
悪意で人を傷つける「厄介な人」を見抜き身を守るヒント#2「厄介な人4つのタイプ」
本シリーズ記事では、いつ、どこで遭遇するかわからない「厄介な相手」から人格攻撃(ハラスメント)を仕掛けられる前に、普段の相手の言動から悪意の有無や攻撃手口を見抜き、攻撃される前にすばやく相手の意図を封じ込めるサバイバル戦略として、
・そもそもなぜ狙われやすい人、狙われにくい人がいるのか?
・タイプ別悪意の有無の見抜き方
・実践的なサバイバル術
・相手に舐められないメンタルを手に入れるトレーニング方法
について紹介していきます。
これまでずっと一人でいわれなき攻撃に耐え、しんどさを抱え続けてきたかた。人間関係は大切にしたい。でも、いいように人に利用されたり、ギクシャクした人付き合いで悩みたくない。かといって損得勘定だけの冷たい人間関係は寂しい……。
そんな方のお役に立てば嬉しいです。
厄介な人 4つのタイプ
前回の#1では人の性格に関する特性分類「ビックファイブ」の5つ因子と、これまで見聞きしてきた困った人の陰湿な手口を付け合わせしたところ、
・「外交性」「神経症的傾向」が総じて高い
・「誠実性」「調和性」が総じて低い
・「開放性」には顕著な傾向は見られない
こうした特性があり、これらの特性を身近な生き物にたとえて「コウモリタイプ」「キツネタイプ」「ハイエナタイプ」「ハゲタカタイプ」の4つのタイプに分類したというところまでお話ししました。
今回はこれら4つのタイプについて「①表面的な人物像」「②典型的な攻撃の手口」「③悪意の有無を見抜く観察ポイント」の3つについて概観していきたいと思います。
その人が単に「虫の居所が悪かっただけ」「相手の立場で考えることが苦手なだけ」など、厄介だけど別に悪気はない人なのか、それとも悪意を隠し持ち人をコントロールしようとしているのかを判別するポイントについてもお話しします。
判別ポイントを理解しておくだけでも「次の一手」が予測しやすくなり、余計な不安や混乱を防ぐことができるはずです。
なお、これら4つのタイプ分類は綺麗に切り分けできるものではなく、あくまでもグラデーションになっている点に注意してください。
・コウモリタイプ(外向性・神経症的傾向:高い、誠実性:低い、調和性:高い)
【①表面的な人物像】
「空を飛ぶネズミ」とも称されることのあるコウモリ。イソップ童話の「鳥と獣とコウモリ」という話では、どっちつかずな八方美人的なキャラクターとして描かれています。
このタイプは、相手の懐に入りこみ心を開かせるのが得意で、いろいろと相談に乗りながら相手の弱みや悩み事などプライベートな情報を手に入れます。
他人の気持ちや言動の変化にいつもアンテナを張り敏感に反応することで、一見すると気遣いのできる人、面倒みのいい人に見えます。
また、その時の気分に応じて言動が変わることがあり、周りの人が混乱させられることもあります。そうした矛盾について真意を確認しようとしても、「別に」「そんなこと言った覚えがない」などとトボけて相手を煙に巻いてしまいます。
【②典型的な攻撃の手口】
コウモリタイプは、相手の情報(プライバシー、気持ち、弱みなど)を利用した情報攻撃が典型的な特徴です。
具体的な手口としては、
・共感してくれる仲間だと思わせて手のひら返しをする。
・相手の優しさにつけ込み、過大な要求を突きつける。
・相手の罪悪感、責任感、道徳心などを利用してストレスをかける。
・責められるのは自分が悪いと相手に思い込ませる。
・入手した情報には、自分の利益が最大化するように「盛る」「切り取る」「一般化」するなどし、歪曲した形で悪い噂を流し孤立させる。
・自ら火のないところに煙を立て、それを解決し、恩着せがましさで相手を支配する(マッチポンプ)。
・毒っけの強いユーモアで笑い者に仕向ける。
など、相手の真面目さや親切心など善意の気持ちを逆手にとって攻撃につなげる陰湿かつ悪意を感じる攻撃手口と言えます。
【③悪意の有無を見抜く観察ポイント】
コウモリタイプの人は気遣いできて面倒みがいいように見せかけているだけで、そもそも人の気持ちに興味関心がなく、人を損得勘定でしか見ていません。
強い者にはヘラヘラと尻尾を振るし、弱い者には仲間のふりをしながら近づき急に襲い掛かるのがこのタイプです。
そのため「利害関係人」以外の交流関係が極端に少ないのが特徴です。
また、誰にでも気遣いができて面倒見がいいように見えて、その実人によってコロッと態度が変わるという点に着目して観察してみると、見抜くのは比較的難しくはないといえます。
