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【飲食キャリアレポート①】飲食店で働きながら複業するために
こんにちは、吉田柾長です。
私は飲食業界に複業という新しい働き方の選択肢を増やしたく、Restaurant Career Lab.という事業を展開しています。
事業は3年目です。
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そもそもなぜ複業を増やしたいかというと、「飲食店で働く:働かない=100%:0%ではなく、50%:50%など丁度良い選択肢があっても良いのでは?」と考えているからです。
例えば昼に時短でオフィス出勤して夜は飲食店で働くなど、複数の仕事を掛け持ちするイメージ。
そう思ったきっかけは、たくさんの飲食店スタッフから精神的、肉体的に飲食店の仕事が辛くなってきたと相談をもらったことです。
終電逃して店舗に泊まるとか繁忙期に倒れるとかよく聞くエピソードですが、一般企業ではニュースになってしまうような逸話ですよね。
働き方の基準がおかしい。
長年そういう働き方が変わらなかったから人手不足になるのも当然ではないでしょうか。
一方で、収入を上げながら順調にステップアップして飲食店の仕事を楽しんでいる人が昼にオフィス出社して夜に飲食店で働くなどの複業をしているケースも多いことを知りました。
冷静に考えてみたら、そもそも飲食店一本で定年まで働ける人って超人的ですよね?
根性ありすぎて再現性ないと思うんです。
もちろん耐性があって楽しんでる人はいるけど、そんなに強い人ばかりじゃない。
しかも飲食店で働き続けている人が他の仕事を経験していないことも多々。
今の仕事がベストと言えない中でキャリアチェンジの機会もない。
飲食店は辛くても好きだから続けたい。
でも収入が上がっていかないし体力的にも厳しくなっていく…
結果、限界がきて好きでもない仕事でも未経験転職して新卒レベルの月給から再スタートする。
それが合わなければまた飲食店に戻ってきて同じ悩みを抱える…
そんな現状を打ち明けられたら放って置けないし、無責任に「人手不足だから飲食店で働き続けよう」なんて言えない。
だからRestaurant Career Lab.という事業を通じて働き方の選択肢を広げつつ、飲食業界から離れる人を減らして業界全体を苦しめる人手不足の軽減をしたいのです。
今の働き方が合っている人はそれでいいけど、合っていない人に新しい選択肢を示していきたい。
どうやって複業を生み出しているのか
方法はシンプルで、弊社が獲得した案件を飲食店スタッフに依頼しています。
もちろん企業様には事前に飲食店スタッフが複業で対応する旨を伝えており、その上で「現場のプロにお願いしたい」とご依頼いただいています。
それぞれの働き方に適合しやすいよう基本的にはフルリモート&時間自由の案件です。
私は元々フリーランスとしてフルリモートで時間拘束されない様々な案件獲得していましたので、案件獲得のノウハウはありました。
複業したい飲食店スタッフは求人サイトで採用していました。
ただ正直リファラルに勝るものはなく、個人的に飲食業界のつながりは広いので知人からの紹介、知人からの相談を中心に受け付けています。
今はSNS経由で働きたい人は十分採用できています。
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飲食業界の繋がりはかなり広がっており、若手に絞っても人を集めることができるくらいのネットワークができました。
日々紹介をいただいておりネットワークはどんどん広がっています。
もはやネットワーク自体が弊社の最も強みとなっているかもしれない。
それでは本題、飲食店スタッフの複業は実現したか職種ごとに解説していきます。
※守秘義務などで公開できないお仕事の方がむしろ多く、下記は一部になります🙇♂️
レポート:プロデュース・コンサル編
まずは飲食店スタッフが別の飲食店のプロデュースやコンサルをするという趣旨の仕事です。
私が飲食店の支援をする中でずっと感じていた課題の一つに飲食店経営に詳しくない会社や個人が開業した飲食店ほど現場のプロの手を後から必要とする傾向があり、そういった店舗の課題に合わせて現場のプロを派遣すれば質の高いプロデュース・コンサルができるのでは?という仮説からスタート。
特にプロデュースでは最初から現場プロを巻き込むことで、後から困ってコンサルに高い依頼費用を払ってしまうようなことを避ける目的もあります。
飲食店を経営すればわかりますが、薄利のビジネスモデルでコンサルにお金を払うことは極力避けたいはず。
一度オープンしてしまえば内装やコンセプトなど簡単に変えられない部分もあり、出店する前に勝負が決まっていることもあります。
コンサルが後からできることには限界があります。
結論、この複業は着実に実現できています。
というか実は本事業を始めた3年前から実験を繰り返してきたので当然ちゃんと機能しました。
例えば調理師学校を卒業しておりメニュー開発を経験した飲食店スタッフが新店舗のメニュー開発を請け負う仕事、接客を磨いたホールのプロが現場の接客指導をする、バーテンダーが居酒屋のドリンクメニューを考案する、店長経験者が現場のマネジメントを見直す…
飲食店で働いている人であれば、経験者が活躍するイメージがつきますよね?
