あれから2年
2019年12月7日、少し肌寒い土曜日
私のスタジオのある旧宮塚町住宅でのオープニングイベントである、
「CITY FARM MARKET | 旧宮塚町住宅」開催。
本当にたくさんの方で賑わったあのイベントから、はや2年が経ちました。
いわゆる船出から、早いものでもう2年。
少し振り返ってみようかなと思います。
まずは作り手として何を作り、売るか。
当然のことながら、言うは易し、行うは難し。
オープニングイベントに商品を並べなきゃいけないという、
この必須条件から制作を始めたのでした。
10月1日に借りたこの制作空間は、順に制作に必要な道具や機器類を搬入。
けれど、そこで考える。
何作ろうかなぁ・・・と。
それまで、こんなものを自分の手で作りたいし独立しようといったことを思ったことがなく、まさにこのタイミングで一気に準備がやってきたのです。
土、形、色、装飾などのイメージが皆無。
そこで頼ったのは、深く考えずに、感じるままに。
ということでした。
土についてはテスト用にいくつかを作っては焼いてみての確認。
次に形や色。
形はロクロに向き合って、感じたものをそのままに。
色は極力シンプルに。
むかーし、履歴書の写真なんかもカラーかモノクロかを悩んだことがあって、
結論でいうとモノクロの方が線がシャープで印象が強い気がしていて。
そこで思い出した感じ方が、色を取り去った方が、ラインに強く目がいくということ。つまり、成形した作品のきれいさ、そのインパクトが伝わりやすいのかもと感じて。
こういった感じ方を優先し、作品の色は白と黒の2色展開に決定。
そんなこんなを繰り返し、進んでいった感じです。
一人でできることなんてそう多くないので、少しずつ自分のペースで。
そのすぐ後の2020年の年明けはそろそろ世界が暗雲に覆われ始め、そんな話がちらほら出始めた頃でした。マスクや手の消毒などをした方がいいよねといったことを話していたことを覚えています。
けれどもいきなり台湾へ。
スーツケースにはびっしり器を詰めれるだけ詰めて。
まさに行商のような感じでした。
けれども一歩踏み出せば、先が見えてくるもので。
不安がないわけでないのですが、それを考えている暇がない。
頭や手を動かし、何かしらを生み出せば、次へとつながる。
そんな印象でした。
前途多難という言葉がぴったりの世間の流れと、新たな世界へと飛び立ったばかりの自分。先が見えないことが却って、自分の足元を見つめ、手を動かす時間へとつながったような気もします。
春には軒並みイベントができないような感じになり、強行軍で開催すれば、ネットで派手に叩かれる様子も拝見しておりました。
陶芸家のビジネスモデルは決して楽なものではないと、それまでずっと考えていたわけで、それが理由で独立の意識も全くなかったのです。
展覧会へ出展、そして入賞し足元を固めるタイプ。
クラフトフェアや陶器市へ出店し、認知度を高める。
そんなルートを誰もが考えるでしょうし、私もその流れに乗りたいと思っていましたが、そうはいかないものです。
そんなにあまくはない。
けれども、人は人。
であり、自分は自分なのです。
あらかじめレールが敷いてあるわけでなく、自分で次々付け足していく。
そんな自由さが自分でビジネスをして行く楽しみ。
出逢いのたまもの。
人と人との繋がりがこんなにも楽しくてうれしいものだなんて。
そんなことを日々、感じています。
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