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【要約】マーケターのように生きろ | 誰かの役に立てる自分だけの領域を見つけよう

はじめまして。元エンジニアのマーケター田平です(@yoshi_tahi)。
今回は、井上大輔さんの著書『マーケターのように生きろ―「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』 の要約を、私のキャリアを具体例にお届けします。キャリアに不安や悩みがある方はもちろんのこと、マーケティングに興味がある方にもおすすめの「キャリア×マーケティング」の内容となっています。

私自身、2022年1月現在ベルフェイスでマーケターとして働いており、まさしく「マーケターとして生きている」わけですが、著者である井上さんの対談記事『転職&昇進「自分を高く売る人」のシンプルな発想 仕事力では差がつかない!「+α」でコレが必要』にマーケターである私にも耳が痛い話がありました。

キャリアアップを決める要素は、Performance(仕事の実力)、Image(印象)、Exposure(目立っているかどうか)の3つ(PIE)で、これらの重要度は、「仕事の実力:印象:目立っているかどうか=1:3:6」だと言われています。出世するかしないかは、仕事の実力によって決まっている、または決まっていてほしいと考えている人が、おそらく多いと思いますが、実際はそうはなっていないのです。
ショッキングです。仕事の実力よりも目立つことの方が6倍大事なのです。私自身あまり目立つタイプのキャラではないので耳をふさぎたい気持ちでいっぱいです。

しかし、そもそも知ってもらわないと評価してもらうこともできないですよね?これはブランドも人も同じです。そして知ってもらう機会を増やすにはまず”目立つ”ことが大事です。目立つことで相手の印象に残り、実力を評価してもらえます。そうすることで「あなたが必要だ」と言ってもらえるようになります。では、そうなるためには具体的にどうすればいいのでしょうか?
この疑問に応えるべく、私のキャリアを具体例に書籍の内容を解説していきます。

そもそも「あんた誰やねん」と思った方は、キャリアの棚卸しに使える『Myブランド』というフレームワークと共に、自己紹介をしていますのでぜひ読んでみてください。

「自分にしか埋めることができない、世界の欠けたピース」を探しにいきましょう。

「相手からスタートする」マーケター視点

皆さんはマーケターと聞いてどのような人をイメージするでしょうか?広告の運用をする人?イケてるクリエイティブを作る人?CMを作る人?
どれも間違ってはいないですが、マーケターの一部分しか表せていません。これは『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』の著者である森岡毅さんの受け売りなのですが、マーケターとは「消費者の代弁者」なのです。これはどういうことか。
サービス(プロダクト)を生み出すプロセスを私はこのように捉えています。

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マーケターというと③の部分をやっている人というイメージが強いかもしれませんが、実は①もマーケターの重要な役割なのです。この①で重要となるのが消費者(世の中の人たち)が何を求めているのか知ることです。これが本書で言われている「相手からスタートする」マーケター視点です。これを自分のキャリアに当てはめて、相手が求めていることを知り、それに対して自分が何ができるか、また何ができるようになるべきか考えるのが「マーケターのように生きる」ことに繋がります。

余談になりますが、私は元々エンジニアで②の部分をメインでやってきたのですが、その手前のプロセスである①に重要性を感じてマーケターになりました。作る能力はもちろん大事なのですが、それは「人々が求めていること」と合致して初めて意味をもつのです。私はどちらもできるようになりたかったのです。

マーケティングの4ステップとは

「マーケターのように生きる」ために具体的に目指すべきは「相手にとっての価値を生み出し、それを伝え、相手の持つ価値と交換してもらう」ことです。この考え方に基づきマーケティングを以下のような4つのプロセスに分けます。

1:市場を定義する
2:価値を定義する
3:価値をつくりだす
4:価値を伝える

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以降の章では、私のキャリアを例にして各ステップを深堀りしていきたいと思います。

①市場を定義する:「自分がもっと輝く場所」が見つかる

ステップ1の「市場を定義する」は、価値を提供する相手を決めることです。何をどう感じるかは人によって異なります。つまり、価値は提供する相手によって変わるということです。
なので、誰を相手にすれば、自分を最大限に生かし、なるべく多くの人に自分を役立ててもらえるか考えます。

ここで重要なのは、「自分ができること」と「相手にできる人の多さ」のバランスをとることです。自分が貢献できる範囲内で可能な限り大きな市場を選びましょう。

コツ①:集団を分類する独自の切り口を探す
・性別・年代など一般的なデモグラフィック以外の切り口がないか考える
・例えば”朝マック”のような場面での切り口など
コツ②:5つのポイントで市場の有望性を評価する
・市場の大きさ:市場規模
・市場が毎年どれだけ大きく(小さく)なっているか:成長性
・どれくらいライバルがいるか:競合環境
・自分たちの能力が活かせるか:関連性
・自分たちの他の活動との相性はどうか:既存事業とのシナジー

