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ポロムとパロムと妻とぼく

「たくちゃん、今日つむ送っていったあと、そのまま外で仕事してきていいよ」
「え、まじで、大丈夫?昼休めなくなるよ?」
「だって家にいると仕事進まないでしょ?」

突然訪れた、仕事チャンス。確かにこのところ、あまり進んでいなかった。生後一ヶ月の次男の櫂の面倒を見たり、かわいい姪っ子の相手をしたり、家にいると集中できる時間は短い。なんならそれを理由に自分に甘くなっているぼくもいる。

しかし、いざ妻に、「仕事に集中してきていいよ」と言われるとなんだか少し緊張してくる。3時間おきの授乳で夜も眠れない妻に、日中の育児も託してぼくは仕事に行くことになる。

ポロムとパロムの犠牲のもと、窮地を脱し、ゴルベーザを倒す旅を続けるFF4のセシルの気分だ。

「妻よ、あなたの犠牲は無駄にしない」

そう、心に誓い。ぼくは長男のつむぎを保育園に送った足で、近所のスターバックスに向かう。

いつものぼくなら、よしちょっとスマホでも見るかなぁとか、本読むかなぁとなるところだが今日は違う。なぜならポロムとパロムが石化してまでぼくを送り出してくれたからだ。

パソコンを開き、CLOVA noteとグーグルドキュメントを立ち上げる。そして、ひたすら記事に取り組む。文字を打ち込む。

注文はもちろん一番お手頃なホットコーヒーのショートサイズ。誤って二杯目100円のレシートを捨ててしまったことを一生の不覚と思いつつも、仕事を進める。

おかげで、今日はだいぶ仕事がはかどった。気がする。目標にしていた初稿を完成させるところまではあと少しでたどり着かずにお迎えの時間になってしまったが、確かな手応えだ。

保育園でつむぎをピックアップ。つむぎはつむぎで昨日に引き続きお気に入りの毛布を使ってひとりで昼寝ができたらしい。とても誇らしげだ。

そして、帰宅。そこには石化はしていない妻の姿があった。
「今日は大丈夫だった?」
「うん、大丈夫だったよ」

よかった、大丈夫だったみたいだ。妻よ、ありがとう!

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吉田拓実|さいこうファーム OKHOTSK BIHORO
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