予想通り活躍しています。
これは最も手応えを感じており一番増やしたい複業です。
実際に実現した公開可能なお仕事を少しだけ紹介↓
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調理師学校を卒業した現役飲食店スタッフが新店舗メニュー開発のディレクションを担当。
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得意分野が違うメンバーで調査のお仕事。
みんなプロなのでプロデュースに向けた議論が捗り、調査の質が高まります。
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元店長が実際にシフトインして現状把握、改善提案。
課題に合わせて対応するメンバーが変わります。
もちろん課題もあります。
複業する飲食店スタッフのレベルが高くないといけません。
プロデュースやコンサルはクライアントとなる飲食店にとって非常に重要な依頼で、その店舗の未来を左右するほどの重い責任がついて回ります。
ちょっと経験したくらいの人に気軽に依頼できません。
私との信頼関係がないと依頼できないです。
一件一件は大きくても業界全体に広がるほど再現性は高くないため、飲食業界に複業という選択肢を広げるためにはプロデュース・コンサルだけでは足りないかもしれません。
あくまで暫定の結論ですので試行錯誤は続けていきます。
レポート:営業編
最も多くの複業を生み出し、予想を超える成功が多発する中で、営業職が肌に合わずに離れていくスタッフの多かった職種が営業です。
営業職は代理店販売という形態を取りました。
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弊社が企業様と代理店契約を結び、販売委託権を得ます。
そして実際に稼働するのは現役飲食店スタッフ。
自分がランチとディナーの間に休憩する時間帯は他のお店も休憩中で営業をかけやすいタイミングです。
現役飲食店スタッフが別の飲食店に対して代理店販売を請け負うという新しいスキーム。
下記のメリットがありました。
同じ飲食店側であるため話を聞いてもらえることが多かった
飲食店スタッフが独自に持っている繋がり経由でリファラル獲得
顧客解像度が高いため提案が具体的でサービスの価値を最大化
営業経験のある方であれば、①〜③の素晴らしさをわかっていただけるはずです。
特に①はリード獲得の観点で非常に有効で、他社さんがアポ率2%のところ弊社は10%を超えることも。
またリード獲得に強い現役飲食店スタッフと、マーケターの私がタッグを組むことで相乗効果もありました。
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営業活動で得られる情報は膨大です。
顧客分析と事業改善に繋げる提案の質が高まりました。
一方で、営業する飲食店スタッフにとっては諸刃の剣。
営業職がハマって素晴らしい結果を残すスタッフがいる一方で、初日で心が折れてしまう方も。
そもそも営業職で心を病む人は業界を問わずたくさんいます。
合わないことも当然あるはず。
ただし複業することで営業が合わなかったと知ることも重要であると考えています。
複業のメリットに転職せずに別の仕事を経験できることがあります。
経験自体に価値がある。
とはいえ販売を委託してくださる企業様に迷惑はかけられないので、メンバーを厳選して少しずつ増やしながら盤石な営業体制を整えていきたいと思います。
商材や販売委託条件によっては代理店販売がうまくいかないこともありました。
レポート:ライティング編
まだ形になっていない職種です。
取り組むきっかけは飲食店スタッフの中にライターを目指す人が多いことでした。
場所と時間に縛られず、PCひとつで生きていく働き方は飲食店スタッフにとって魅力的です。
しかも文章を書くことが身近な方も多いため始めるハードルが低い。
そこで、飲食店経験のあるライターが、飲食店向けメディアの記事作成するスキームを実現しようとしています。
しかし、こちらは思うように進んでいません。
相場が低すぎてライターとして労力に見合わず辞めてしまう
ライティングを磨いた先の収入上限が低い
長時間のPC作業が苦手で耐えられない
まずライティング業務を引き受けてみて割に合わないことを知り、プロのライターの収入を聞いてみると目指したいと思えなくなる。
そんな方が多かったです。
「そんなことない!」と思う方もいるかもしれませんが、事実そういうことがありました。
私個人の私見ではなく事実です。
自分で案件獲得して、知識のないテーマは記事を書く前に詳しく調べて、大量の文字を書く。
しかも安定した仕事は少なく、単発で終わったりすぐに切られることもある。
ライティングより飲食店の方が効率良いと考えてライターを辞めた方もいました。
ライターからキャリアをスタートして稼いでいる人は、マーケティングや広報などスキルの掛け合わせをして収入を上げています。
であればライティングではなく、ライティングを活用したライティングに付随する別のお仕事が現実的ではないだろうか?
マーケティングや広報と掛け合わせた複業ができないか試行錯誤していきたいと思います。
複業したい飲食店スタッフのインサイト
「お金を稼ぎたい!」は1人もいませんでした。
「人生変えたいけど飲食店しか知らない」
「新しい仕事をしてみたいけど飲食店が好き」
「飲食店のためになる仕事がしたい」
など面談でよく聞きます。
理想の生き方を実現する
楽しい仕事を探したい
社会貢献したい
一般企業で起きている働き方の価値観の変化と同じように、飲食業界でも自己実現や社会的意義を求める傾向があると感じています。
飲食店の人手不足を解消するために賃金アップは本当に有効な手段なのだろうか?
最初から最後まで一つの仕事で完結するキャリアが少数派の時代においては、それよりもネクストキャリアを示したり体験報酬を上げることが有効ではないだろうか?
これからも体験報酬をより意識して、仕事を通して人生が広がるようなサービスを目指す方針です。