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【研究ノート】『消費者心理とナラティブマーケティングのブランディング戦略』〜スバルのCMを事例に〜
今日は、私が研究しているマーケティングの『研究ノート』を書きます。
【研究ノート】
《消費者心理とナラティブマーケティングのブランディング戦略》
最近、注目されているマーケティング手法に「ナラティブマーケティング」というのがあります。
アメリカから日本にも導入し始めています。
まず、「ナラティブ」とはどういう意味でしょうか。
「ナラティブ」とは英語で「物語」という意味があります。
つまり、「ナラティブマーケティング」とは広告やCMを「ストーリー性」を持たせて作成するというマーケティング手法です。
よく似た手法に「ストーリーテリング型マーケティング」というのがあります。
両方共、広告やCMに「ストーリー性」を持たせています。
では、「ナラティブマーケティング」と「ストーリーテリング型マーケティング」とはどこが違うのでしょう。
つぎに、双方の違いについて説明します。
「ナラティブマーケティング」のストーリーの主人公は、広告、CMを観ている「あなた」なのです。
つまり、広告、CMのターゲット顧客層が明確になっています。
「ナラティブマーケティング」では、広告やCMを観ている一般消費者つまり、あなたがその商品を観て自分のライフスタイルにその商品を取り入れたらどの様になるであろうと想像を膨らませ、イメージします。
そして、自分のライフスタイルが豊かになり、快適になるとイメージ出来、ワクワクするとその商品を買いたくなります。
言い換えれば、消費者の購買意欲を喚起させます。
このストーリーを作ってお客様に自分のライフスタイルが豊かに、快適になるとイメージしてもらうのは、販売で成約率を高める手法でもあります。
それと比較して「ストーリーテリング型マーケティング」の方の主人公は、企業や商品そのものです。
つまり、ブランディング的に見て、自社や自社商品の理念やアイデンティティを明確にし、企業あるいは商品イメージを一般消費者に定着させるのに適しています。
また、その目的で制作されると有効的です。
そして、「ナラティブマーケティング」を活用した有名なCMが自動車メーカーの『スバル(SUBARU)』です。
スバルのCMのキャッチコピーは、「Your story with」です。日本語では「あなたと車の物語」です。
色々なシーンの物語があり、それぞれのシーンのCMに主人公がいます。
例えば、父親と息子であったり、娘が連れてきた彼氏と父親であったり、父親と娘、2人の男女が出会い、結婚して、息子が生まれ、その一つの家族が年数を重ねて行く時系列のストーリーだったりします。
それぞれのシーンにスバルが登場します。
しかし、この「ナラティブマーケティング」の特徴は、スペックがどうだとか、安全性機能だとかの商品説明を一切せず、ストーリー展開だけをしています。
言い方を変えれば、そのシーンは特にスバル車でなくてもトヨタ車でもホンダ車、日産車等の他社商品でも成立してしまいます。
ある人が、このCMではスバルの広告宣伝の効果がないと書いていました。
しかし、それは短絡的な近視眼的な考えです。
現在の免許取得の現状を鑑みた場合、特に若い人達の免許離れが著しいと言われています。
車は、免許がなければ運転出来ない商品です。
免許がなければ、いくら商品説明や広告宣伝をしたとしても、買って乗れないのです。
だから、まずは車のある生活の便利さ、ライフシーンの豊かさをイメージしてもらい車が欲しい、そのために免許を取りたいと消費者の購買意欲の深掘りをする必要があるのです。
そして、免許を取り、いざ車を買うとなった時に、「ナラティブマーケティング」のCMで記憶しているスバルの車を選択肢に入れてもらうという流れを作るのです。
マーケティングの消費者行動の「AIDMA理論」のステップに当てはめるのです。
「AIDMA理論」とは、Attention(注意喚起)→Intrest(興味)→Desire(欲望)→Memorry(記憶)→Action(購買行動)の頭文字を取ってつけられて名付けれています。
これは消費者が、上述の流れのステップで購買行動をしていくと言う消費者行動理論です。
そして、「ナラティブマーケティング」は、経営戦略でいうと「デファクトスタンダード戦略」を採用していると言えます。
「デファクトスタンダード戦略」とは「事実上の標準化」と言われている商品開発戦略です。
この経営戦略は、まずはオープン化した技術で市場のパイを広げ、それからそのパイの中でのでシェア率を高めて行くと言うものです。
具体的には、PC(パソコン)が、デファクトスタンダード戦略を採用しています。
多くのPCメーカーは、OSにWindowsを採用し、汎用性を高めて、そこでのシェア率アップを図っています。
私の身近な経験で言うと、私は日本コロムビアで営業をしていた時、担当店のオーディオコーナーの売り場の全商品を拭いて掃除し、売り場に置いている全部のカタログを綺麗に整理していました。
その時に、私は担当店の店員からなぜ他社の商品まで拭いているのですかと質問された事がありました。
そこで、私は綺麗に全商品拭かれている綺麗な売り場と掃除されてない売り場とならお客様は、どちらのお店で買いたいと思いますか。やっぱり、綺麗な売り場の方でしょ。まずは、このお店のこの売り場にお客様に多く来て頂く事が先決だと私は思ってるからですよ。と返事しました。
そして、私は、売り場に多く来て頂いたお客様の中のシェアを高めて行く販売戦略を立てて実施したのでした。
そうすることで、私自身の営業成績がアップすることになりました。
ですから、マーケティングを目先の近視眼的に見ず、太極的に俯瞰して考える事が、この「ナラティブマーケティング」には必要だと言えます。
そして、そうすることで結果的に企業イメージや商品イメージがアップし、ブランディングイメージがアップすることになります。
https://note.com/yoshidaconsul/n/n91ffa8f21a0e