リアルかオンラインか。テレワーク時代のバランス感覚
サイボウズでは、ほとんどがテレワークです。出社しようと思ったら「なんで出社するの?」と聞かれる時代になりました。
現在所属しているWebコンサルチームは総勢4名で、メンバーの居住地は東京、千葉、山梨、大阪とさまざま。僕は大阪に住んでいて、大阪オフィス所属ですが、出社したとしても、身近な部署の人がいなくて(性格もありますが)ほとんど話すことがなく、自宅で仕事するのと変わらないなと思って、今年に入ってからまだオフィスには1度も出社していません。業務上でもオンラインでほぼ完結していて、Webサイト制作をお願いしている会社さんとも、リアルでは一度もお会いしたことがないケースがほとんどです。
そんな状況に特に不便を感じていなかったのですが、ここ1ヶ月でリアルなコミュニケーションをする機会が2回ありました。1つ目は制作会社さんとの打ち合わせ、もう1つはWebチームの理想を決めるチームビルディング合宿(以下、チムビル合宿)でした。今回はチムビル合宿に絞って書いてみようと思います。
チムビル合宿の様子はこちら
それまでオンラインでのコミュニケーションに慣れて気づかなかったのですが、久々のリアルコミュニケーションの「濃さ」に驚きました。合宿が終わったときの感想は「疲れたけど、濃かった(充実していた)」でした。帰りの新幹線で、なぜリアルだと疲れるのだろう?なぜリアルだと濃いのだろう?と、ぼんやり考えていました。
情報量 × 深さ = ?
恋って何だろう?いや、濃いって何だろう?と考えた時、「情報量」と「深さ」が要因かなと思いました。
情報量とは、言わずもがな「情報の量」ですが、深さは「発掘」のイメージに近いでしょうか。これまで未知だったことを知ることで単純に理解が深まりますし、既知と未知がつながることで、より深い理解ができるようになります。
情報量と深さによって、脳が記憶・処理・理解するために働き、負荷がかかる。さらに、情報量が多いことで、どの情報に注目すべきかの判断が都度必要となり、注意力も散漫になりがち。その上、感情に訴えかける情報も増え、精神的な疲れも感じやすくなる。この情報量と深さを処理するためにはそれなりの時間が必要で、それにリアルな時間的制約が加わることで、「疲れ」「濃さ」を感じるのかなと思いました。
聴覚以外の情報の豊富さ
オンラインは音声情報が中心です。人間の知覚割合は、視覚80%、聴覚10%、その他(嗅覚、触覚、味覚など)10%なんて言われますが、これを考慮するとオンラインではほとんどが聴覚に頼っていることになります。視覚情報もあるといえばありますが、そこまで情報量は多くない気がします。
あと僕はオンラインMTGの際、画面越しに見られている感じが苦手で、、むちゃくちゃウインドウを小さくします。なので余計に視覚情報が入りづらいのかもしれません。
それがリアルになると情報量が満載です。例えば今回のチムビル合宿でいうと、、
・こんなに表情豊かな人だったんだ、わかりやすい!
・堂々と道を間違えている、意外に方向音痴でかわいい!
・濡れた傘をちゃんと干している、几帳面!
・むちゃくちゃ荷物が整理整頓されている、キレイ好き!
・みんなが使ったグラスを片付けている、気が利きすぎ!
といった感じで、視覚中心に情報が入ってきます。これだけで情報量が80%アップです。
わざわざ聞かない情報の深さ
情報の深さでいえば、リアルだとオンラインじゃわざわざ聞かないようなことを聞いたりします。チムビル合宿のファシリテーションの素晴らしさや、飲み会の席も影響しているかもしれませんが、例えば、、
・生い立ちの話
・将来の夢や目標の話
・実は二次元が好きだった話
・昔はモテてしょうがなかった話
・昔の失敗エピソード(今となっては後悔の念しかありません)
とかでしょうか。これでより相互理解も深まったと感じました。物理的な距離と心の距離は比例する、と誰かが言っていた気がしますが、とても共感します。
あと合宿の手土産に「オモシロクナール(薬に見立てたラムネ菓子)」を持参したのですが、こんなやりとりもありました。
僕「これ飲んで、今日はみんなスベリ知らずですねー」
Aさん「いいね!これっていつも飲んでるの?」
僕「会議前にはだいたい飲んでますねー」
Aさん「じゃああんまり効き目なさそうだねー」
僕「・・・」
いや、その通りなんですが、こういうコミュニケーションもリアルならではですね。
あとはこれが同時多発的に起こるんですよね。オンラインだと何人参加していたとしても、基本的には1人が話し、他の人は聞いている状態。でもリアルだと2〜3人ぐらいのグループができて、それぞれが別々にコミュニケーションをとったりします。時間あたりのコミュニケーション量となると、リアルのほうが多いと感じます。
どちらがいいというより、やっぱり使い分け
そんな感じで、情報量と深さの相乗効果で「濃さ」につながるのかなと思ったりしました。リアルだと量と深さが確保しやすいので、より「濃い(充実した)」と感じやすいのかもしれませんね。
ただ、どちらがいいというより、ケースバイケースだと思います。前職では十数年勤めて、最後の1年ぐらいで本格的なテレワークになりましたが、人数が多くなかったこともあり、テレワーク前に人間関係がある程度築かれていました。そのため、当時はリアルなコミュニケーションの重要性をあまり感じなかったように思います。
リアルに向いているのは、以下のケースとかでしょうか。
・人間関係構築の初期段階
・チームビルディングやイベント
・新規プロジェクトのキックオフ
・複雑な問題の解決
・研修や教育
・カウンセリング
逆にオンラインに向いているのは、以下のようなケースが思い当たります。
・日常的な進捗報告
・ちょっと聞きたいだけのとき
・数十人規模で集まったり、多地点からの参加が必要な会議
・プライバシーが重視されるコミュニケーション
・リアルで集まる前の事前準備としての会議
チムビル合宿前にも、オンラインで1か月以上の議論を重ね、ある程度詰めたうえで臨みました。最初からリアル合宿だと、うまくカタチにできなかったように思います。コミュニケーションにおいて、オンラインかリアルかは手段でしかないので、その特性を理解しつつ、適切に選択・活用していけるかが重要だよね、と再認識できたチムビル合宿でした。
最後にもう一度。そんなチムビル合宿の様子はこちら