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会社員でよかったと思うこと

20代前半に1年間だけ、デザイナーとしてフリーランスを経験しました。若気の至りといえばそれまでですが、当時は本当に苦しく、夜も眠れない日々が続きました。それからは会社員として働いています。

フリーランスを経験してよかったことも多いですが、今回は僕なりの視点で会社員でよかったと思っていることを書いてみようと思います。

フリーランスで求めた自由

フリーランスになった理由は、当時代理店でデザイナーをしていて、業務内容的に一人でもできそうと思ったこともありますが、もともと独立願望があったことが一番大きかったです。独立願望と言うと聞こえはいいですが、自由(とお金)が欲しかったというのが正直なところです。

ですが、いざフリーランスになってみると、全然自由ではありませんでした。自由といえば当時は、決まった時間に出社しなくてもいい、平日は休んで土日に仕事してもいい、自分のペースで仕事できる、ぐらいにしか考えていませんでした。

実際は日中はもちろん、お客さんの業種によっては土日にも連絡はありますし、苦手な業務もやらないといけない、たまに休みをとっても「今こんなことをやっていていいのか」と自問自答してしまったり。貯金も目に見えて減っていく中で不安しかない日々でした。仕事の依頼があったとしても、自分がやりたい仕事ばかりとは限りません。でも断ると生きていけないので受けるしかないのが現実。

またWeb関連の知識・技術の進化も早く、勉強もしないとついていけない状況でした。普段はクライアントワークで時間がとりづらいので、結局は睡眠時間を削って勉強するしかなく、いつしか「思ってたのと違うかも、、」と感じるようになっていました。

自由とは、選択肢があり、自分でそれを選択できること

「自由」という言葉は、一説によると仏教由来の言葉で「自らに由る」が語源のようです。自らの意志をよりどころにすることを意味し、外的要因ではなく自分の心のあり方を表す言葉だということでした。要は「自分で選択でき、自分で責任を負うこと」かなと解釈し、それはとてもしっくりきました。

やりたくない仕事であれば、断ることができることも一つの自由だと思いますが、当時はやりたくない仕事でも断れず、そもそも選択肢がない状態でした。これが「思ってたのと違う」の正体かなと今となっては思います。

それと同時に、会社員と一括りにするのは難しいし、いまも全て自分で選べるわけではないですが、この自由なら会社員でも実現できないことはないはず、とも思いました。

会社員は、やりたいことを見つけられる機会が多い?

一般的に会社員がよいとされる理由はいくつかあります。

収入の安定からはじまり、福利厚生、教育制度が整っているなどがパッと思いつくところです。会社にはさまざまな人がいるので、視野の違いが間近でみえる、困ったら周りに相談できるなどもありそうです。

それと会社にいるといろんな話を見聞きします。例えば、被災地での支援状況や過疎化している場所での働き方や課題、日本での労働人口減少の話など。とある予想によると、700年後には日本にいる子どもは一人になるそうです。会社は、さまざまなバックグラウンド、興味を持つ多様な人たちが一同に介しているからこそ得られる知識が多いように思います。

また地方でテレワークをしていたときのこと。現地の方と話していると「地方は少子化になることは目に見えている。そうなれば一人一役では縮小していく。これからは一人二役になる時代だ」といって、普段はデスクワークをしている方だったのですが、休日はSUPのインストラクターをされているとのことで、たしかにそういう働き方もあるよなと考えさせられました。

興味の度合いはあれど、そういう話が自然と流れてきます。フリーランスでも自ら機会をつくることで、同じような状況をつくることはできると思うのですが、出不精な自分の性格上、半ば強制的にまわりに人がいる環境に身を置くほうがあっているなと思います。

僕には「心底これがやりたい!」と思えることがないのですが、そんな話を聞いていると、自分のスキルでこういうところに貢献できそうかも、こういうことをやると喜ぶ人もいるんじゃないか、実はこういう場所だと自分は重宝されそう、と自分の中でやりたいことがぼんやりと見えてきたりすることもあります。

この「やりたいことがぼんやりとでも見えてくる」機会を多く持てることが、会社という多種多様な人が集まる場所だからこそのいいところかなと思ったりもします。

できることと、やるべきことから、やりたいことが見えてくる

サイボウズでよく言われる、やりたい(WILL)、できる(CAN)、やるべき(MUST)のモチベーション3点セットがあります。経験則ですが、この各要素が均等なんてことはほとんどなくて、誰しもがバラバラな状態だと思います。

会社員でいるといろんな業務があるので、時には無茶ぶりされたりしながら、できることも自然と増えていきます。できることが増えてくると、やるべきことも増えます。そうしたときに、その2つの要素が大きくなって、やりたいこと(が小さかったとしても)にかかってきます。そこではじめて、モチベーション3点セットが揃ったりするんじゃないかと思います。

僕のように心底やりたいことがない状態であれば、この「できる」と「やるべき」をなるべく大きくして「やりたい」を見つける方法をとれるのが、会社員としてよかったことかなと思います。

自由やお金も手段なので、自由を手に入れて何をしたかったのか、お金を手に入れて何をしたかったのかがクリアになり、それが今の会社では実現しづらい場合に、はじめて独立やフリーランスを考えてもいいんだろうなと思いますが、そんな話を先日妻にしたところ、「ごちゃごちゃ考える前に行動や!」と言われました。耳が痛い、、

でもようやく、やりたいことがぼんやりと見えてきた気もするので、会社員も悪くないなと思っています。

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