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とうもろこし畑に魔界の口が

「あぁ、恐ろしい、恐ろしい・・・」

できれば、このまま見ないふりをしていたい。でもこれ以上、目を背けていたら、魔界の口が開いてしまう・・・。

雨上がり、太陽の光が差し込むと作物は元気にあふれる、そしてやつらはそれ以上に力を爆発させてくる。

放っておくと魔界を作り出す恐ろしいやつら、そう、畝間の草だ。

今年本格的に作り始めたとうもろこし。マルチを敷いた畝に2列で植えている。マルチのあるところはもちろん大丈夫、ただ問題は中途半端に広くとってしまった畝間だ。

ふと、目をやると畝間が緑に染まっている。細かい草がびっしりと映え、恐ろしくも美しい、毛並みの長い絨毯のような様相だ。

つむぎが歩いている足元、魔界の口が完全に開きかけている

緑の絨毯をやっつけるにはトラクターにつけたロータリーでいっさいがっさい撹拌し、耕してしまうのが手っ取り早い。しかし、恐ろしいことにここにはそれが使えないのだ。

とうもろこしの畝間の幅はおよそ1.4m。さいこうファームで持っている最小のロータリー幅は1.45m。微妙に狭い・・・。

「ああ、なんであと10cm幅を広くしなかったんだ・・・」
すごく悔やまれる。ぐぐっと悔やまれる。

いつまでも悔やんでも何も変わらないので、除草ホーとレーキを持って立ち上がる。

「しゃあない、やるか」

畝間に生えた細かい草に、ホーやレーキを振り下ろす。「エイ、エイ」と除霊を試みる僧侶の気持ちだ。「立ち去れー、ここはあなたがいていい場所ではないのですよ!」。

しかし、広すぎる。畝間一本分の除霊をするだけでフラフラだ。全部やろうものならこちらも天に召される可能性すら感じられる。

ここで天啓を得る。

「ロータリーがダメならカルチをつかえばいいじゃない」

そうだ、カルチだ。中古で購入してから一度も使わずに家の裏に放置していた5連のカルチ、これを使ってみることにする。

そうと決まれば、調整だ。5連の爪の真ん中を外し、両側2つずつの爪の幅を近づける。通常はそれぞれの爪の間に畝が通るようにして使うカルチにとっては異例のセッティングだ。

そして、できたさいこうファームのとうもろこし畝間除草専用カルチ。

さっそく畑に行って試してみる。

慎重にとうもろこしの畝をまたいで、爪をおろして、いったん後ろから確認して、エンジンスタート。

両側2本ずつの爪で草を引っ掻き回す作戦!

緑の絨毯に深々と爪を差し込みながら走るトラクター。その跡には破かれ、引っこ抜かれ、ボロボロになった緑の残骸。

これはうまくいっているのでは?
カルチがかかったところはきっと草に大打撃を与えているはず!

「うまくいったかもしれない」

確かな手応えを胸に家に戻るのだった。数日後どうなってるかなぁ。

noteを読んでくれてありがとうございます。東京から北海道オホーツクの美幌町に新規就農した3人と1匹家族の農業、子育て、おすすめスポットなどをほぼ毎日更新しています。もしよろしければ「スキ」「フォロー」をお願いします!

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吉田拓実|さいこうファーム OKHOTSK BIHORO
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