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短篇

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noteの企画に参加した作品をあつめました。 #シロクマ文芸部  さんは毎週お題が出るのがとっても楽しい。 ピリカさんの企画はnoterの憧れ。
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#恋愛小説が好き

得手に帆を揚げる #シロクマ文芸部

 文化祭のポスターを作っていたS校文芸部、鬼の副(部)長は物憂く顔をあげた。窓の外では酷暑と呼ばれた夏が未だ猛威を振るっているが、図書室と部室である図書準備室の中は快適だ。  貴重な夏休みの最後の一日を惜しみまくったのか、暑すぎて外に出る気がしなかったのか、呼びかけても部員は誰も登校せず、部長は受験前最後のデートだからとさも当然のようにディズニーシーに出かけて行った。  シーかよ――。  まあいい。自分は夏休み最後の一日まで宿題の終わらない彼女から愚痴を聞かされただけだが

煎り豆に花が咲く #シロクマ文芸部

 文芸部長の口癖は「文芸部たるもの恋愛せよ」だ。  がしかし、部長に恋の気配は微塵もない。  S校は中高一貫の男子校で文芸部には当然男子しかいない。中高一貫男子校は進学校であることが多い。S校も例に漏れない。  中学受験前はオープンキャンパスで「S校の好きなところは?」「男子だけで楽しいところです」「S校の嫌いなところは?」「女子がいないことです!マジで!」という高校生の嘆きを耳にしながらも、説明の前半部しか耳に残らない謎の小学生男子理論で「女子なんていないほうがいい。男子校

昨日の私

 消えた鍵を探している、今まさに。  最近の犯罪は巧妙だという。スマホで鍵を撮影して合鍵を作った同僚が一人暮らしの女性の部屋に侵入した事件のニュースを見たばかりだ。スマホを無くしただけなのにという映画も頭をよぎる。背中がぞわりとして嫌な想像ばかりしてしまう。  確かに酔っていた。酔っていたが一次会の会計時にはあった。  にやにや笑いながらスマホを探した時にバッグの中で指に触れたのだから間違いない。それになにより今自分が部屋にいるのだから、鍵がない理由が全く分からない。スペア