=フォース』である」

ということが真実です。


 ここで、早まってはいけません。力(ちから)、フォースとは物理的な力(戦争や暴力)を指しているのではなく、バックグラウンドの力関係や、無言の圧力、上位と下位などのすべての「力関係」を示しているということを覚えていてください。

 学生のみなさんが、よく誤解しているのは「話し合いで物事は解決するはずだから、いつか粘り強く説得すれば、自分の意を汲んでもらえる」ということです。

 それは違います。


 丁寧な説明をすることによって、相手方が気付いていなかったメリットを伝えることができて、その結果自分の意図した方向に物事が進むことは確かにあります。

 しかし、完全に力関係が均衡していれば、「物事は話し合いで解決するのではなく、新しい力関係の創出によってのみ解決する」ことを知っておくべきです。

 もっと、平たく言いましょう。みなさんが社会人になって知ることは、「力関係が弱い立場の者は、確実に争わずして負ける」ということです。

 もっと具体例を言いましょう。

 商売において、売り手と買い手はにあっては、売り手のほうが基本的には不利です。なので価格交渉などでは、基本的に売り手が買い手の要求を飲む場面が多いです。
 その場合、話し合いで解決するとはつまり「相手の言いなりにならざるを得ず、妥協する」ということになります。

 

 上司と部下にあっては、上司の方が有利です。フォースを持っているからです。なので、上司に対する提案で「話し合いで解決する」とは、上司そのものに対してメリットがあることで、上司がそのメリットに気付いた時にはじめて提案は受け入れられる、ということになります。

 
 A案とB案と、どちらが成果を挙げるかまったく予想できない場合、A案とB案のよさをそれぞれ支持する者は山ほど列挙するかもしれません。しかし、それが本当に拮抗している場合は、力を持っているほうが選択した案が善になります。
 もし、その案を選択して結果が悪かったとしても、「ほらやっぱりB案を選べばよかったんじゃん」とは社会ではなりません。
 「A案を実現するのに、全員が協力しなかったからだ」くらいのことは平気で言われます。


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 社会や仕事において、このように「力によって何かが決定される」ことがおそらく95%ぐらいの確率で起こると思っていてください。

 ところが、確かに5%くらいは、それを裏切るようなウルトラCの展開が起きることがあります。

 「力関係の弱かった方が、力を持つ方に提案を受け入れてもらえた(成果を挙げた)」とか

 「絶対に実現無理そうな意見を目に留めてもらえた」とか

そういうビジネスにおける美談みたいなものが生まれることが実際に起きるのです。

 その時に、その事件の当事者は「熱意をもって望んだのでそれがわかってもらえた」とか、「全力で事に当たったので成果が挙がった」とか、いろんな物語をくっつけますが、残念ながらそれはあまり信用なりません。

「熱意を持って望んでも95%の失敗はある」し「全力で当たっても95%は撃沈」することが多々あるからです。


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 なので、逆にみなさんに言っておきますが、「話し合いに負けても、フォースに打ちのめされても」そんなもんだ、と思っていてください。

 けして腐る必要はありません。だって社会はそんなもんなのですから。

 最後に、話し合いで物事が解決しない実例をみなさんにも考えてもらってこの節を終わります。


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 とある高校の職員会議で、教師たちに2つの意見が出た。

 ある先生たちは「高校生はこれから社会に出るのだから、社会のルールを厳格に適用して社会の厳しさを教えなくてはいけない」と考えて、厳しい生活指導をするべきだ、と言った。

 ある先生たちは「高校生はこのあと社会に出るのだから、自由を謳歌できるのはこれが最後の期間なので大目に見るべきだ」と言った。

 前者の先生たちは、服装頭髪をはじめ、すべてのルールを明確に定めて厳格に運用しようとした。

 後者の先生たちは、そうしたルールは必要なく、学習指導にのみ徹しようとした。

 もちろん、どちらの教師たちも高い技量と知識を持っていて、いずれもまったく悪意がない。前者の先生たちは、立派な社会人を作ることを心から目指しており、後者の先生たちは、心豊かなのびのびとした人格を本当に育てたいと願っている。

 さて、この学校は、どうしたらいいか。解決してほしい。


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 この2つの意見を持つ教師たちについて、話し合いで解決すると思いますか?また、どうしたらこの学校の方針が決定できるでしょうか。

 解決そのものは簡単です。でも、その方法はおそらく「何かフォース」を使うことになると思います。そのとき、あなたは気付くのです。

 ああ、話し合いが解決したのではなく、フォースが決めたのだ

、ということに。

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