小話12 ヤクルト
シーズン1で登場した、新卒で入社した会社の直属の定年再雇用の上司の話になりますが、ちょうど入社して4年目頃に、仕事も慣れてきて、部署に女性の新入社員の子が営業として配属されました。その前年ぐらいから、その会社では、女性の総合職の採用を積極化し始めて、ついに初めてうちの部署にも女性の総合職の子が入ってきたかと、上司は期待と緊張に包まれていました。
上司はその子が女性だからなのか、特に気を使って大事にしていて、自分の入社時の時と比べて扱いが全く違うというようなことを感じていましたが、自分の性格がそういったことに腹が立つ性格ではないので不満はありませんでしたが、その子が時に上司の過剰な気の使いに苛立ちを覚えていました。
東京支社で勤めていましたが、朝になると、ヤクルトのおばさんが席までヤクルトを売りにきて、自分も時々買ってあげていました。特にうちの部署は年配の人が多い部署だったので、ヤクルトのおばさんにとってうちの部署は上得意であったことでしょう。
上司はその気を使ってあげる一貫として、その子に配属当初から時々ヤクルトを買ってあげていました。それがどんどんエスカレートをしていって、毎日買ってあげるようになり、その子が外出中でいない時には、さすがに机の上に置いていたらぬるくなってしまうので、机の上に「ヤクルトを買ったので冷蔵庫にあります」などと書いて置き手紙をしていたりしました。
本人は自分だけヤクルトをもらっているのは気が引けて、嫌がっていましたが、やさしい気遣いのつもりの上司に「もういりません」とは簡単に言えなかったのでしょう。そんな扱いの違いに気にしない自分でしたが、毎日その光景を見たり、置き手紙などを見ると、(今日は何が書いてあるんだ)と興味が出てきて、ついにはその置き手紙には「いつものところにあります」などと文章が暗号のようになり簡略化されていったことに腹が立ってきました(笑)。「恋人かて(かよ)!」とか「不倫かて(かよ)!」とか思えてきて逆におもしろくなってきました。
会社員生活をしていると、そんな社員同士のやり取りについ目が行ってしまう人もいることでしょう。社内というのは色々な人のいろいろな行動が目につき、おもしろい行動も見えるところであります。
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