仕事で最近集中したのはいつですか?即レスではない新しい働き方の常識をつくろう
こんにちは。株式会社Zenmetry(ゼンメトリー)を創業した長友好江(@yoshienagatomo)です。2022年4月に創業し、8月にプレシードの資金調達を完了しました。
40代の子育て中の私が、外資系IT企業で部長職を得たものの、バリキャリのレールを外れることを選び、そしていまなぜスタートアップを始めるのか、創業にあたっての思いや背景をnoteに書きます。
仕事で利用するアプリ増えましたよね?
今から10年前、2012年に私は経費精算をクラウドで行えるコンカーに導入コンサルタントの初期メンバーとして入社しました。当時は「経費精算はExcelつかって紙で精算しているよ」というお客様がほとんどだった時代です。
その10年後の2022年、時代は大きく変わりました。業務でクラウドを使うのは当たり前、業務特化型のSaaSを多く導入し、複数のアプリを使いこなす方も増えました。
アメリカ企業における調査ですが、2017年には平均で17個のアプリ利用だったものが、2020年には平均で47個と3年で3倍以上に増加しています。日本でも同様の流れがきています。
副業や兼業なども増えてきて、複数のメールアドレスを保持している方も増えたことでしょう。
1つ1つのアプリは便利な反面、色々と弊害が出てきているように感じています。私なりに3つに分析してみました。
1. アプリやワークスペースが多すぎる
様々なアプリから話しかけられたりメッセージが届きませんでしょうか。
例えばこんなイメージで。
ヒアリングした限り、中間管理職のように上司からも部下からも連絡くる人や、顧客にツールを合わせる必要がある職種やフリーランスの方々、大学などの授業で活用されている方々に特にこの傾向が強くあります。Slackだけでも多くのチャネルがあったりして、飛び交う情報の量は大学の先生が認知を超えていると叫ぶレベルです。
2. 優先順位をつけて処理することが難しい
時間は有限なので、1日にできる処理量には限界があり、優先順位をつけて処理を行いたいところです。ただ、とにかく量が多くて、新しいものがどんどん届くので、「読んだそばから優先順位に関係なく処理する!」という方も多いのではないでしょうか。私も即レス派でした。理由は「一刻も早く片付けたい(忘れたい)」からです。
でも、即レスだけひたすらやっていますと、「緊急で重要な仕事」は進まない感覚があります。「7つの習慣」にもよく出てくる分類でいくと、「緊急ではないが重要な仕事」が後回しにされがちです。
緊急で重要な仕事 ->これは絶対やる
緊急で重要ではない仕事 ->この仕事をやりがち
緊急ではないが重要な仕事 ->この仕事をやる時間が日中とれない!
緊急でも重要でもない仕事 ->この領域も「新着情報」というだけで時間を溶かしがち
夜中や平日夜間にしか自分の大切な仕事はできないんだよね、という状況は、上記のような、とにかく新しいものから片付けるという方針が影響していないでしょうか。とはいえ、職場の誰もがつねにメールをチャットをチェックしていて即座に返信がくるはずだ、という暗黙の期待が職場にある以上、なかなか即レスのスタイルを自分だけ変えるわけにはいかない、というのが現実だと思います。
3. 通知が多すぎて集中力と心が削られる
アプリを大量に使っていますと、当然のようにたくさんの通知が届く結果になります。お仕事によっては通知は全部オフにできる方もいると思いますが、多くの方はお客様からの連絡がある、などの理由から通知をオフにしづらいと思います。
日中に「これから30分、集中して資料作る!」と作業始めたものの、現実には以下のように通知によって中断され、時間がランダムに細切れになります。
このような時間が細切れになってしまう現象を、海外では「タイム・コンフェッティ(時間の紙吹雪)」(※1)と呼ばれています。Twitterに返信する、SlackのDMに対応するといった1つ1つの処理は時間がかからないのですが、30分まとまって集中して考えたり作業する時間を失ってしまいます。もとの思考に戻るには時間がかかり、結果として集中すれば30分で終わるようなことが、より時間がかかってしまいます。
また、食事中や旅行中にもつねに携帯を確認して仕事のことをつい考えたりしませんか?「TIME SMART お金と時間の科学」の一節は私には思い当たる節がありすぎました。
子供や親など誰かを家でケアされている方々なら、きっとこのような葛藤を味わっているのではないでしょうか。私自身、2020年春の新型コロナによる保育園閉鎖の際に、在宅育児と在宅勤務の状況下でまさにこの葛藤に陥って精神的に追い込まれ、外資系IT企業の部長職というキャリアを手放しました。
私たち働く人たちの取り巻く環境は「タイム・プア(時間的に貧乏」な状況に陥りがちであり、その状況下では、ゆったりと時間を過ごすことができず、ストレスを感じやすく、幸福感が低いことが研究により判明しています。
(※1)「TIME SMART お金と時間の科学」アシュリー・ウィランズより
では、どうすればいいんだろう?