・キツネタイプ(外向性・神経症的傾向:高、調和性・誠実性:低)
【①表面的な人物像】
このタイプは、自分の利益達成に利すること以外には露骨に興味関心を示さず、むしろ利益達成の邪魔になるものには極端に排他的・敵対的なポーズを見せることが多いと言えます。
たとえば職場で誰かが困っていても、それが自分の利益達成に役立つものでなければ、一貫して冷淡な姿勢で放置します。
時折、協調的な姿勢を見せることもありますが、それは友好的な姿勢ではなく、あくまでも自分の利益達成のために協調的な振る舞いを演じているに過ぎません。
嫉妬深く、些細なことに「攻撃された」「批判された」「不公平だ」と敵対的に受け取り、なにかと攻撃的な姿勢を見せるなど、まるで噛み合わない議論はどこまでも平行線を辿ることになります。また平然と嘘をつきシラを切るなど厚顔無恥を絵に描いたような人物と言えます。
このタイプに、いくら毅然とした態度で悪事の証拠を突きつけるなどしても、「私は悪くない。私にこんなことをさせた相手が悪い」など、自分勝手な意見で自己正当化を図ります。
【②典型的な攻撃の手口】
昔話では人をバカしたり、お化けとして登場するなど、なじみ深い動物のキツネ。
視覚、嗅覚、聴覚、記憶力が抜群で、地球の発する磁力を感じ取ることで、自分や獲物の位置情報を正確に把握できるというGPS的な能力もあり、キツネに狙われたら逃げおおすことは難しいと言えます。
また、餌を埋めた場所をニオイに頼らずに、記憶から場所を導き出したり、狩りをする際に溺れたふりをして、獲物の目を欺くなど人顔負けの賢さも持っています。
そのため、人をむやみに怖がらないという性質もあるようです。
こうしたキツネタイプの典型的な攻撃手口としては、後の章で詳しくお話しする「ダブルバインド」と呼ばれる、人を混乱に陥れ精神にダメージを与えるものがあります。
他にも、
・「たられば」「議論のすり替え」など、いっこうに噛み合わない議論をふっかけて混乱させる。
・矛盾した言動をとり相手を困惑させる。
・たとえ自分に非があることでも、徹底的に自己正当化し責任を転嫁する。
・わからないように遠回しに中傷しターゲットを不安に陥れる。
・触れられたくない過去の話をチラつかせ、支配しようとする。
・ターゲットの周辺に「不和の種」を流し、互いに疑いあうように仕向ける。
など、一度狙われると知能犯的な嫌がらせを執拗に繰り返してくるため、精神的ダメージがかなり大きくなるのがキツネタイプと言えます。
【③悪意の有無を見抜く観察ポイント】
このタイプは賢く人を化かすため、なかなかボロを出しません。そのため極めてピンポイントな部分を観察する必要があります。
それはその人に「非があること」「落ち度」「ミス」を、誰かに指摘された際の反応です。
悪意のない人であれば自分の非を誰かに指摘された際、素直に非を認めて謝罪しますが、悪意のある人は徹底的に自分勝手な理論で自己正当化し、自分の非を煙に巻こうとします。
その際、躊躇することなく無関係な人に責任転嫁する場合もありますが、それによって誰かが迷惑を被っても意に介しません。
また、過去に誰かに自分の非を指摘されたことをずっと根に持っており、「今さらそんな昔のことを…」と驚くようなことを、突然口に出すことがあるため、そうしたことも見抜くポイントになると言えます。
・ハイエナタイプ(外向性・調和性:高、誠実性:低)
【①表面的な人物像】
ハイエナタイプは、一見すると「親分肌(女性の場合は「姉御肌」)」で、周りのまとめ役的な存在、周りから頼られる存在としてポジションを確立していることが多いのが特徴です。
そうしたポジションを利用して、相手の弱みを握ったり、相手に恩を売るなど、水面下で支配するための布石を打っています。
そもそも「親分肌(姉御肌)」は単なる見せかけでしかなく、いざ、自分に都合が悪くなると躊躇なくバッサリとトカゲの尻尾きりをします。
このタイプに、いくら毅然とした態度で悪事の証拠を突きつけるなどしても、「これまで親切にしてあげたのにどういうこと」と、あたかも被害者は自分であるかのように逆ギレし、さらなる追い討ちをかけてきます。
【②典型的な攻撃の手口】
「サバンナの掃除屋」という異名を持つハイエナ。ライオンなど他の大型の肉食獣が食べた残りを食べているというイメージを持っているかもしれませんが、実はハイエナは狩の名人です。
走る速さはライオンと互角の約60kmと自動車並みの速さで走り、かつチーターと違って長時間走り続けることができます。
