2021/6/8 GR人材育成ゼミ「自殺対策から考える社会課題の解決」
(今回より、ゼミ生によるリレー形式でレポートをアップしていきます♪)
こんにちは、8期生のイザベラです。第5回(6/8)のテーマは「自殺対策から考える社会課題の解決」。
講師は、堀りょういちさん(横須賀市議会議員)です。
(堀さんは愛娘さんにメロメロです。きゃわゆいにゃー!)
ゼミ長の吉田さんとは長いお付き合いとのことで、今回の吉田さんは先輩ぽく堀さんにつっこむ場面が多発しつつの、熱い2時間を過ごしたのでした。
そんな講義の一端をご紹介してまいります。
“自殺対策はまちづくり”
自殺対策は、地域共生社会の推進の大きなカギになる、という堀さん。
自殺ということを考えると、引きこもり、貧困など、ありとあらゆる社会課題と紐づいてきます。自殺対策は、社会課題の究極の行きつく先。さまざまな社会の課題を網羅的に考える機会となります。
さて、日本では年間2万人以上が自殺で亡くなっています。
2万人は多いと思いますか。それとも、少ないと思いますか。
グループに分かれて議論。
少ないという人はいなかった…。
では、
自殺は防ぐことができると思いますか。
ふたたびグループに分かれて議論。
ゼロにはできなくても、防ぐこともあるのではないか…。
縄文時代の人は、自殺しただろうか。防げるのではないか。
自殺を防げるという観点から、もう一つ進んで、ぜひ防ぎたいという思いで取り組めないか…。
考えちゃいますね。
▼ここまでのまとめ
・自殺の多くはさまざまな社会的要因により追い込まれた末の死である。
・その要因は誰もが直面しうる課題によるものである。
・自殺は他人事でなく我が事である。
・誰も自殺の追い込まれることのない社会を作ろう。
・誰にとっても居心地のよい社会を作ろう。
“自殺の現状を知る”
自殺対策をするためには、自殺に対する基本理解が必要ですね。日本の自殺の現状、自殺対策の動向(国、NPO)についてみていきます。
自殺者数の推移は、警察庁の「自殺統計」から確認することができます。
1998年は山一証券等の金融機関倒産し、失業率が4%に上がった年。一気に8000人以上自殺者の数が増えます。その後、14年連続3万人超。
自殺対策の法整備がなされ、2008年から10年連続減少。そして、コロナで翻弄された昨年2020年の自殺者21077人。11年ぶりに増加。
社会課題はさまざまあります。不登校とか、失業とか。でも、失業者と不登校は状態。自殺者は、亡くなってしまっている。生き返ることができない。このグラフは、横にデータが続いていますが、実際は縦に亡くなっている人の数が積みあがっていると考えてほしい。(堀さん)
自殺者数の最近の動向では、厚生労働省「令和3年5月7日児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」資料が新しいです。
最近の要因。コロナの影響。昨年の3月から緊急事態宣言発出。戦時中もそうだったといわれているが、自分の中の生活上の優先順位が変わるという大転換の時代。そして、緊急事態宣言後、数カ月後に一気に自殺者数が増加。今年になってもその状態が続いており、高いリスクが続いています。
日本の自殺の現状。自殺率は18.5(10万人あたりの自殺者数)世界9位。先進7カ国中ワースト。自殺者は、40-60代の男性(父親世代)が全体の35%を占めます。10-30代の死因1位は、自殺。日本の自殺者の男女比は7:3(ただし自殺未遂者は女性のほうが多い)。
自殺率の国際比率は男15位、女4位。
ひとりの人が自殺で亡くなると、4-5人が遺族になり、毎年10万人超、全国に300万人超、国民の40人に1人が自死遺族である。
自殺による経済的損失額は、年間459憶円…。
“自殺の背景”
そして、質問です。
自殺の背景にはどのようなことがあると思いますか。
堀さんが活動するNPO法人ライフリンク「自殺実態1000人調査」によると。
いろいろな要素があるのですね…。
でも、これが単体じゃないんですね…。
この一つ一つの〇の要素では、それぞれ対策が講じられていて、相談窓口もあるのです。
それでも、なぜ自殺が食い止められないのか。
病院に行ったら、家族問題や失業問題まで関わるか…ということ。
点ではなく、線の問題。
点と点が、結びついて線として繋がっていくこと。
どうすれば個々の対策が線となって繋がれるかということ!
自殺で亡くなる前に「専門機関」に相談していたか
ここで我々ゼミ生は戦慄する。
“家族は「自殺で亡くなる前」に「専門機関」に相談していたか“
という調査。
何割の人が、相談していたかと思いますか…?
実に
7割
7割の人は
専門機関に行って相談していたという…。
なんとか解決しようとして、相談にも行っていたのに、亡くなってしまったのだ…。
これからの自殺対策
もう生きられない、死ぬしかないという状況に陥っている人が、それでも生きる道を選べるように、それでも生きる道を選べるようにするには?
生きることの阻害要因 < 生きることの促進要因
生きることをどうやったら後押しできるか…。
苦しい状況になっても絶望する人と、生き残れる人の差は何なのか。
その人の状態によっても、対策・支援の内容は異なる!
▼自殺対策に必要な3つの視点
1.自殺リスクを抱えた人への危機介入→支援を「今まさに必要としている人」(例)自殺の相談電話など
2.自殺リスクを抱える前段階における予防策→支援を必要とするだろう「すべての人」(例)専門機関の連携など
3.自殺リスクを抱えさせないための「生きる支援」→誰にとっても「生きるに値する社会」(例)生きることの促進要因(SOSの出し方教育)など
ここまでで思ったこと、どんなことですか?
ゼミ生一同、自殺対策について考え語り…
今後我々が取り組む、課題への第一歩を踏み出したのでした…。
じぶんごと、として受け止められる経験、感性、みんなさまざま。
さまざまな人が集まって、社会、なのだなあ。大事な命が失われる現実を通して、しみじみ考えた今回の記録者イザベラでございました。
うむ。(みな、真剣な表情である)