自分の歯を削る悲しさよ
あれは忘れもしない、
と言っても何年前かは忘れてる。
8年前だろうか。
出張先の丸亀製麺。
レンコンの天ぷらを
食べいていた時だ。
厚いレンコンの天ぷらに
かぶりついた時の違和感。
あの時の違和感は、
今でも鮮明に蘇る。
自分の前歯が折れた。
レンコンに負けた。
いや、勝ち負けじゃないし、
レンコンは悪くない。
もちろん、丸亀製麺は
美味しかった。
前から根元が弱っていた、
左側前から2番目の歯。
自然と折れた。
それから、その歯との格闘が
始まった。
根元を作り、歯を入れても
自然と力がかかるのか、
しばらくすると抜けるを
繰り返していた。
年に2回位は、前歯が抜けた。
あまりに繰り返すので、
歯が抜ける度、ネタにしていた。
歯有りババァから、
歯無しババァになったと。
そして、今年4月、
これで、最後。
治療の集大成?
数万円を投入して、
終わったと思っていた。
ああ。6カ月で取れた。
今度は、根元が駄目になった。
そして、ブリッチに。
両隣の歯を削り、
健康な歯を削り、
3本をまたぐ義歯が入る。
悲しかった。
仕方がないが、
切なかった。
鏡で、質感のちがう3本の歯を
見るたびに切なさが蘇る。
8020運動。
80歳で、20本の自分の歯を
維持しましょうという活動。
楽勝と思ってたんだけど、
油断はできない。
これからは、さらに丁寧に
自分の身体と向き合っていこうと、
鏡の前の自分の笑顔から覗く、
義歯を見るたび思うのである。