また、顎の力は獲物の骨を噛み砕くほど強く、ハイエナがチーターの獲物を横取りしようと近づくとチーターが恐れをなして逃げるほどです。ハイエナは「個」としてとても戦闘力が高く、それが徒党を組み集団で行動するのですからかなり手強い相手と言えます。
同様に、ハイエナタイプの攻撃は「一対一」で行われるよりも、周りを上手に巻き込み相手を孤立させるなどジワジワと仕掛けてくるところが特徴と言えます。
典型的な手口としては、
・嘘の情報を周囲に流し、攻撃相手の評価を引き下げ孤立させる。
・情報を巧妙に歪めて伝えたり、わざと伝えなかったりすることで恥をかかせたり不安にさせる。
・「噂で聞いたんだけど…」と、あたかも他の人から聞いた話のような嘘の情報を吹き込み、周りへの不信感や孤立感を植え付ける。
など、後に詳しくお話しする「ガスライティング」と呼ばれる、巧妙かつ狡猾な手口でターゲットを追い詰めます。
【③悪意の有無を見抜く観察ポイント】
このタイプは周りに「親分肌(姉御肌)」のように見せかけているだけで、実は人を損得勘定でしか見ておらず、長期間に渡る人間関係を築くことができません。
そのため、このタイプの人は踏み込んだ人間関係の話題になると、話をはぐらかそうとしたり、別な話題にすり替え煙に巻こうとします。これを踏まえ、会話の中で、親子関係、友達関係、前職の同僚、趣味の仲間などプライベートに関する情報をチェックするのが、このタイプの悪意の有無を見抜く大きなポイントと言えます。
また、このタイプは自分のプライベートな趣味やこだわりなどを過剰なまでに隠そうとする傾向が強いことも挙げられます。万が一にでも「自分の弱み」になりそうな情報は徹底的に隠蔽するのです。
コミュニケーションの中でこうした些細な違和感を観察することがポイントになります。
・ハゲタカタイプ(外向性:高、誠実性・調和性:低)
【①表面的な人物像】
このタイプは、内心で「世界は自分を中心に回って当然」「自分以外は無知無能」「強い者が弱い者を虐げるのは当然」といった、かなり自己中心的な世界観を隠し持っています。
ちなみに、暴言や暴力行為といった前時代的な「ベタなパワハラ」もこのタイプに分類されます。
集団の中で孤立することをいとわず、自分の領分のことはしっかりやるため、一見すると頼り甲斐があり責任感の強い人のようにも見えますが、実は自分の利害に関係のないものには興味関心がないだけです。
また、自分の目的達成のためなら手段を選ばず、それによって誰かが傷ついたとしても「傷つく方が悪い」と一刀両断します。
このタイプは、「強者と弱者」「支配する者と支配される者」「奪う者と奪われる者」といった極端な二元論で人間関係を見ており、たとえ悪事の証拠を突きつけられたとしても、誠意ある謝罪をすることがありません。むしろ、何が悪いくらいの勢いで自己正当化し開き直ったりします。
【②典型的な攻撃の手口】
ハゲタカが主に死肉を餌にしているのは体長が1m以上(翼を広げると3m以上)もあり素早い動きで狩をするのが苦手だからと言われています。
また頭の毛がはじめから禿げている理由は、内臓の奥まで頭を突っ込んで食べるときに、頭の毛が邪魔だからだそうです。このように環境適応力がとても高いのがハゲタカです。
同様に、ハゲタカタイプの攻撃は、自分の得意分野、自分の土俵上に相手を引き込み執拗かつ陰湿な攻撃を仕掛けてくるところが大きな特徴です。
典型的な手口としては、
・社会規範や独自のルールに照らし合わせて人の粗探しをしては、イジリと称して執拗にマウンティングする。
・その人が触れられたくないことについて遠回しに話題するなどして、相手の困った表情を見て楽しむ。
・仲間を引き入れ集団で「敵」を作り悪口攻撃をする。
・たとえそばに困っている人がいても、自分の利益にならないことは露骨に非協力的、非共感的な態度をとる。
など陰湿な方法で人を貶め、それによって相対的に自分のポジションを高めることを得意とします。
【③悪意の有無を見抜く観察ポイント】
このタイプは「ひねくれた言動」が多く見られるため、「皮肉」「嫌味」といった「棘のある言葉」や、自己中心的な態度に目を光らせていれば、他のタイプの中でも比較的見抜きやすいタイプと言えます。
とはいえ、人の弱みを見つけ出す観察眼や、弱みに深くつけ込む話術が卓越しているため、たとえ見抜けたとしても一度目をつけられたら厄介なことには変わりはありません。
またこのタイプは自分と同じような陰湿さを持った人たちと連むことも多く、集団化してしまうと一筋縄では手に負えません。
いかがでしたか?