システムは、働く人を助けるためにあるのだと私は信じています。
でも今の状況は、個々のシステムは働く人が直感的に操作して処理できるように追求されて開発されているにもかかわらず、そのアプリを複数切り替えて人が処理しようとする時に大きな負荷がかかっていると言えます。また、大量のメッセージ処理をほぼ同期的に行う必要性に迫られる結果、家族や友人との大切な時間の量が確保できなかったり、過ごす時間の質が下がります。私のようにキャリアを諦めたりする人が出てきてしまう。
メッセージの処理は仕事の手段であるにもかかわらず、その手段に精神が圧迫されてしまうという本末転倒な状況ではないでしょうか。
この仕事のやり方を変えたい、自分の子供たちの代にまでこんな働き方を持ち越したくない、新しい仕事の方法を創りたい、メッセージの処理をもっと直感的で負荷の少ない方法にしたい、というのが創業の思いです。知的生産労働においてもっと人は創造的になれる、まだ創造力をフルに活用できてない。システムにできることはたくさんあるはずです。
まだまだ仮説段階ではありますが、G's ACADEMYでプログラミングを学んでモックアップを2022年の2月に卒業制作発表会のGlobal Geek Audition(GGA)で発表し、優勝とオーディエンス賞という2つの賞を受賞することができました。
新しいカテゴリーの製品をBtoB SaaSの領域で作るんだ!という意気込みで創業しています。そして、この発表をみていただいたVCのMIRAISEの方々と意気投合し、G's ACADEMYの母体のデジタルハリウッド様からも支援をうけ、今年8月にプレシードの資金調達を行うことができました。
Skype Japanの成長を体現され、グローバルIT企業がどうあるべきかを経験されてきた岩田さん、最初の面談から今後の製品戦略を考えていてくださった布田さん、在学中も卒業後も、モックアップを磨き込む際にいつも鋭くて惜しみないアドバイスをしてくださったG's ACADEMY Founderの児玉さんと素晴らしいメンターを得られ、出航する準備ができました。
そして、もう一つの創業の思いは、この製品は海外で最初からリリースして勝負しに行きたい、という思いです。日本のIT企業と外資系のIT企業の社員の待遇の差は、勝負しているマーケットの大きさの違いに影響があると思います。ソフトウェアは「大きくなってから海外に行きたい」というのは基本設計から見直す必要などが出てきて大変厳しい道のりで、最初から想定して作ったほうが結果的には海外に出る近道だと考えていますし、会社に関わってくださる社員や業務委託の方々の待遇が報われる世界になると信じています。
創業メンバー大募集しています
日本からグローバルなソフトウェアを目指す、新しいカテゴリと市場の創出、とたくさんの0->1があります。この興奮するフィールドに、是非創業メンバーとして、お力を貸していただけないでしょうか。特にエンジニアの方々が必要です。副業、業務委託など勤務形態にこだわらずお話ししていきたいです。まずは気軽にお話だけでもしていただけると嬉しいです。
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社名の背景については、以下の記事で書いております。
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※2022/11/24追記:
Meetyの利用を停止したため、記事中のリンクをハッカー飯に切り替えました。