私のキャリアを例に考えましょう。企業に属して働くことを前提に、「どのような業界・企業で働くか」と「その中でどのようなポジショニングをするか」の2つに分けて考えます。

「どのような業界・企業で働くか」

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1. ITサービスを提供している企業
・より多くの人に役立つポテンシャルがある
・自分の能力・経験がより役立つ(エンジニアとしての経験など)
2. 問題が山積みな業界・領域に対してサービスを提供している企業
・困っている人が多い = 多くの人に価値を提供できるポテンシャルがある
3. 問題との距離感が近い企業
・より困難な問題を解決できるサービスの価値は高いはず
・困難な問題を解決できるかどうかは、それを深く知ることができるか次第
・問題(それを抱える顧客)との距離感が近ければ近いほど深く知ることができる

「その中でどのようなポジショニングをするか」

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1章でも述べた通り、私は「①価値を見つける→②価値を具現化する→③価値を届ける」の全てができるようになりたいと考えています。これができれば問題の発見から解決までトータルにできることになり、自分という商品の価値も高まるはずです。
②の部分はエンジニアとして多くの経験を積んだので、今は①と③ができるマーケターというポジショニングで働いています。
市場の有望性5つのポイントと照らし合わせてみると「どれくらいライバルがいるか:競合環境」「自分の能力が活かせるか:関連性」「自分の他の活動との相性はどうか:既存事業とのシナジー」の3つがよく当てはまります。

「どれくらいライバルがいるか:競合環境」
・問題の発見から解決までトータルにできる人はなかなかいない
・元エンジニアのマーケターという独自性もある

「自分の能力が活かせるか:関連性」
・元々、広く浅くの器用貧乏タイプの自分に合っている

「自分の他の活動との相性はどうか:既存事業とのシナジー」
・エンジニアの経験とマーケターの経験の掛け合わせになっている

まとめると、自分という商品を提供する相手として「問題が山積みな業界・領域に対してサービスを提供しているIT企業」を定義し、今はマーケターというポジショニングで価値を提供する、というのが私の市場定義です。

②価値を定義する:「相手が本当に欲するもの」がわかる

ステップ2では、相手の声を聞いて、相手が求めているもの=価値を理解することが重要となります。前提としてマーケティングにおける価値は以下のようになります。

知覚価値
相手が感じることのできる価値。相手が感じられなければ、そこに価値はないと考えます。
情緒的な価値
使う人にとって「役に立つか」ではなく、使う人にとって「意味があるか」を問う価値。機能的に差がなくても相手が何かしらの違いを感じればそれは価値になります。

この前提を踏まえたうえでの定義として「価値の4象限」というフレームワークがあります。これは、横軸を「機能的か情緒的か」、縦軸を「顕在的(表に出ている)か、潜在的(裏に隠れている)か」とするマトリクスで、価値を4つに整理するものです。

価値の4象限

少々わかりづらいと思うので私のキャリアを例にしてみましょう。私自身の価値として大きく3つあります。これを価値の4象限にマッピングすると以下のようになります。

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・顧客理解力:顧客・ユーザー起点での企画設計
・実現力:KPIの設計とアクションへの落とし込み
・仮説検証力:データ分析による課題発見
・チーム構築力:ディレクション

「価値の4象限」に当てはめた後に考えるべきことは、相手が重視する価値が何か、そして自分がどのような形で提供できるかです。欠けている要素があるからダメだとかそういう話ではありません(私の場合は情緒的な価値が欠けがちです笑)。
相手が重視する価値を聞き出す方法として、書籍内で雑談が紹介されています。周りがどのようなことを求めているのかは普段の何気ない会話に隠されているのかもしれません。

③価値をつくりだす:「自分がやるべきこと」がわかる

自分という商品の価値をつくりだすためには質と量の両軸が重要となります
・質:日々の決断に「誰に」「どう貢献するか」の一貫性を持たせているか
・量:組織への貢献を意識することでチャンスを増やす

キャリアを通じて、自分が誰に(どの市場で)、どう貢献するか(どんな価値を提供するか)が定まったら、今度はその価値を身につけ、磨いていかなくてはなりません。

しかし、キャリアを形成する職務経験は自分で100%コントロールできるものではなく「偶然」が付きものです。「偶然」を「キャリアアップの機会」に変えるには、日々の決断に「誰に」「どう貢献するか」の一貫性を持たせることが重要になります。
「偶然」であるのはあくまで与えられるチャンスで、そのチャンスに挑戦するかどうかは自分の選択次第です。