ザックリとはいえ、これまであなたが体験したり見聞きしたものに当てはまるタイプがあったのではないでしょうか?
マウンティングのようなわかりやすい手口を得意技とするハゲタカタイプ以外は、周りの人も簡単にはハラスメント(嫌がらせ)されているとは見抜きにくく、「気づいたときには被害者はかなりのダメージを受けてしまっている」というかなり陰湿な手口だということが少し具体的にイメージできたのではないでしょうか。
厄介な相手は特殊な性癖の持ち主?
ここまでお読みいただいた方の中には、「どうして彼ら彼女らは、こんなことをするのだろう?」「一体何を目的にしているのだろう?」「自分とは何が違うのだろう?」こんな疑問を持ったかもしれません。
自分のことを振り返ったとき、日常生活の中でそこまでして誰かを執拗に攻撃したり傷つけたいと思う状況が、そんなにも起きるのかと疑問に思うのは自然なことです。
少し想像してみてください。もしもあなたが、今、幸せを感じてるなら、きっと誰かを不幸な目に合わせようなどとは思わないはずです。なぜなら、誰かを不幸な目に合わせようとするとき、私たちは「相手の不幸」を想像しなければらなず、それは普通の神経の持ち主であればせっかく感じている幸せを阻害することになるからです。
そういう意味では、厄介な人は総じて「幸せではない」と言えるかと思いますし、さらに言うなら「他人の痛みに共感的理解を感じない性質の持ち主」「自分の利益達成のために他人を利用することに罪悪感を感じない性質の持ち主」、あるいは「他人の不幸に幸せを感じる厄介な性癖の持ち主」と言ってもいいでしょう。
実際、「モラル・ハラスメント」という言葉を提唱したフランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌは、著書の中でいくつものモラル・ハラスメントの事例を紹介しながら、
加害者は自分のしたことに罪悪感を覚えるわけでもない。絶えず誰かを自分の利益のために操り、破壊しようとする『変質性』を持っている。
と言っています。
ですが、ここでまた別の疑問を感じた方がいるかもしれません。
というのも、かくいう私たちも聖人君主ではありませんから、ときには誰かの成功に嫉妬し、その人の失敗を陰で願ったり、ひどく憎んだりすることも正直あります。
また、いくら正しい指摘や批判だったとしても、自分にとって耳の痛いものは素直に受け入れずに自己防衛的な言い訳をしたり、場合によっては逆襲を試みることだって、そんなに珍しいことではありません。
では私たちのそうした振る舞いと、厄介な人たちの『変質性』には、一体どんな違いがあるのでしょうか?
また、後ろめたいことや、やましいところを心の中に密かに隠し持っていればいるほど、それを他人に投影し攻撃的になるといった心の働きを私たちは持っていますが、そうした攻撃性と厄介な人たちの攻撃性とは一体何が違うというのでしょうか?
次回はサディスティックな部分を隠し持った厄介な人たちの内面世界について覗いてみたいと思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
〜毒親・愛着問題・アダルトチルドレン・ミッドライフクライシス〜
「愛されたい気持ち」「愛したい気持ち」が満たされていないあなたへ…
悩ましい現実を繰り返す、人生で置き去りにされた課題に気づく
登録無料(全7回)強くてしなやかな心を育む無料メールセミナー


いいなと思ったら応援しよう!
