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売り手と買い手はどちらがえらいか

昨日の輸出と輸入がよい、貯蓄が消費よりもよいと考えるのは偏見によるものだという考えに関連して、売り手と買い手の捉え方にも偏見があることがあるのではないかと考えた。だんだん、年齢を重ねてくると、一人一人の価値は変わらず、だからこそ人によって態度を変えるべきではないと考えるようになってきた。それは、お金と物そして信用、何が最も尊いかということはないという昨日述べた考えに関することからくる似たような考えである。

だけれどもやはり、仕事であれば、どちらかと言うと、得意先にはよりへり下り、仕入先に対してはより横柄になりがちというのは、物やサービス、労働よりお金の方が価値があると錯覚し、そのお金を渡す機会が多い方は得意先だからであるに違いない。

戦後のインフレの時代に起業した人の話を聞けば、よく売ってもらうのに頭を下げたという話が今より出てくるというのは、戦後はインフレの時代、そして現代はデフレの時代が長かったからに違いない。やっと日本はインフレになり始めたから、この先どう変わっていくのだろう。

前にスクラップをスクラップ業者に持って行った時に違和感を覚えたことがある。お金をもらう方は自分だったのに、スクラップ業社の方の素っ気なさもあったのだが、どちらかというとスクラップ業社の方に感謝をされたというのは、実際にお金か物かどちらが価値があるのかをわからなくするいい例であると思った。この変な感覚は少しおもしろかった。

得意先が強い立場になるもう一つの理由としては、仕入先が得意先に交換相手として選んでもらう立場であることが挙げられる。本当は仕入先が売り先を選んでいるというのもあるのだが、それは錯覚から来るところもあるのではないだろうか。

利益がマイナスなのに売上があがることによって得意先にしばらくへり下ることもある。それはほんの少しの間だけしか起こらないことだが、そのうち利益がないことが続くと、どちらがお客かわからないじゃないかと気づき、売ることを辞め、気づいていない時は思い込みでへり下ってしまっているいい例だろう。

最近の建築業界、特に中小の建築は落ち込んでおり、顧客の方が強くなり始めているところも伺え、自分も仕入先に対して横柄になっていないか自分を振り返るようにしている。こんなことを言うと、考えが甘いからそういう発想がでてくるのだという人は偏見が強いと思う。誰がえらいということもなく、やっぱりみんな助け合って生活している世の中、いやそうでしか成り立たないということを常に忘れずにいたい。

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