山形の京ことば。吉永小百合さんのCMから
JR東日本「大人の休日倶楽部」のCMは、吉永小百合さんが出演されている人気シリーズです。
山形県酒田市「舞娘篇」では吉永さんが酒田の京文化を訪ねます。
酒田は北前船の拠点として栄えたため、京都の文化や言葉が今も残っています。
若い人たちは、あまり使いませんが年配の方は庄内弁を話します。
庄内弁は京ことばと土地の方言が交ざりあい独特です。
「今月のぉ、お財布がせつなくてのぉ」
今月はお金が足りない、ということを遠回しに言っています。
自分が電話をかけて、相手に対し名乗るとき「もしもし。吉田でした~」
今から会話が始まるのに、過去形で名乗っています。
これは京都と関係ないですね。
酒田とは少し離れていますが、山形県の尾花沢市は紅花の産地です。
尾花沢で作られた紅花を北前船で運んでいたため江戸との交流もありました。
紅花で財をなした豪商、鈴木清風宅には、松尾芭蕉と曽良が逗留し句会も開かれたそうです。
ある年のこと、江戸の商人たちは清風を田舎商人と蔑み不買運動を起こしました。
紅花が売れなければ値を下げるだろうと思ったのです。
それに対し清風は、赤で着色したおがくずを港で大々的に燃やしました。
紅花が燃えたと勘違いした江戸商人たちは、競うように紅花を高値で買い始め、清風は億単位の売り上げを得ました。
清風は不正で得た金だからと、その売り上げで吉原を3日3晩借り切り、遊女たちに休みを与えたそうです。
もし男性としての遊びもせず、全遊女を休ませたとしたら凄いことですが、さすがにそれはないだろうな、と空想しました。
(発句)涼しさをわが宿にしてねまるなり 芭蕉
(脇句)吉原太夫 ねまる間もなし 佳織