第12話 他国の指導者に頭を下げることの屈辱感
早くも「北朝鮮」ツアー4日目である。
次の日が実質的には最後なのだが、その日は朝から中国に向けて出発するだけの予定なので、実質この日が北朝鮮ツアーの最後の日みたいなものだ。
私たちはいつものレストランで朝食を済ませた。
「李王朝の貴婦人」が相変わらず私たちを迎えてくれ、この日も優しい吐息のような声で挨拶をしてくれた。
そしてまた垢抜けないコーヒー係のホテルマンのとこへ行って10元払って、「北朝鮮」では珍しいブラックコーヒーを飲んだ。
いくらあまり人が行かないような場所を訪れているといっても、3日も経てば、始めは物珍しかったことも日常の一部となるのだ。
この日の予定は
・「北朝鮮」有数の名山である妙高山(みょうこうさん、ミョヒャンサン)と、そこにある国際親善展覧館という各国の要人が金日成主席に贈呈した様々な贈り物が展示されている展示館を訪問。
・その後、平壌市内にある学校を見学すること
・現地のローカルスーパーマーケットで買い物をすること
・アヒルの焼き肉を食うこと
以上である。
私たちは朝食のあと、皆でホテルの入り口でタバコを吸い、妙高山へ向けて出発した。
平壌市内のところどころでは、労働者を励ますために「朝鮮社会主義女性同盟」の婦人達が赤旗を振って踊っていた。
北朝鮮では誰もが何かこのようなグループに必ず参加しなければいけないらしく、朝鮮の人はそれを「助け合い」などといっているが、戦時体制の日本の「隣組」のようなもので、当局がお互いに監視させているだけではないかと思えてしまう。
この国には個人主義が入る隙間が微塵もないように思える。
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