また、与えられるチャンスは偶然だと述べましたが、組織への貢献を意識することでチャンスをもらえる機会を増やすことはできます。組織への貢献が大きい人には多くのチャンスが与えられます。
20代は専門性を身につけて、それを生かして30代は経験をとりにいくのがベスト。専門性のある人間にこそ、「貴重な経験」が回ってくる(『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』より引用)とも言われています。「貴重な経験」を得るために専門性を身につけたり、組織への貢献を意識することが自分の価値をつくりだすことに繋がります。

質:日々の決断に「誰に」「どう貢献するか」の一貫性を持たせているか
私は転職でエンジニアからマーケターになると共にBtoC企業からBtoB企業に移っており、傍から見ると業務内容が大きく変わっていますが、「誰に」「どう貢献するか」の部分はぶれていません。
"①市場を定義する:「自分がもっと輝く場所」が見つかる"の章で定義した「どのような業界・企業で働くか」「その中でどのようなポジショニングをするか」を常に意識しましょう。

量:組織への貢献を意識することでチャンスを増やす
より多くの人に貢献できるようになるために、以下の目的で転職をしました。補足になりますが、BtoB企業の方が問題が多く、生み出せる価値が多いと言いたいわけではなく、私が持っていた選択肢の中ではよりチャンスがあったというだけです。
・BtoC企業→BtoB企業:より問題が多い領域で仕事をするため
・エンジニア→マーケター:顧客(が抱えている問題)のことを知る機会を増やすため

チャンスを得るために意識していることは「一緒に働いている人の信頼を得る、そのために当たり前のことを当たり前にやる」ことです。例えば、仕事柄データ分析をすることが多いのですが、口先だけでは信頼を得ることはできないので示唆を出すだけでなく自分で実行するようにしています。
また、相手にとっての価値をよく理解した上で、相手との対話を通じて価値をつくりだし、磨き上げていくことが大切になります。一緒に働いている人は一番身近な相手なので信頼を得ることでフィードバックを得る機会も増え、より自分の価値を磨き上げることができます。

④価値を伝える:「自分を必要とする相手」に見つけてもらう

誰かのためにつくりだした価値は知ってもらえないと意味がないので、相手にしっかりと伝える必要があります。「価値を伝える」プロセスは以下の3段階に分けられます。

・1. 覚えてもらう
・2. 好きになってもらう
・3. 選んでもらう

ここで冒頭で述べたPIEについて思い出しましょう。PIEは、Performance(仕事の実力)、Image(印象)、Exposure(目立っているかどうか)の3要素の略称です。
これら3つの要素の重要度は、「仕事の実力:印象:目立っているかどうか=1:3:6」と言われています。これを先程の「価値を伝える」プロセスに当てはめると以下のようになります。

・1. 覚えてもらう:Exposure(目立っているかどうか)
・2. 好きになってもらう:Image(印象)
・3. 選んでもらう:Performance(仕事の実力)

どんなに優れた商品やサービスでも、それがどんなに優れた価値を持っていても、そもそも覚えられていなければ検討のテーブルにも上がれません。他に無数の競争相手がいれば、好きになってもらっていないブランドには、価値をしっかり伝える機会すら与えられません。キャリアにおいても同じことが言えるということです。
私自身アピールすることや目立つことが得意ではないので耳の痛い話ですが、直視しなければならない現実です。では、「覚えてもらう」「好きになってもらう」ためには、具体的に何をすればいいのでしょうか?常套手段は「話題になる」ことです。

話題になるメリット
覚えてもらう3つの方法をすべて行える
・頻繁に会話に登場することで「繰り返し伝わる」
・話題に参加することで「自分ごとにしてもらえる」
・近しい人とのコミュニケーションでは、より「心が動きやすい」

話題になるためのアクション
・共通の知人を増やす(積極的に人と会う)
・ニュースの供給源になる(常に何か新しいことに挑戦し続ける)

noteやTwitterなどのSNSでの発信(このnoteもその目的があります)や、yentaやMeetyなどのビジネスマッチングサービスで社外の人と交流するなど取れるアクションはたくさんあると思います。もちろん、社内での交流はもっと大事ですね。

まとめ

自分のキャリアにおいて「相手にとっての価値を生み出し、それを伝え、相手の持つ価値と交換してもらう」ための4つのプロセスを紹介しました。

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自身のキャリアに当てはめて考えることで、著者の井上大輔さんの言葉である「誰かの役に立てる自分だけの領域」を見つけましょう!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
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https://twitter.com/yoshi_tahi

参考書籍
マーケターのように生きろ
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

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